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*&ruby(あいおわ){【アイオワ】}; [#h4eba05a]
アメリカ大陸中西部にある、アメリカ合衆国の州「アイオワ州」(原義)。~
後述のとおり、[[アメリカ海軍]]の[[艦艇]]の名前として何度か用いられている。~
[[アメリカ海軍]]の[[艦艇]]の名前として何度か用いられている。~

**前ド級海防戦艦(BB-4) [#j793973f]
USS Iowa(BB-4((なお、現役当時は「Battleship No.4」と呼ばれていた。&br;  現在の艦籍記号分類ができたのは1921年のことであった。))).~
+[[USS Iowa(Battleship No.4 / BB-4)>アイオワ(BB-4)]]~
アメリカが1897年に竣工した[[前ド級]][[海防戦艦>戦艦]]。姉妹艦はない。~
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1890年代に建造された[[前ド級]][[海防戦艦>戦艦]]。姉妹艦はない。~
1897年に竣工し、[[第一次世界大戦]]にも参戦した((この時は既に練習艦となっていた。))が、1919年4月に後述の[[超ド級]][[戦艦]](BB-53)に艦名を譲って「海防戦艦4号」と改名され、無線操縦標的艦となる。~
1923年に[[ワシントン海軍軍縮条約]]により除籍され、パナマ湾で撃沈処分された。

**超ド級戦艦(BB-53) [#zaa446b7]
USS Iowa(BB-53).~
~
1910年代「三年計画」により計画・発注された「サウス・ダコタ」級[[超ド級]][[戦艦]]の5番艦。~
+USS Iowa(BB-53)~
1910年代、アメリカの「三年計画」により計画・発注された「サウスダコタ」級[[超ド級]][[戦艦]]の5番艦。~
1922年、[[ワシントン海軍軍縮条約]]の発効に伴って工程31.8%のところで建造中止となり、スクラップとして売却された。~

**超ド級高速戦艦(BB-61) [#a2151f0c]
USS Iowa(BB-61).~
~
1939年に設計、1940年代に建造された[[超ド級]][[高速戦艦>戦艦]]。~
姉妹艦に「ニュージャージー(BB-62)」「ミズーリ(BB-63)」「ウィスコンシン(BB-64)」の3隻がある。~
>この他に「イリノイ(BB-65)」「ケンタッキー(BB-66)」の2隻が建造中だったが、[[第二次世界大戦]]の終結に伴って建造が中止されている。

アメリカ史上最強の、そして最後の[[戦艦]]となった。~
+[[USS Iowa(BB-61)>アイオワ(BB-61)]].~
1939年に設計、1940年代に建造された[[超ド級]][[戦艦]]。~
アメリカ史上最後の[[戦艦]]であり、人類史上最後に実戦投入された[[戦艦]]でもある(3番艦「ミズーリ」が[[湾岸戦争]]に参戦)((なお、人類史上最後に就役した戦艦はフランスの「ジャン・バール」である(1955年就役・1961年退役)。))。~
~
[[第二次世界大戦]]前夜、まだ[[仮想敵国]]であった日本の[[金剛型>金剛]]を捕捉・撃滅する事を目的として設計された。~
当時日本が開発していた新型戦艦(後の[[大和型>大和]])との交戦((これについては「モンタナ」級を充てる計画だったが、建造される事はなかった。))は想定されていない。~
~
パナマ運河を通行する関係上、船体の幅に限界があるため、船体形状が前後に細長くつくられた。~
この関係で[[砲塔]]も大きくすることができず、[[主砲>艦載砲]]は同世代の[[大和型>大和]]より小口径なものになった。~
一方で、機関に高温・高圧のボイラーを採用したことにより、戦艦としては珍しく最大速度30[[ノット]]を越える優速を発揮できた((ただし、機関に負荷を与えない制限があったこと、全速力ではツインスケグを原因とする異常振動を発生する癖があり、砲撃が不可能に陥る欠陥があったため、実用的な速力は30ノットとされる。))。~
[[装甲]]は45[[口径]]40.6cm砲に対応し、前世代と比べて甲板・主砲・司令塔の装甲が強化されている。~
とはいえ、自身の搭載砲である50口径40.6cm砲への[[対応防御]]には至らなかった。~
~
ネームシップの「アイオワ」は1943年に就役したが、その時点ですでに[[戦艦]]の時代は終わっており、敵の戦艦と砲火を交えることはなかった。~
[[航空主兵主義]]に支配された太平洋にあって、本級はもっぱら地上への[[支援砲撃>制圧射撃]]や[[航空母艦]]の護衛に従事した。~
また、儀仗としても用いられ、1945年9月に東京湾で行われた日本の[[降伏]]調印式では三番艦「ミズーリ」が式場として選ばれている。~
~
大戦終結後、[[ミサイル]]が投入される新時代の戦争に対して[[戦艦]]は全く戦略的利点を提供できなくなり、兵器としての意義を失った。~
[[朝鮮戦争]]や[[ベトナム戦争]]では対地砲撃任務を行ったが、まもなく[[艦隊]]から外され、記念艦や[[モスボール]]となって軍役を退いた。~
+USS Iowa(SSN-797)~
[[ヴァージニア]]級[[原子力攻撃潜水艦>攻撃潜水艦]]の24番艦(ブロック4)に予定されている艦名。~

***「600隻艦隊構想」での復活 [#vdce9eaf]
1980年代、アメリカのレーガン政権は「強いアメリカ」と称する[[ドクトリン]]を掲げ、軍備増強に着手。~
その一環として生まれた「600隻艦隊構想」と称される[[海軍]]の[[再編成]]計画の中で、残存するアイオワ級戦艦4隻の現役復帰が試みられた。~
~
この際の近代化改修では副砲が撤去され、[[巡航ミサイル]]、[[対艦ミサイル]]、[[ファランクス]]システムに換装された。~
この改修戦艦はレバノン内戦に投入され、主砲斉射でシリア軍司令部を爆散せしめる戦果を挙げている。~
とはいえ、一度退役した40年前の戦艦の運用には大きな問題があり、以下のような報告が挙げられている。

-改修しても1980年代の水準に追随可能な防空・対潜能力を持つ事はできず、単艦で行動できなかった。
-[[装甲]]は40年前の水準のままであり、当時の[[対艦ミサイル]]に対してきわめて脆弱だった。
-戦艦を一切運用しない時代を経ていたため、[[艦載砲]]の運用技術が断絶していた。
-[[海上抑止力>抑止力]]を発揮する役割が[[弾道ミサイル原潜>戦略潜水艦]]に移行していた。
-艦自体の老朽化が著しく、航行中にトラブルが続発した。
-40年前の[[艦載砲]]を使うより、[[空母>航空母艦]][[艦載機]]や[[巡航ミサイル]]で[[空爆]]した方がはるかに効率的で安全だった。

>結局のところ、何故こんな事が着想されたのかは定かでない。~
一種の儀仗・宣伝として戦艦の偉容を用いようとしたとも、新たな戦艦を建造する計画の事前調査とも言われていた。~
また、別の一説には、当時ソ連が就役させた[[キーロフ級>キーロフ]][[ミサイル巡洋艦>巡洋艦]]を「戦艦の復活」と分析していたとも言われる。~

やがて[[冷戦]]終結とともに軍縮が始まると、元より余命の短い本級は再び[[予備役]]編入となった。~
「ミズーリ」が[[湾岸戦争]]に参戦したのを最後に全艦が艦隊から外され、その後も戦場に引き戻される事はなく、やがて時を経て除籍。~
これにより、世界の海軍から「戦艦」という艦種が消滅することになった。~

***スペックデータ [#r17f8874]
|全長|270.43m&br;270.7m(ニュージャージー)|
|全幅|32.96m|
|[[排水量]]&br;([[基準>基準排水量]]/[[満載>満載排水量]])|45,280t/57,256t|
|吃水|10.60m|
|機関|蒸気タービン方式 4軸推進&br;バブコック&ウィルコックス式 M-Type重油専焼ボイラー×8基&br;[[GE>ジェネラルエレクトリック]]式または[[ウェスチングハウス>ウェスティングハウス]]式[[蒸気ギヤードタービン>蒸気タービン]]×4基|
|出力|212,000馬力|
|最大速度|約33.0[[ノット]]|
|[[航続距離]]|16,600[[海里]](15ノット時)|
|乗員|艦長以下1,921名|
|兵装|Mark7 50口径16インチ(40.6cm)3連装砲×3基&br;Mk.30 38口径5インチ(12.7cm)連装両用砲×10基&br;ボフォース 40mm4連装機銃×15基&br;エリコンFF 20mm単装機銃×60基|
|兵装&br;(近代化改修(FRAM I)後)|Mk.143「ABL((Armored Box Launcher:装甲ボックスランチャーの略。))」 4連装ミサイル発射器×8基&br;([[トマホーク>BGM-109]][[SLCM>巡航ミサイル]]を装備)&br;4連装[[SSM>対艦ミサイル]]発射筒×4基([[ハープーン]]SSMを装備)&br;[[ファランクス]]20mm[[CIWS]]×4基|
|[[艦載機]]|[[水上偵察機>水上機]]×3機&br;(改修後)&br;[[SH-60「シーホーク」>SH-60]][[対潜ヘリコプター]]×2機|
|設備|[[カタパルト]]×2基|
|[[装甲]]|舷側:310mm+38mm&br;甲板:38mm+159mm&br;主砲防盾:432mm+64mm&br;主砲座:439mm&br;司令塔:439mm&br;隔壁:340mm〜44mm|
~
***同型艦 [#pb50f8ca]
|艦番号|艦名|起工|進水|就役|[[不活性化>モスボール]]|再就役|退役|備考|
|BB-61|アイオワ&br;(USS Iowa)|1940.6.27|1942.8.27|1943.2.22|1949.3.24&br;(1回目)&br;1958.2.24&br;(2回目)&br;1990.10.26&br;(3回目)|1951.8.25&br;(1回目)&br;1984.4.28&br;(2回目)|2006.3.17|記念艦として公開|
|BB-62|ニュージャージー&br;(USS New Jersey)|1940.9.16|1942.12.7|1943.5.23|1948.6.30&br;(1回目)&br;1957.8.21&br;(2回目)&br;1969.12.17&br;(3回目)&br;1991.2.8&br;(4回目)|1950.11.21&br;(1回目)&br;1968.4.6&br;(2回目)&br;1982.12.28&br;(3回目)|1999.11|2001.10.&br;記念艦として公開|
|BB-63|ミズーリ&br;(USS Missouri)|1941.1.6|1944.1.29|1944.6.11((ウィスコンシンの方が先に就役したため、本艦はアメリカ海軍が就役させた最後の戦艦となった。))|CENTER:-|1986.5.10|1955.2.26&br;(1回目)&br;1992.3.31&br;(2回目)|1999.1.29&br;記念艦として公開(([[真珠湾]]の[[アリゾナ]]記念館の後方に位置する形で公開されている。))|
|BB-64|ウィスコンシン&br;(USS Wisconsin)|1941.1.25|1943.12.7|1944.4.16|1948.7.1&br;(1回目)&br;1958.4.8&br;(2回目)&br;1991.9.30&br;(3回目)|1951.3.3&br;(1回目)&br;1988.1.21&br;(2回目)|2006.3.17|記念艦として公開|
***建造中止艦 [#x233835b]
|艦番号|艦名|起工|進水|就役|退役|備考|
|BB-65|イリノイ&br;(USS Illinois)|1945.1.15|>|>|CENTER:-|1945.8.12建造中止&br;完成度22%(中止決定時)&br;1958.9.&br;スクラップとして売却|
|BB-66|ケンタッキー&br;(USS Kentucky)|1944.12.6|1950.1.20|>|CENTER:-|1947.2.17 建造中止&br;完成度72.1%(中止決定時)&br;進水後に[[モスボール]]保管&br;1956.&br;艦首部分21mを「ウィスコンシン」&br;に移植(([[フレッチャー]]級[[駆逐艦]]「イートン(USS Eaton, DDE-510)」との衝突事故による修復のため。))&br;1958.10.31&br;スクラップとして売却((搭載されていた主機は、[[サクラメント]]級[[高速戦闘支援艦>補給艦]]1番艦「サクラメント(USS Sacramento, AOE-1)」と2番艦「カムデン(USS Camden, AOE-2)」に転用された。))|
~
**原子力攻撃潜水艦(SSN-797) [#be60878a]
USS Iowa(SSN-797).~
~
[[ヴァージニア]]級[[原子力攻撃潜水艦>攻撃潜水艦]]の24番艦に予定されている艦名。~


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