【エアクッション艇】(えあくっしょんてい)

Air Cushion Vehicle (ACV)
舟艇の一種で、空気圧で水面から完全に浮き上がって航行するもの。
広義には水面効果翼船も含まれるが、一般にはスカート状の船底から圧搾空気を噴き出して浮上するもの(いわゆるホバークラフト)のことを指す。
これは表面効果によって水面ぎりぎりで安定的にホバリングするものである。

基本的に船体が造波抵抗を受けないので、高速の航行が可能となっている*1
また水中翼船とは異なり、比較的平らな場所であれば浜辺から陸地に上がることもでき、水陸両用の運用が可能である。
一方で航行中は常時圧搾空気を噴き出し続けなければならず、また推進のためには別途プロペラやファンなどを用いる必要があり、燃費や静粛性に劣る。
また浮上しているとはいえ、スカートの高さを超える荒波には弱く、凹凸の激しい磯などの不整地を越えることもできない。
これらの特性から、内海で港湾設備のない島などでの連絡輸送に用いられることが多い。

わが国では、かつて国鉄(日本国有鉄道)が宇高航路に「急行便」として就航させていた路線*2を筆頭にいくつかの民間路線が存在していたが、2009年10月に運行を休止した大分ホーバーフェリー社の大分空港〜大分市内間の路線を最後に、全て休止・廃止された。

また軍用としては、その高速性能および揚陸性能から、アメリカ海軍ではLCAC-1級が上陸用舟艇として配備されており、これは日本の海上自衛隊でもエアクッション艇1号型として採用されている。*3
ソ連海軍でも、水面効果翼船であるエクラノプラン以外に、ホバークラフト式のエアクッション型揚陸艇や、戦車揚陸艦と同様に母艦を持たないズーブル(ポモルニク)型エアクッション型揚陸艦を採用した。

関連:ホバリング


*1 緊急時は噴射を止めれば着水して造波抵抗を受け、即座に減速・停船できるというメリットもある。
*2 1987年の分割民営化後はJR四国が運行していたが、翌1988年に瀬戸大橋が開通したため廃止。
*3 当初は、これを搭載する「おおすみ」級輸送艦と共に国産する予定だったが、コストとの兼ね合いからLCAC-1級をそのまま輸入することになった。

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