【アメリカ沿岸警備隊】(あめりかえんがんけいびたい)

United States Coast Guard(USCG)

アメリカ合衆国の海上警察機構(司法警察?)。
アメリカ政府管轄下の軍事組織であるが、国防総省の管理下にある空軍及び海兵隊とは異なり、アメリカ国土安全保障省が監督官庁となっている。
ただし、戦時においては大統領令によってアメリカ国防総省の指揮下に入る。

長官以下約42,000名の人員、「カッター」と呼ばれる大型巡視船?などの船舶・航空機多数を擁し、アメリカ各地に置かれた拠点*1をベースに以下のような活動に従事する。

  • 司法警察?としての活動(主にアメリカ合衆国の排他的経済水域内。以下同じ)
    • 航行中の船舶内で起きた犯罪の捜査及び被疑者の拘束
    • 海上における防犯活動
    • 漁船の違法操業、密貿易、違法出入国、海賊行為などへの対処
    • 重要港湾や船舶の警備
  • 海上において起きた事故への対処
    • 事故船舶・航空機及びその乗員・乗客の捜索救難
    • 流出した汚染物質の除去
  • 海洋調査(海流・海底地形などの科学的調査及び観測活動)
  • 海上交通業務
    • 海図の作成
    • 灯台、航路標識、その他航法支援施設の設置・運営

関連:海上保安庁 SEALs

略史

本隊は、1790年8月4日に財務省の一部署として設置された「税関監視艇局」が前身である。
同局の創設が海軍よりも先*2であったことから「アメリカ合衆国最初の艦隊」とも呼ばれている。*3

その後、1915年1月に救命局、1939年に灯台局を統合し、現在の沿岸警備隊の形となった。
第二次世界大戦後の1967年に運輸省が設置されると、沿岸警備隊は財務省から運輸省の傘下に移管された。
そして2003年3月、先の同時多発テロの教訓から国内治安組織の再編が行われたことを受け、新設された国土安全保障省の管轄となった。

主要装備

階級

NATO統一給与等級階級
士官将官O-10大将*4
O-9中将
O-8少将
O-7准将
佐官O-6大佐
O-5中佐
O-4少佐
尉官O-3大尉
O-2中尉
O-1少尉
准士官*5W-44等准尉
W-33等准尉
W-22等准尉
下士官E-9沿岸警備隊最先任上級兵曹長
地域等最先任上級兵曹長
部隊等最先任上級兵曹長
最先任上級兵曹長
E-8上級兵曹長
E-7兵曹長
E-6一等兵曹
E-5二等兵曹
E-4三等兵曹
E-3上等水兵
E-2一等水兵
E-1二等水兵
 

*1 日本にも東京の在日米軍横田基地に極東支部が置かれている。
*2 これより先、英国からの独立戦争を戦った「大陸海軍」が存在したが、独立戦争終結と共に解散しており、現在のアメリカ海軍は1794年、連邦議会の決定により再設置されたものである。
*3 この歴史的経緯から、後に「沿岸警備隊は戦時には軍に組み込まれ、海軍の『第1艦隊』として活動する」という誤解が生まれる事になった。
  なお、海軍に実在した「第1艦隊」は1946年〜1973年まで太平洋艦隊の隷下で活動していた部隊であるが、第3艦隊に統合される形で廃止された。

*4 1名は沿岸警備隊長官を務める。
*5 5等及び1等准尉は置かれていない。

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