*&ruby(いんびんしぶる（くうぼ）){【インビンシブル（空母）】}; [#g5b98096]
HMS Invincible((英語で無敵を意味し、この名を冠するイギリス海軍艦としては6代目になる。))（R05）.~
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イギリスが建造した世界初の[[V/STOL空母]]((イギリス海軍における分類はCVS（支援空母）。))。~
同型艦として「イラストリアス（R06）」と「アーク・ロイヤル（R07）」が存在する。~
1973年に起工し、1977年に進水、1980年に竣工した。~
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当初は「[[指揮巡洋艦>巡洋艦]]」として計画され((当時の政府で「空母不要論」が持ち上がっていたため、という。))、実質的に[[ヘリコプター空母]]として建造された((余談ながら、その約30年後に日本でも同様の経緯で[[ヘリコプター空母]]「[[ひゅうが型>ひゅうが]]」「[[いずも型>いずも]]」が「''（ヘリコプターの搭載機能を持つ）[[駆逐艦]]''」として計画・建造されている。))が、設計段階から[[シーハリアー]]の搭載を念頭に置いていたため、後に[[軽空母]]（[[V/STOL空母]]）となった。~
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しかし、就役時にはあまり大きな期待はかけられておらず、1982年にオーストラリアへの売却が予定されていた((予定通り売却された場合、艦名は「オーストラリア（HMAS Australia）」となる予定だった。))が、[[フォークランド紛争]]が勃発したことで契約は破棄され、急遽フォークランド諸島へと派遣された。~
この[[紛争]]では[[英空軍>RAF]]の[[ハリアー]]も搭載し、英軍の勝利に貢献した。~
そしてこの活躍により、世界に[[V/STOL空母]]の有効性を示した。~
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（後述の通り）21世紀に入って老朽化・陳腐化が進んだことから、本級の後継として「[[クイーン・エリザベス]]」級[[正規空母]]の建造が進められたが、近年の全世界的経済不況と国防予算との兼ね合い((搭載機として予定されている[[F-35B>F-35]]の開発遅延が大きく影響していたという。))から大幅に遅延し、一番艦「クイーン・エリザベス」の就役は2017年になった。~
**その後 [#k5dffe4e]
本艦は2005年8月3日に退役((これにより、それまで務めてきた英国海軍の[[旗艦]]任務は「イラストリアス」に譲られた。))となり、その後、2010年まで有事に備えて[[モスボール]]されていた。~
保管期限の満了後、本艦は主機関を撤去され、遊休国有資産などを競売する英国政府運営のオークションサイトに出品された。~
これに対し、香港出身の在英中国人実業家が購入の意向を示していたが、最終的にトルコのスクラップ業者が200万ポンドで落札、スクラップとして処分されることになった((件の中国人実業家は500万ポンドでの入札をしていたというが、もしこの価格で落札された場合、中国で空母として再就役する可能性が危惧されていた。))。~
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また、3番艦の「アーク・ロイヤル」は2016年に退役の予定とされ、そのための艦齢延長工事も行われていたが、英国の国防予算削減の方針により2011年第1四半期限りで退役することとなり、同年3月11日に退役。~
インビンシブルと同様にオークションにかけられ、インビンシブルを購入したトルコのスクラップ業者に290万ポンドで落札された((当初は香港船芸学会が280万ポンドで落札したと報じられ、インビンシブルと同様、中国政府による空母としての再就役が危惧されていた。))。~
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残る2番艦の「イラストリアス」は、2010年に英軍から[[ハリアー]]が退役((本来の搭載機だった[[シーハリアー]]は先に退役しており、その後は空軍との統合部隊に属する空軍型の機体を搭載していた。))したため、晩年は[[ヘリコプター空母]]として運用されていたが((当時の同艦は、英国海軍の公式webサイトでは「[[揚陸艦]]」として紹介されていた。))、2014年8月に退役。~
船体は他の姉妹艦と同様にオークションにかけられていた((なお、英国政府では本艦の購入条件として「船体の全部または一部を歴史遺産として英国内に残すこと」という条件を付けていた。))が、応札はなく、2016年に他の姉妹艦と同じトルコのスクラップ業者に200万ポンドで売却され、解体された。
**スペックデータ [#b618eccd]
|主造船所|ヴィッカース社（インヴィンシブル）&br;スワン・ハンター社（イラストリアス・アークロイヤル）|
|[[排水量]]&br;（[[基準>基準排水量]]/[[満載>満載排水量]]）|16,000t/20,500t|
|全長|210m|
|全幅|36m|
|[[喫水]]|8m|
|推進方式|COGAG方式|
|[[機関>エンジン]]|ロールス・ロイス [[TM3B>オリンパス]][[ガスタービン]]×4基((このほか、予備機としてガス発生機だけのもの1基がある。))（出力24,250hp）|
|推進器|[[スクリュープロペラ>プロペラ]]×2軸|
|出力|100,000hp（75,000kW）|
|電源|パスクマン-バレンタ16-RPM 200A[[ディーゼル>ディーゼルエンジン]]発電機×8セット&br;（単機出力1,750kW）|
|最大速力|28[[ノット]]|
|[[航続距離]]|7,000[[海里]]（18ノット巡航時）|
|乗員|個艦要員：685名&br;航空要員：366名&br;[[海兵隊員>海兵隊]]：600名以上|
|武装|[[シーダート>シーダート(艦対空ミサイル)]][[SAM>艦対空ミサイル]]連装発射機×1基（[[飛行甲板]]拡張時に撤去）&br;[[ファランクス]][[CIWS]]×3基（後に[[ゴールキーパー]]30mm[[CIWS]]×3基に換装）&br;GAM-B01（エリコンKA） 20mm機銃×2基|
|[[C4Iシステム>C4I]]|ADAWS((Action Data Automation Weapon System.))-6/10戦術情報処理装置|
|[[レーダー]]|922型捜索レーダー×1基&br;1006型航法レーダー×2基&br;1022型長射程対空レーダー×1基|
|[[火器管制>火器管制装置]][[レーダー]]|909型火器管制レーダー×2基（SAM管制用、後に撤去）|
|[[ソナー]]|2016型船底装備式ソナー×1基|
|[[艦載機]]|[[シーハリアー]]×8機、[[シーキング>SH-3]]×12機&br;[[フォークランド紛争]]時：[[シーハリアー]]×11機、[[シーキング>SH-3]]×8機、[[リンクス HAS.2>リンクス]]×2機|
|艦上設備|インボード式エレベーター×2基（長さ16.7×幅9.7m）|
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**同型艦 [#l1834288]
|CENTER:艦番号|CENTER:艦名|CENTER:起工|CENTER:進水|CENTER:就役|CENTER:退役|CENTER:備考|
|CENTER:R05|インヴィンシブル&br;（HMS Invincible）|1973.7.20|1977.5.3|1980.7.11|2005.8.3|2011.2&br;スクラップとして&br;トルコに売却。|
|CENTER:R06|イラストリアス&br;（HMS Illustrious）|1976.10.7|1978.12.14|1982.6.20|2014.8.28|2016.&br;スクラップとして&br;トルコに売却。|
|CENTER:R07|アーク・ロイヤル&br;（HMS Ark Royal）|1978.12.14|1981.6.2|1985.11.1|2011.3.11|2012.9&br;スクラップとして&br;トルコに売却。|
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**派生型 [#x96d4add]
-[[オーシャン]]：~
本級をベースに開発されたヘリコプター揚陸艦。詳しくは項を参照。~
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