【しらせ】(しらせ)

AGB-5002/AGB-5003 Shirase

日本の海上自衛隊が保有する砕氷艦。
1982年に就役し、2008年に退役した初代*1と、同艦の後継として2009年に就役した二代目が存在する。

本項では両艦に共通する項目を扱い、個々の艦の事情についてはそれぞれのページに記述を譲る。

書類上の帰属は日本政府・文部科学省隷下の国立極地研究所。
船舶運用は防衛省海上自衛隊に委託されている。
通称「南極観測船」で、実際に観測にも用いられるが、主たる用途は南極の観測基地への物資補給・人員輸送である。

命名の由来は南極大陸の地名"白瀬氷河"から。
この白瀬氷河は南極探検で功績を残した探検家・白瀬矗(しらせのぶ)(1861〜1946)に因む。
このため、日本の船舶命名規則では忌避される「人名に由来する命名」が為された唯一の公船となっている。

初代の就役時、この命名に関して旧海軍出身者から「軍艦に陸軍軍人の名をつけるとは何事か」との批判があったという。
なお、命名規則を破った事を問題視したのか、白瀬氏が旧陸軍予備輜重兵中尉であった事を問題視したのかは定かでない。

運用について

本艦は、自衛艦としての編制上では横須賀港を母港とする。
しかし、運用スケジュールは他の自衛艦と大幅に異なっている。

8月下旬〜10月初旬
乗員の訓練を兼ねた日本一周航海を行い、日本各地の港で一般公開を行う。
11月初旬
観測隊の物資を搭載して東京・晴海埠頭から出港。
12月半ば〜翌年1月初旬
南極へ入り、昭和基地に到着。観測隊員を編入させ、物資を搬入する。昭和基地への補給は例年この1回のみ。
翌年2月
研究資料・廃棄物・観測隊員のうち越冬する予定のない者(南極の冬は7〜9月)を載せて帰途に付く。
隊員の3分の2ほどは越冬しない「夏隊」。
また、昭和基地では新生児医療が不可能なため、女性隊員の妊娠検査を行い、妊娠が発覚した者は強制帰国となる。
4月初旬
東京へ帰港して物資を降ろした後、横須賀へ入渠して艦体を整備。

元々は観測隊員も横須賀港から乗船し、横須賀や東京で下船していた。
しかし近年では隊員は飛行機などで先行し、オーストラリアに寄港して乗船・下船するようになっている。


*1 現在は「一般財団法人WNI気象文化創造センター」が所有し、気象情報サービス会社「ウェザーニューズ社」が気象観測船として運用している。

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