*&ruby(えふにえー){【F2A】}; [#u7c02d7c]
Brewster F2A "&ruby(バッファロー){Buffalo};".~
~
ブリュースター社が開発し、[[第二次世界大戦]]初期に使用された[[アメリカ海軍]]の[[艦上戦闘機]]。~
1,000馬力級[[空冷エンジン]]を積んだずんぐり太い[[単葉>単葉機]]の胴体に、引き込み脚や[[アレスティングフック]]、密閉式[[コックピット]]など、当時としては革新的な要素を多数盛り込まれて設計され、1939年に[[アメリカ海軍]]への実戦配備が始まった後はフィンランドや英国などにも供与された。~
~
開戦後は太平洋地域で使用されたが、鈍重だったため、同時期に[[日本軍]]の主力だった[[零戦>零式艦上戦闘機]]や[[隼>隼（戦闘機）]]に対しては、[[速度]]、[[上昇力>上昇率]]、[[運動性]]、[[航続距離]]の全てにおいて明らかに劣り、[[ミッドウェー海戦]]では[[海兵隊>アメリカ海兵隊]]に所属していた((所属はVMF-221（第221海兵戦闘飛行隊）。))F2A-3・19機が[[零戦>零式艦上戦闘機]]相手に13機損失と一方的な損害を出した。~
このため、太平洋戦線では1942年夏までに多くが第一線を退き、以後はフロリダ州のペンサコーラおよびマイアミの[[海軍基地>飛行場]]に駐留する海軍訓練飛行隊で[[練習機]]として用いられた。~
~
しかし、フィンランド軍に供与された機体「ブルーステル」（F2Aのフィンランドでの呼称）は、[[航空母艦]]上での運用のための様々な装備が省かれていたほか、[[エンジン]]や[[計器]]などが変更されたこと、フィンランド空軍の精強なパイロットによって十分な性能を発揮し、ソビエト連邦との継続戦争序盤から奮戦、喪失21機（事故含む）に対し[[ソ連軍]]相手に456機撃墜と大きな活躍を見せた。~
また、数々の[[エースパイロット]]を生み出したことから「タイバーン・ヘルミ（taivaan helmi：空の真珠）」((他の愛称として「Lentävä kaljatynnyri（空飛ぶビールケグ((Keg：ビールの貯蔵・輸送容器のこと。))）」や「Pylly-Valtteri（ヴァルッテリ((当機が導入された際のフィンランドの国防大臣の名。))の尻）」などがあった。))と賞賛され、1943年に[[Bf 109 G>Bf109]]の導入で旧式化した後も、ラップランド戦争終結の1945年まで使用され続けた。また、フィンランドは本機の国産化も試みた(失敗)。~
~
関連：[[F4F]] [[エイノ・イルマリ・ユーティライネン]] [[ハンス・ヘンリック・ウィンド]]
**スペックデータ[#u7c02d7c]
|>|CENTER:''F2A-2''|
|乗員|1名|
|全長|8.03m|
|全高|3.68m|
|全幅|10.67m|
|翼面積|19.41��|
|自重|2,146kg|
|最大重量|3,247kg|
|[[発動機>エンジン]]|[[ライト>カーチス・ライト]] [[XR-1820-22「サイクロン」>R-1820]] [[空冷>空冷エンジン]]星型9気筒×1基（XF2A-1（B-139））&br;[[ライト>カーチス・ライト]] [[R-1820-34「サイクロン」>R-1820]] [[空冷>空冷エンジン]]星型9気筒×1基（F2A-1）&br;[[ライト>カーチス・ライト]][[R-1820-40/42「サイクロン」>R-1820]][[空冷>空冷エンジン]]星形9気筒×1基（F2A-2/-3）|
|出力|950hp（708kW）（XF2A-1）&br;940hp（700kW）（F2A-1）&br;1,200hp（890kW）（F2A-2/-3）|
|[[速度]]&br;（最大/巡航）|517km/h（[[高度]]5,070m）/415km/h|
|[[実用上昇限度>上昇限度]]|10,120m|
|[[航続距離]]|1,553km|
|固定武装|F2A-1：&br;[[ブローニングAN/M2 12.7mm機関銃>ブローニングM2]]×3挺（機首×1+翼内×2）&br;ブローニング M1919 7.62mm[[機関銃]]×1挺（機首）&br;F2A-2/-3：&br;[[ブローニングAN/M2 12.7mm機関銃>ブローニングM2]]×4挺（機首×2+翼内×2）&br;Buffalo Mk.�機�B-339E）：&br;ブローニング.303 Mk.�� 7.7mm航空機関銃×6挺（機首×2＋翼内×4）|
|爆装|最大90.8kg（45kg爆弾×2等）（F2A-2/-3）|
~
|>|CENTER:''VLフム''|
|乗員|1名|
|全長|8.03m|
|全高|3.66m|
|翼幅|10.67m|
|翼面積|19.40��|
|翼型|root：NACA 23018&br;tip：NACA 23009|
|最大離陸重量|2,895kg|
|[[エンジン]]|シュベツォフ M-63（[[ASh-62]]）[[空冷>空冷エンジン]]星型9気筒×1基&br;（出力1,000hp（746kW））|
|[[プロペラ]]|3枚可変ピッチプロペラ|
|最大速度|430km/h|
|巡航高度|8,000m|
|[[上昇率]]|13.3m/s|
|武装|LKk/42 12.7mm[[機関銃]]×2挺|
~
**派生型（カッコ内は生産機数）[#h9d85577]
-XF2A-1（B-139）：~
ライトR-1820-22エンジン（950馬力（710kW））を搭載する原型機。~
武装は[[機首]]に[[ブローニング AN/M2 50口径12.7mm重機関銃>ブローニングM2]]と[[ブローニング AN/M2 30口径7.62mm機関銃>ブローニングM1919]]を1基ずつ装備。~
~
-XF2A-2：~
ライトR-1820-40エンジン（1,100馬力(820kW））を搭載する改良原型機。~
XF2A-1から改造された。~
~
-F2A-1（11機）：~
ライトR-1820-34エンジン（940馬力）を搭載する初期生産型。~
機首が再設計され、[[垂直尾翼]]が拡大されている。~
武装も、AN/M2 50口径12.7mm機関銃が左右主翼に1基ずつ追加され4挺に強化された。~
~
-F2A-2（43機）：~
エンジンを出力強化型のR-1820-40（1,200馬力）に変更し、武装を機首・主翼共にブローニングAN/M2 12.7mm機関銃に統一した型。~
主翼下に100ポンド（約45.4kg）の爆弾を搭載できる能力が追加された。~
~
-F2A-3（108機）：~
防弾装備を強化し、[[偵察機]]としての任務にも適するよう[[燃料]]搭載量を増大させた型。~
エンジンカウリングや[[キャノピー]]も再設計されている。~
[[航続距離]]は増加したが、重量増加のため運動性は低下した。~
~
-XF2A-4（1機）：~
XF2A-2を改造して試作された性能向上型。~
新型[[フラップ]]と[[エルロン>補助翼]]を備え、翼内[[機銃]]を片側3丁に増加させた[[主翼]]への変更、[[エンジン]]を2段[[過給器]]付のライト[[R-2600-12「ツイン・サイクロン」>R-2600]]（1,700馬力）とし、胴体を18インチ延伸、機首機銃を廃止する等の改良を加え、[[コックピット]]に与圧装備を施した。~
~
-B-239（44機（フィンランド空軍））：~
エンジンをR-1820-G5（950馬力）、 照準器をドイツのレフィ、計器をオランダのフォッカー社製に変更した輸出型((当時、フィンランドがソ連との冬戦争中だったため、交戦国に軍事物資の輸出を禁止する法律によって[[アメリカ海軍]]制式装備の輸出が認められなかったためである。))。~
機銃は機首にコルトM40 7.62mm機関銃、機首と主翼にコルトM53 12.7mm機関銃の計4挺だったが、機首のコルトM40は後にコルトM53に変更された。~
~
-B-339（40機）：~
輸出型。~
ベルギーが発注したが、受領する前にドイツに占領されたため、[[イギリス空軍>RAF]]に回された。~
~
-B-339C（24機）：~
エンジンをR-1820-G105（1,000馬力）に変更した輸出型。~
オランダ領東インド陸軍航空隊が使用した。~
~
-B-339D（48機）：~
エンジンをR-1820-40に変更した輸出型。~
オランダ領東インド陸軍航空隊が使用した。~
~
-B-339E（170機）：~
エンジンをR-1820-G-105に変更した輸出型。~
[[イギリス空軍>RAF]]が使用した。~
~
-B-439（20機）：~
エンジンをR-1820-G205A（1,200馬力）に変更した輸出型。~
オランダ領東インド陸軍航空隊が使用した。~
~
-VL フム：~
フィンランド国営航空機工場がF2Aの設計をベースに製作した戦闘機。~
名称のフム(Humu)は渦巻くものの意。~
主翼に装備されていた機関銃は胴体に移設されている。~
90機発注されたが、[[エンジン]]が非力であったことや重量が計画値より増加したことで、標準的な性能には及ばないと判断され量産中止になった。~
現在は、試作型がフィンランド中央航空博物館に展示されている。~
~
