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【イプシロンロケット】 †
Epsilon.
日本の宇宙開発組織「JAXA(宇宙航空研究開発機構)」が開発した固体燃料式大型宇宙ロケット。
JAXAの前身のひとつである「ISAS(文部省宇宙科学研究所)」が1970年代に開発した「ミューロケット」(2006年運用終了)の後継として開発された。
本機はミューシリーズの最終型「M-V」をベースに、JAXAが現在運用中の液体燃料ロケット・H-IIの技術も取り入れ、打ち上げに必要なコストをM-Vの約70%に削減*1。
また、人工知能による自己点検機能の実装*2や省人化された地上管制システム*3、組立の簡素化により、打ち上げ準備に必要な期間もM-Vの42日間から7日間へ短縮するなど、内外からの人工衛星打ち上げ需要に即応できるシステムを目指している。
打上げは内之浦宇宙空間観測所の「Mセンター(ミューセンター)」から行わわれる。
本機の第1号機(試験機)は2013年9月14日、打ち上げに成功した*4。
性能諸元 †
E-X(試験機) | |||||
種別 | 衛星打ち上げ用ロケット | ||||
開発者 | JAXA、IHIエアロスペース | ||||
全長 | 24.4m | ||||
代表径 | 2.6m | ||||
全備重量 | 91t | ||||
ペイ ロード | 基本形態:1,200kg/LEO(250km×500km) オプション形態:700kg/LEO(500km 円軌道) オプション形態:450kg/SSO(500km 円軌道) | ||||
段数 | 第1段 | 第2段 | 第3段 | オプション | フェア リング (投棄分) |
使用 モータ | SRB-A3 | M-34c | KM-V2b | 小型液体 ステージ (PBS) | - |
各段質量 | 75.0t (フェアリング非投棄分 含む) | 12.3t | 2.9t (基本) 3.3t (オプション) | 0.3t (3段に含む) | 0.8t (投棄分) |
推進薬 質量 | 66.3t | 10.8t | 2.5t | 0.1t | - |
真空中 推力 | 2,271kN | 371.5kN | 99.8kN | - | |
比推力 | 284s (真空中) | 300s (真空中) | 301s (真空中) | 215.0s (連続) | - |
全燃焼 秒時 | 116s | 105s | 90s | - | |
マス レシオ | 0.911 | 0.927 | 0.92 | - | - |
強化型イプシロン(2号機〜) | |||||
全長 | 26m | ||||
代表径 | 2.6m | ||||
全備質量 | 基本形態:95.1t オプション形態:95.4t | ||||
ペイロード | 基本形態:1,500kg/LEO(250km×500km) 基本形態(夏季):365kg/長楕円(200km×30,700km) 基本形態(冬季):365kg/長楕円(200km×33,100km) オプション形態:590kg/SSO(500km円軌道) | ||||
段数 | 第1段 | 第2段 | 第3段 | オプション | フェアリング (投棄分) |
使用モータ | SRB-A3 | M-35 | KM-V2c | 小型液体ステージ (PBS) | - |
各段質量 | 74.5t | 17.2t | 2.9t(基本) 3.2t(オプション) | TBA | 0.8t |
推進薬質量 | 66t | 15t | 2.5t | TBA | - |
真空中推力 | 2,350kN | 445kN | 99.6kN | - | |
比推力 | 284s (真空中) | 295s (真空中) | 299s (真空中) | TBAs (連続) | - |
全燃焼秒時 | 108s | 129s | 88s | - | |
マスレシオ | TBA | - |
打ち上げ実績 †
号機 | 打ち上げ年月日 | 成否 | 機体構成 | 搭載衛星 | 備考 |
試験機 (1号機) | 2013/09/14 | 成功 | SRB-A M-34c KM-V2b PBS 制振機構有 | 「ひさき(SPRINT-A)」 | 惑星分光観測衛星 (惑星宇宙望遠鏡) |
2号機 | 2016/12/20 | SRB-A M-35 KM-V2c | 「あらせ(ERG)」 | ジオスペース探査衛星 | |
3号機 | 2018/01/18 | SRB-A M-35 KM-V2c PBS | 「ASNARO-2」 | 高性能小型レーダー衛星 |
*1 M-Vが約75億円だったところ、1号機(試験機)では53億円。最終的には30億円以下での打ち上げを目指しているという。
*2 これにより、発射直前にトラブルを検知して自動で停止することもできる。
*3 究極的には「市販のノート型パソコン2台で管制できる」ともいう。
*4 当初は同年8月に打ち上げの予定だったが、2度にわたりトラブルが発生したため延期されていた。