【しらね】(しらね) †

海上自衛隊・ヘリコプター搭載型護衛艦「しらね（JS Shirane（DDH-143））」。

1970年代末期に建造され、1980年代初頭に就役した、対潜ヘリコプターの母艦機能を備えた大型護衛艦。
同型艦に「くらま（JS Kurama DDH-144）」がある。

1970年代初頭の「第四次防衛力整備計画」で建造された「はるな」型?護衛艦を拡大・発展させたものである。
こんごう型護衛艦が就役するまでは海上自衛隊で最大の護衛艦で、蒸気タービン推進方式を採用した最後の護衛艦でもあった。

はるな型と異なり、当初から高性能20ミリ機関砲（CIWS）を備え、また、個艦防空用としてRIM-7「シースパロー」短SAMを搭載した。
このため、「はるな」型に比べてより防空能力に優れた艦となったが、その分、排水量が200〜300トン増加している。

これらの兵装はヘリコプターの離着艦の邪魔にならないよう、艦の前方部に集中配置されていた。
これは往時の航空巡洋艦や航空戦艦とも似たレイアウトであった。

また、各部隊の情報をデジタル・コンピューターで統括する戦術データリンク（リンク11）が初めて装備され、部隊の情報を一元管理できる様にはなったが、当時の戦術情報処理装置（OYQ-3）との連接はなされていなかった。

しかし一方で、国産の対潜情報処理装置・OYQ-101が装備され、「八八艦隊」中での対潜中枢艦としての能力が高められていた。

2007年にCIC内で発生した火災*1ではOYQ-3および指揮通信系統を焼損し、先に退役した「はるな」(DDH-141）のOYQ-6が移植されている。

就役以来、長年にわたって護衛艦隊の主力艦として活躍してきたが、2015年3月に就役したいずも型と交代で退役した。
一方、姉妹艦の「くらま」も、2017年3月に就役したいずも型2番艦「かが」と交代で退役した。

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性能諸元 †

艦種ヘリコプター護衛艦（DDH）
主造船所石川島播磨重工業 東京第一工場
排水量
（基準/満載）		5,200t/6,800t
全長159m
最大幅17.5m
深さ11m
喫水5.3m/5.5m（DDH-144）
推進方式蒸気タービン推進
主缶石川島播磨・フォスターホイーラー FWD2 2胴型水管缶×2基（60kgf/c�屐�480℃）
主機石川島播磨 2胴衝動型蒸気タービン×2基（出力35,000hp）
推進器スクリュープロペラ×2軸
機関出力70,000ps
電源蒸気タービン主発電機×2基（出力1,200kW）
ディーゼル主発電機×2基（出力300kW）
最大速力32ノット/31ノット（DDH-144）
航続距離6,000海里（20ノット巡航時）
乗員350名/360名（DDH-144）
兵装73式54口径5インチ（127mm）単装速射砲×1門
高性能20mm機関砲（CIWS）×2基
Mk.25 GMLS 8連装短SAM発射機×1基（シースパロー用）
※後に短SAM発射機3型（GMLS-3）*2に更新。
74式8連装アスロックランチャー×1基
68式324mm3連装短魚雷発射管（HOS-301）×2基
艦載機HSS-2A/B/SH-60J/K哨戒ヘリコプター×3機
C4ISTARAN/WSC-3 SATCOM
※後にAN/USC-42に換装
海上作戦部隊指揮統制支援システム（MOFシステム）端末
（NORA-1、NORQ-1 SATCOM）※後日装備
海軍戦術情報システム（NTDS）
（OYQ-3 TDPS（OYQ-6-2（しらね*3））＋リンク11/14）
OYQ-101 ASWDS
TDS-2-2 目標指示装置
FCSFCS-1A?×2基（主砲用）
WM-25?×1基（短SAM用、後にFCS-2-12に更新）
SFCS-6×1基（水中攻撃用）
レーダーOPS-12? 3次元式×1基
OPS-28 対水上用×1基（後日装備）
OPS-22 航海・着艦誘導用×1基（後日撤去）
OPN-8 高度測定・着艦誘導用×1基（後日撤去）
ソナー75式探信儀 OQS-101 艦首装備式×1基
SQS-35(J) 可変深度式×1基
SQR-18A 曳航式×1基
電子戦・対抗装備NOLQ-1 ESM/ECM装置
OLR-9B RWR装置
Mk.36 SRBOCデコイ展開システム
（Mk.137 6連装チャフ・フレア発射機×4基）
AN/SLQ-25「ニクシー」曳航式音響デコイ


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同型艦 †

艦番号艦名起工進水就役退役（最終）所属
DDH-143しらね
（JS Shirane）		1977.2.251978.9.181980.3.172015.3.25第3護衛隊群
第3護衛隊
（舞鶴基地）
DDH-144くらま
（JS Kurama）		1978.2.171979.9.201981.3.272017.3.22第2護衛隊群
第2護衛隊
（佐世保基地）


*1 CIC内に無許可で持ち込まれ、艦内の電圧に変圧されていなかった中国製の保冷温庫の過熱による。
*2 シースパローIBPDMS用に新規設計されたMk.29 GMLS発射機を国産化したもの。
*3 「はるな」に搭載されていたもの。火災事故後に換装。

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