*&ruby(よどごうじけん){【よど号事件】}; [#m9dcd47b]
1970年3月、日本の極左反政府組織「革命的共産主義者同盟赤軍派（共産同赤軍派）」が決行した[[ハイジャック]]事件。~
日本で初めて起きたハイジャック事件でもあった。~
**事件の発端 [#za9a246a]
当時の日本は、日米安全保障条約の延長問題や沖縄諸島の返還問題、[[成田空港]]の建設に関する土地収用問題や、ベトナム戦争に対する反戦運動などから学生運動・労働運動や市民運動が活発であり、デモ隊と警察とが[[白兵戦]]を展開することがしばしば行われていた。~
そんな中で誕生した赤軍派は、反政府・反米武力闘争のために「Ｍ作戦((マフィア作戦。金融機関を襲撃して活動資金を得るもの))」「Ｐ作戦((ペガサス作戦。人質を取って要求を貫徹させるもの))」「Ｂ作戦((ブロンコ作戦。日本の警察当局の取締りから逃れるべく、海外に活動拠点を設置するもの))」と呼ぶ[[テロ>テロリズム]]を遂行しており、そのうちの「Ｐ」「Ｂ」両作戦の一環として行われたのがこの事件であった。~
**事件の経過 [#k30767c4]
1970年3月31日午前、[[羽田空港>東京国際空港]]発板付空港（現在の福岡空港）行き351便として飛行していた[[日本航空]]の[[B727]][[旅客機]]「よど」((当時の航空会社では、機体に固有の愛称をつけることがよく行われていた))に乗り込んだ犯行グループ（赤軍派メンバー9名）は、富士山上空で乗客・乗員を拘束。[[機長]]に対して「平壌国際空港へ行く」ことを要求した。~
機長は「北朝鮮まで飛べる[[燃料]]がない」ことを理由に板付で給油を行うことを提案。板付で給油を行った後((この時、日本の警察当局は犯行グループを捕えようとしたが失敗、乗客の一部が解放されたのみにとどまる))、朝鮮半島へ向かって再度離陸した。~
>ところがこの時、機長が犯行グループから受け取った地図は中学生が地理の授業で使っている地図帳のコピーという粗悪なものであった。
同日午後3時頃、朝鮮半島上空にあった「よど」は国籍不明の[[戦闘機]]によるインターセプトを受け、その誘導に従ってある[[飛行場]]に着陸。~
その飛行場は平壌国際空港のように偽装されていたが、犯行グループのメンバーによって韓国の金浦空港であったことが見破られてしまう。~
韓国当局が説得を続けるも犯行グループは機内に篭城したまま態度を硬化、一時は膠着状態に陥った。~
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4月3日、北朝鮮政府が「人道主義に基づき」犯行グループを受け入れることを表明。~
日本から飛んできた運輸省（現・国土交通省）政務次官の山村新治郎が人質（機内に残っていた乗客及び[[スチュワーデス>フライトアテンダント]]）の身代わりとなることで決着。~
同日午後、解放された乗客・スチュワーデスと入れ替わった山村次官を乗せた「よど」は再度北朝鮮を目指して離陸した。~
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だが、その時点でもパイロットたちにはまともな地図が持たされておらず、地上の管制塔からの誘導もないという状況の下、同日夕刻、平壌郊外の[[滑走路]]（[[朝鮮戦争]]当時に設営された飛行場跡地）に着陸。~
犯行グループ及び乗員、山村次官の計13名は北朝鮮当局により身柄を拘束された後、解放された乗員と山村次官が4月5日、「よど」と共に帰国して事件は終結した。~
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この事件がきっかけとなって「ハイジャック防止法」が制定・施行され、ハイジャックという行為が正式に「犯罪」として扱われることになった。
