【エアショー】(えあしょー)

Airshow.
飛行機ヘリコプター、その他航空機を地上展示もしくは飛行展示する行事。航空ショー、航空祭。

エアショーの目的

エアショーは大まかにわけて3種類が存在する。

1.国軍、もしくは自治体や政府が主体となり開催し、国民への認知や士気の向上を目的としたもの。
わが国で行われるエアショーの殆どがこの部類に入り、各地の航空基地で自衛隊およびアメリカ軍が主催し毎年一回行われている。世界的に見てもおおむね入場料は無料である。
但し、国によっては入場の際に身分証明書が必要な場合はある。

2.航空機関連メーカーが主体となり、商談を目的としたビジネスショーの一環としてのエアショー。
パリエアショー?ファンボローエアショー?が世界的に有名で、隔年で交互に行われており毎年数兆円にものぼる取引が行われている*1。日本では4年に一度の国際航空宇宙展?がある。商談中心のビジネスデーと一般人向けのパブリックデーに分かれ入場料を支払い見学が可能である。
多くの場合、航空機だけではなく、兵器システムや軍事関連機器の見本市を兼ねている。

3.完全にショーとしてのエアショー。
エンターテイメントを追求し多彩な演出が航空機によって行われる、最もエアショーと呼べる形態である。英国のロイヤルインターナショナルエアタトゥー、米国のオシュコシュエアショー?が有名。
運営費は入場料によって賄われるため、航空に理解が薄く、収益が見込めないわが国ではあまり行われていない。オートボルテージュアエロバティックス?等が数少ない例である。

日本のエアショー事情

前項で触れたようにわが国のエアショーの殆どは自衛隊もしくは在日米軍が主催し行われる。自衛隊のそれは航空祭と呼ばれ、在日米軍基地ではフレンドシップデーなどと呼称する場合が多い。
戦闘機の常駐する基地、特に岩国基地?三沢基地?で行われる日米共用の飛行場では飛行展示の充実度も高く例年10〜20万人もの観客が訪れる。
多くの観客の最大の目的は、やはりブルーインパルスであろう。
わが国の制限された国土地勢上、戦闘機の配備されている航空基地は大抵僻地にあり、近隣都市のみならず日本全国から地元の人口を遥かに超えた人数が訪れるため、経済的に地元に大きく寄与する。よって自衛隊米軍と自治体が一体となって協力し開催される場合が多い。
しかしながら、僻地にあると言う事は交通の便が悪いと言う事である。一部航空マニアに隔離基地と陰口を叩かれる百里基地?では、最寄の駅が辛うじて電化された単線、1時間に1〜3本、2両運行のワンマン、かつ徒歩2時間という状況で、基地に続く道路も片側1車線のものが数本と、お世辞にもアクセスが良いとは言えない。
そのため、百里基地?航空祭では例年大渋滞が発生し、特に2004年はサンダーバーズが来日したため、悪天候であったにも関わらず最寄駅からのシャトルバスが到着に8時間弱もの時間を要したという記録がある。始発のシャトルバスが到着した時点で既に航空祭は終わっていたのである。

一方、厚木基地?百里基地?とは全く異なり東京から1時間、横浜から30分、列車は5分おきに運行という優れた立地に存在し、土日の開催で観客総数が40万を突破する大規模なエアショーが例年開催されていた。
しかし、厚木基地?のエアショーは余りの立地の良さが仇となりエアショー自体の開催が2000年を最後に完全に廃止された。
厚木基地?の周辺は横浜や東京に近いことからベッドタウンとして栄えている人口密集地であったため、エアショーの騒音や安全性の問題から地元の自治体や反戦団体から再三の中止要求が提出されていた為である。
また、厚木基地?同様、首都圏に位置する入間基地のエアショーにおいても騒音問題は毎年取り沙汰されており、交通の便の良さから毎年十数万人の観客が訪れるが、特に爆音の大きい戦闘機の展示飛行は殆ど行われていない。

また、我が国は航空機を対象とする趣味を持つ人が欧米諸国と比べて少ないため、民間主導のエアショーもあまり活発でないのが実情である。

脚立問題

エアショーに行くとほぼ確実に脚立を利用し写真やビデオを撮影している航空ファンを見掛けるであろう。
数万、数十万人が押し寄せるエアショーにおいて人の頭を気にせずに撮影する事は極めて困難である、朝早く現地に出向き最前列を確保することで解消できるが、全ての人が最前列を確保する事は不可能である。
そのため、最前列を確保できなかったカメラマンが視界をクリアにするために脚立が用いられる事が少なくない。
確かに脚立を使えば他人の頭を気にせずに撮影が出来るようになり、見栄えの良い写真やビデオ作品が出来上がるであろう。しかし、その脚立の後ろに居る人たちにとってみれば迷惑極まりない行為である。
後ろの人が少し移動すれば良いと言う問題ではない。混雑した会場では容易に移動できない場合もあり、また脚立利用者は多数居るため、移動しても脚立利用者が居ない場所などはそう簡単に見つかるものではない。

最近では脚立の利用を全面禁止とするエアショーも増えつつあるが、会場で脚立が禁止である旨を流しても無視して使用し続ける利用者も居る。むしろ脚立利用者が多数居るという集団真理からか、アナウンスを聞いて使用をやめる人の方が少ない。
この脚立の利用については長年の間航空ファン達の間で議論され続けている。賛否両論があるが、殆どの場合非難の的となっている。

関連:http://www.jda.go.jp/jasdf/info/event.html (航空自衛隊イベントスケジュール)


*1 このうち、すでに内定していた受注をあえてエアショー時に発表し、話題を盛り上げる経営戦略を取るメーカーも少なくないため、実質的には何割か少ない。

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