*&ruby(きたいきごう){【機体記号】}; [#e1eeb0b0]
aircraft registration.~
~
ある組織に属する[[航空機]]を識別するために与えられる、[[他と重複しない一意の記号>シリアルナンバー]]。~
「機体番号(機番)」「レジ」「レジスタ」「[[シリアル>シリアルナンバー]]」などとも呼ばれる。~
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主として[[コックピット]]の付近・[[垂直尾翼]]・[[主翼]]などに記載される。~
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なお、日本の[[航空法]]上の規定では「国籍記号」「登録記号」と呼ばれる。
**民間機の表記法 [#c674993c]
民間機の機体記号については、国際的に統一された表記法が存在する。~
国籍を表す英字1〜2文字と、国ごとに定めた区分で数字や英字4〜5文字を組み合わせて表記されている。~
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例えば、日本で登録を受けた民間機(警察・消防・[[海上保安庁]]や国土交通省で使用される機体も含む)には「JAxxxx」という表記がされている。~
「JA」が国籍を示し、後の「xxxx」が国土交通省の規定によって定められた機体の固有番号である。~
その表記例の一部を挙げる。~
-1960年に[[日本航空]]へ引き渡された、[[DC-8]]の国内第1号機 JA8001
-1970年、[[よど号事件]]の舞台となった[[日本航空]]の[[B727]] JA8315
-[[YS-11]]の試作第1号機((現在は千葉県山武郡芝山町の[[航空科学博物館]]に展示保存。)) JA8611
-[[B747SR]]の第1号機 JA8117(([[日本航空]]に引き渡されたが、[[123便墜落事故>日本航空123便墜落事故]]の責任を取る形でボーイングが買戻し、[[NASA]]に転売されて[[スペースシャトル]]輸送機(SCA)となった(アメリカでの機体記号はN911NA)。))
-1985年、[[日本航空123便墜落事故]]の事故機となった[[B747SR]] JA8119
-日本国政府専用機・[[B747-47C]]の当初の機体番号 JA8091/8092((総理府(現:内閣府)所有機とされたために与えられたが、まもなく[[防衛庁>防衛省]]に移管されて[[軍用機]]扱いとなり、航空自衛隊の機体記号(20-1101/20-1102)が与えられたため登録抹消されている。&br; なお、3機目の導入に備えて「JA8093」も予約されていたが、導入が見送られたため現在も使用されていない。))
-2005年、但馬空港で墜落事故死した[[ロック岩崎]]最後の乗機・ピッツS-2C[[曲技機]] JA22AR
***日本における機体記号の割り振り [#n2ce2260]
かつて運輸省(国土交通省)では、民間機に対して以下のように「JA」の後に続く登録番号を割り振っていた。~
一度使用された番号は、その機体が除籍された後は原則、再利用しないこととされていた((ただし、例外も少数ながらあった。))。~
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|数字の区分|機種|
|0000〜0999|第三種[[滑空機]]|
|1000〜1999|特殊機|
|2000〜2999|第一種・第二種滑空機、動力滑空機(モーターグライダー)|
|3000〜3999|単発[[ピストン>レシプロエンジン]]機|
|5000〜5999|多発ピストン機|
|6000〜6999&br;9000〜9999|[[ターボシャフト]]・[[ヘリコプター]]|
|7000〜7999|ピストン・ヘリコプター|
|8000〜8100|4発ジェット機([[DC-8]]・[[B747]]等)|
|8101〜8200|大型4発ジェット機(当初は[[B747]]のみが対象)|
|8301〜8400|3発ジェット機([[B727]]等)|
|8401〜8500|双発ジェット機([[B737]]等)|
|8501〜8600|大型3発ジェット機([[DC-10]]・L-1011等)|
|8601〜8700|[[ターボプロップ]]機([[YS-11]]等)|
|8201〜8300&br;8701〜8999|ジェット機・ターボプロップ機(機種未定義)|
|A0001〜A9999|[[熱気球>気球]]|
~
しかし、1990年代以降は登録機数の増加によってこの方式ではまかないきれなくなり、(8000番台に限って)順次欠番を割り振っていったため原則が崩れ、現在は「JA+3桁の数字+英字1字」「JA+2桁の数字+英字2字」という方式に改められている((ただし、英字の"I"、"O"、"S"は、数字の「1」「0」「5」と混同するため使用不可。))。~
また、[[大東亜戦争]]前は「J-abcd」という英国に似た表記法((たとえば[[神風号]]は「J-BAAI」、[[日本号>九六式陸上攻撃機]]は「J-BACI」という具合だった。))であったが、戦後の1952年に民間航空が再開されたとき、現在の表記法に改められた。
**軍用機における表記法 [#z05e3d7f]
[[軍用機]]の機体記号は各国が独自に定めており、一部は軍事機密とされている。~
一例として[[アメリカ空軍]]・[[アメリカ海軍]]/[[海兵隊>アメリカ海兵隊]]及び[[自衛隊]]([[陸上自衛隊]]・[[海上自衛隊]]・[[航空自衛隊]])のナンバー付与法を次に示す。~
~
***アメリカ空軍式付与法 [#b57694ef]
アメリカ空軍機では機体発注年度の下2桁と、その年度に発注された何番目の機体であるかを併記して機体記号としている(([[E-3]]には海軍のビューロナンバーに似た[[製造ナンバー>シリアルナンバー]]も与えられている。))。~
たとえば「88-0465」であれば「1988会計年度(1988年9月〜1989年8月)の予算で465番目に発注された機体」となる。~
***アメリカ海軍/海兵隊式付与法 [#o313fd84]
[[アメリカ海軍]]機、および[[海兵隊>アメリカ海兵隊]]機の機体記号は、空軍とは違って単純に「納入された順」に通し番号を付けていく方式で、「[[ビューロナンバー]]」と呼ばれる。~
2011年時点で168,000番を突破しているが、150,000番以前の機体は全て[[用途廃棄]]となっている。~
~
***陸上自衛隊式付与法 [#sec36513]
陸上自衛隊機は「JG」の後に4桁ないし5桁の数字を附して機体記号としている。~
//「JG」の後に続く数字の詳細は解りませんので、どなたかわかる方は補記お願いします。
***海上自衛隊式付与法 [#we3efea9]
海上自衛隊機は、下記の通り4桁の数字のみで機体記号としており、機種ごとに以下のように割り振っている。~
|分類|種別|型式|番号|
|[[固定翼機]]|[[哨戒機]]|[[P-3C>P-3]]|5001〜5109|
|~|~|[[P-1]]|5501〜5599|
|~|多用途機|[[OP-3C>P-3]]|9131〜9149|
|~|~|[[UP-3C>P-3]]|9151〜9159|
|~|~|[[UP-3D>P-3]]|9161〜9169|
|~|~|[[EP-3>P-3]]|9171〜9189|
|~|~|[[UP-3C>P-3]]|9151〜9159|
|~|~|U-36A|9201〜9219|
|~|[[救難機]]|[[US-1A>US-1]]|9074〜9099|
|~|~|[[US-2]]|9001〜9919|
|~|[[輸送機]]|[[C-130R>C-130]]|9051〜9059|
|~|連絡機|LC-90|9301〜9319|
|~|[[練習機]]|[[T-5]]|6301〜6399|
|~|~|TC-90|6801〜6849|
|[[ヘリコプター]]|[[哨戒ヘリコプター>対潜ヘリコプター]]|[[SH-60J>SH-60]]|8201〜8399|
|~|~|[[SH-60K>SH-60]]|8401〜8599|
|~|掃海・輸送ヘリコプター|[[MH-53E>CH-53]]|8621〜8649|
|~|~|[[MCH-101>AW101]]|8651〜8679|
|~|救難ヘリコプター|[[UH-60J>UH-60]]|8961〜8999|
|~|多用途ヘリコプター|[[CH-101>AW101]]|8191〜8199|
|~|~|[[USH-60K>SH-60]]|8901〜8909|
|~|練習ヘリコプター|[[OH-6D(A)>OH-6]]|8778〜8799|
|~|~|[[TH-135>EC135]]|8801〜8849|
***航空自衛隊式付与法 [#ca3b0703]
航空自衛隊機の機体記号はアメリカ空軍の方式と同様に「2桁-4桁」標記であるが、次のように定めている。~
:1桁目|機体納入年(西暦)の下1桁
:2桁目|機種&br; 0:[[F-1]]/[[B747-400>B747-47C]]&br; 1:[[T-3]]/[[T-400>MU-300]]&br; 2:[[YS-11]]/[[F-15J/DJ>F-15]]((J型1・2号機、DJ型1〜10号機は[[マクダネル・ダグラス]]社製のため、アメリカ空軍の機体ナンバーも与えられている。))&br; 3:[[MU-2]]/[[U-125A>U-125]]/[[F-2]]&br; 4:[[V-107>CH-46]]/[[E-2C>E-2]]((本機には、これとは別にアメリカ海軍のビューロナンバーも与えられている。))&br; 5:[[T-1]]/[[C-130]]/U-4&br; 6:[[T-4]]&br; 7:[[F-4EJ/EJ改/RF-4E/EJ>F-4]]/[[CH-47J>CH-47]]&br; 8:[[C-1]]/[[UH-60J>UH-60]]&br; 9:[[T-1]]/[[U-125]]
:3桁目|機体の主任務&br; 1:[[輸送機]]&br; 3:汎用機&br; 4:[[ヘリコプター]]&br; 5:[[練習機]]&br; 6:[[偵察機]]&br; 8:[[戦闘機]]
:4〜6桁目|用途及び機種ごとに予約された一連番号((コックピットにはこの数字が標記されている。))&br; 001〜:[[C-1]]/[[U-125A>U-125]]&br; 041〜:[[U-125]]&br; 051〜:[[F-15DJ>F-15]]/[[T-400>MU-300]]&br; 071〜:[[C-130]]&br; 091〜:B-65(現在は全機[[用途廃棄]])&br; 101〜:[[T-2]](現在は全機[[用途廃棄]])/[[B747-400>B747-47C]]&br; 151〜:[[YS-11]]&br;
201〜:[[MU-2]](現在は全機[[用途廃棄]])/[[F-1]](現在は全機[[用途廃棄]])/[[T-33A>F-80]](現在は全機[[用途廃棄]])/[[XC-2>C-2]]&br; 251〜:U-4&br; 301〜:[[F-4EJ/EJ改>F-4]]&br; 451〜:[[E-2C>E-2]]&br; 471〜:[[CH-47J>CH-47]]&br; 501〜:[[F-2]]/[[E-767>B767]]&br; 551〜:[[UH-60J>UH-60]]&br; 601〜:[[T-4]]&br; 801〜:[[V-107>CH-46]](現在は全機[[用途廃棄]])/[[F-15J>F-15]]/[[T-1A>T-1]](現在は全機[[用途廃棄]])&br; 851〜:[[T-1B>T-1]](現在は全機[[用途廃棄]])&br; 901〜:[[RF-4E/EJ>F-4]]
このため、「02-8801」とあれば「1980年に納入された[[F-15J>F-15]]の第1号機」、「20-1101」とあれば「1992年に納入された[[B747-400>B747-47C]]の第1号機」となる。