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*&ruby(いーすりー){【E-3】}; [#m6dface4]
Boeing E-3"&ruby(セントリー){Sentry};".~
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[[ボーイング]]社製の[[四発>多発機]]ジェット[[旅客機]]・[[B707-320>B707]]をベースに製作した[[AWACS>AWACS（航空機）]]。~
[[ボーイング]]社製の大型[[四発>多発機]][[ジェット>ジェットエンジン]][[旅客機]]・[[B707-320>B707]]をベースに製作した[[AWACS]]。~
当初「EC-137D」として1975年に[[初飛行]]、1977年に「E-3」として就役。~
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[[アメリカ空軍]]は、1960年代の早い時期から[[早期警戒機]]を装備、運用していたが、従来の早期警戒機は、[[レーダー]]による[[警戒監視>偵察]]と航空部隊への[[指揮統制>C3I]]を別々の機体で運用していて非効率だったことから、二つの能力を統合した機体として本機が開発された。~
当初「EC-137D」として1975年に初飛行、1977年に就役した。~
設計上の主眼は、[[早期警戒機]]と[[指揮統制>C3I]]の役割を一機に統合して[[早期警戒管制指揮機>AWACS]]とする事。~
[[アメリカ空軍]]は1960年代から[[早期警戒機]]を運用していたが、当時はまだ早期警戒機と[[指揮統制>C3I]]を別々の機体で運用していた。~
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本機は、後部胴体上に（同機の特徴である）ドーム状のアンテナを持つウェスチングハウス社製AN/APY-1捜索監視レーダーを搭載、アンテナは毎分6回転の速度で機体の全周をスキャンし、半径920kmの圏内にいる目標を識別・追跡することができる。~
そして、その探知結果やそれを基にした対処策を、[[データリンク]]システムを通じて自軍の航空部隊に伝達し、作戦の遂行を助けるのが任務となっている。~
後部胴体上に巨大な[[ドーム状のアンテナ>レドーム]]を持つのが最大の特徴。~
このドームはウェスチングハウス社製AN/APY-1捜索監視[[レーダー]]で、アンテナが毎分6回転の速度で機体の全周をスキャンし、半径920km圏内の目標を識別・追跡できる。~
その探知結果とそれを基にした対処策を[[データリンク]]で伝達し、作戦の遂行を助けるのが任務となっている。~
>設計当初は[[ドーム型アンテナ>レドーム]]が飛行に悪影響を及ぼす事を懸念されていたが、実際には若干[[巡航速度]]が低下する程度に収まっている。
[[アメリカ空軍]]の他、[[NATO>北大西洋条約機構]]・イギリス・フランス・サウジアラビアでも運用されている((日本でも1980年代に導入を検討したが、母体となる[[B707]]の生産中止に伴い、[[B767-200ER>B767]]をベースにした[[E-767]]を導入している。))。~
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設計当初は、ドーム型アンテナが飛行に悪影響を及ぼすのではないかと心配されていたが、[[抗力]]どころか[[揚力]]を発生させ、[[巡航速度]]の低下も僅かで済んだ。~
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前述の通り、元々本機は[[アメリカ空軍]]の要求により開発されたものだが、アメリカの同盟・友好国家群でこれに匹敵する機種が無いために、[[NATO>北大西洋条約機構]]・イギリス・フランス・サウジアラビアでも運用されている((イギリス・フランス・サウジアラビアで運用されている機体はエンジンが[[GE>ジェネラルエレクトリック]]とスネクマ共同開発によるCFMインターナショナル CFM56ターボファンに換装されている。))((英国は国産の[[BAe]]「[[ニムロッド>ニムロッド（哨戒機）]]」[[哨戒機]]をベースとした「ニムロッドAEW」を試作したが、結局採用されなかった。))。~
また、日本の[[航空自衛隊]]も1980年代に導入を検討したが、1991年に母体となるB707の生産ラインがクローズしてしまったため、[[B767]]をベースとした[[E-767]]を導入することになった。~
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現在、旧式化しつつある機器や後継機の開発の遅れ((後継としては、[[B767]]をベースにした[[E-767]]や[[E-10>B767]]などが候補に挙がっているが、E-767は4機が日本で運用されているのみにとどまっており、E-10は開発中止となっている。))によってコンピュータシステムの更新が計画されている。~
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現在、旧式化しつつあるにも関わらず後継機の開発が遅れている事から、[[アビオニクス]]の改修が計画されている。~
>後継機候補としては日本（[[航空自衛隊]]）で運用されている[[E-767]]や[[E-10B>E-10]]（どちらも[[B767-200ER/400ER>B767]]がベース）があったが、E-767は2024年現在、4機が日本で運用されているのみにとどまっており、一方のE-10Bは連邦政府の国防予算縮減により開発中止となっている。~
なお、2023年に[[空軍>アメリカ空軍]]は[[B737]][[双発>双発機]]小型[[旅客機]]をベースにした「E-737（[[B737 AEW&C>B737]]）」を発注している。
&ref(E3.jpg);
Photo by Kachou
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**性能諸元 [#e284667b]
|乗員|E-3A：運航要員4名([[機長]]・[[副操縦士>副機長]]・[[航空機関士]]・[[航空士>航法員]])+操作員13名&br;E-3B：運航要員4名(同上)+操作員17名|
|乗員|E-3A：運航要員4名（[[機長]]・[[副操縦士>副機長]]・[[航空機関士]]・[[航空士>航法員]]）+操作員13〜19名&br;E-3B：運航要員4名（同上）+操作員17名|
|全長|46.61m|
|全高|12.73m|
|全幅|44.42m|
|翼面積|268.7��|
|全高|12.6m|
|翼幅|44.42m|
|翼面積|283��|
|ロートドーム直径|9.14m|
|ロートドーム厚|1.83m|
|機体重量&br;（自重/全備）|83,658kg/151,953kg|
|空虚重量|83,915kg|
|総重量|156,036kg|
|最大離陸重量|157,397kg|
|[[燃料]]容量|84,769L（22,936 U.S.Gal）|
|[[エンジン]]|[[ターボファン]]×4基|
|~|[[アメリカ空軍]]/[[NATO>北大西洋条約機構]]：[[P&W社>プラット＆ホイットニー]]製 TF33-PW-100A（[[推力]]9,525kg）&br;[[イギリス空軍>RAF]]/フランス空軍/サウジアラビア空軍：CFMインターナショナル CFM56-2A&br;（推力106.8kN）|
|速度&br;（最大/巡航）|852km/h / 763km/h|
|[[上昇限度]]&br;（実用/限界）|8,939m以上|
|[[航続距離]]|9,250km|
|装備|[[チャフ]]・ディスペンサー×4基、[[ECM]]機材（スタンダードE-3A、E-3C）|
|~|[[アメリカ空軍]]/[[NATO>北大西洋条約機構]]：[[P&W社>プラット＆ホイットニー]]製 [[TF33-PW-100A>JT3D]]&br;[[イギリス空軍>RAF]]/[[フランス空軍>フランス軍]]/サウジアラビア[[空軍]]：[[CFMI>CFMインターナショナル]] [[CFM56-2A-2/3>CFM56]]|
|[[推力]]|96kN（21,500lbf）（TF33-PW-100A）&br;106.8kN（24,000lbf）（CFM56-2A）|
|最高速度|854km/h|
|[[巡航速度]]|580km/h（最適）|
|[[航続距離]]|7,400km|
|[[上昇限度]]&br;（実用/最小）|9,300m/8,800m|
|装備|AN/APS-133[[気象レーダー]]&br;[[ウェスティングハウス]] AN/APY-1 or AN/APY-2 パッシブ[[フェイズドアレイレーダー]]&br;AN/APX-133 [[IFF>敵味方識別装置]]&br;[[チャフ]]・ディスペンサー×4基、[[ECM]]機材（スタンダードE-3A、E-3C）|
**派生型 [#y14e6b4f]
**主な近代化改修 [#qe8b2cd0]
-Block.30/35：~
1987年から開発がはじめられたE-3Cに対する改修計画。~
[[機首]]、前部胴体側面、尾部にAN/AYR-2 [[ESM]]用アンテナを追加、[[GPS>全地球測位装置]]統合航行装置やクラス2H JTIDS端末の搭載、コンピュータの処理能力向上とメモリ増加、ディスプレイの近代化を行う。~
~
--RSIPマイナス：~
NATOのE-3に対して行った改修。Block.30/35を簡素化したもの。~
~
-レーダーシステム改善計画（RSIP）：~
1997年末からE-3Cに対して行われた改修。~
電子部品の取り換えやAdaを利用した既成のデジタルコンピュータへの換装、整備性や将来発展性の改善、表示装置の改良など。~
[[RCS>レーダー反射面積]]が小さい[[巡航ミサイル]]などの目標をより正確に探知できるようになった。~
また、[[ECCM]]能力が強化されている。~
~
-全運用期間支援計画（WLSP）：~
2005年8月に契約が締結されたE-3Dに対する改修。~
[[IFF>敵味方識別装置]]モードSに対応、事故データ記録システム（ADRS）の交換など。~
~
-Block.40/45：~
2005年から開発されている[[C2]]/WAS/BM（指揮管制/広域監視/戦場管理）能力を強化する改良型。~
DAMA-SATCOMを導入してネットワーク中心の戦いへの適合を行うほか、GATMを導入し、[[航法]]精度を上げ[[航空交通管制（ATC）>航空交通管制]]の要件を満たす。~
また、コンピュータを近代的なものに換装し、情報を自動的に統合する機能を追加。~
ディスプレイも直感的に状況を認識できる表示モードを持つタイプに換装した。~
サウジアラビアのE-3Aも同仕様に改修される。~
~
-IFF近代化：~
Block.40/46改修の一環として実施。IFFをAN/UPX-40に換装。~
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-E-3 MLU：~
2010年2月3日に契約が締結されたE-3Fに対する改修。~
Block.40/45相当の改良に加えIFFモードSとモード5への対応改修が含まれる。~
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-製造ソース低減汎地球作戦航法アビオニクス換装（DRAGON)：~
''D''iminishing Manufacturing Sources ''R''eplacement of ''A''vionics for ''G''lobal ''O''peration and ''N''avigation.~
NATOと[[アメリカ空軍]]が共同で実施する改修。~
通信[[航法]]機器を強化し、[[コックピット]]を[[グラスコックピット]]化して[[フライトクルー>エビエーター]]を[[4名>4マンクルー]]から[[3名>3マンクルー]]に減らした。~
ウインドシアを予測することができる[[気象レーダー]]、地上接近警報システムの強化、デジタル衛星通信システム、飛行管理システムの搭載などが実施される。~
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**主なバリエーション [#y14e6b4f]
-EC-137D：~
E-3原型機の呼称。~
3機製造され、2機を運用に投入し、1機はJE-3となる。~
~
-E-3A：~
「コアE-3A」とも呼ばれる、AN/APY-1レーダーを搭載する初期量産型。~
量産24号機（通算26号機）まで。~
~
-E-3B：~
E-3Aのブロック20改修計画に基づく改良型。~
洋上監視能力の追加や中央コンピュータの処理能力向上、状況表示コンソールの追加等が行われた。~
EC-137Dの2機とE-3Aの22機（4号機から26号機）を改修。~
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-スタンダードE-3A：~
AN/APY-2レーダーの装備や中央コンピュータの処理能力向上等が行われた型。~
[[チャフ]]ディスペンサーを装備する。~
通算27号機から35号機まで。~
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-E-3C：~
ブロック25改修計画に基づくスタンダードE-3Aの改良型。~
操作コンソールや電子妨害装置が強化された。~
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-E-3D（セントリー AEW.1）：~
[[イギリス空軍>RAF]]向け。
E-3Cと同仕様だが、[[プローブアンドドローグ]]式の給油プローブを機首に追加装備しているほか、翼端にローラル1017イエローゲート[[ESM]][[ポッド]]を装備している。~
E-3Cと同仕様だが、[[プローブアンドドローグ]]式の給油プローブを[[機首]]に追加装備しているほか、翼端にローラル1017イエローゲート[[ESM]][[ポッド]]を装備している。~
エンジンはCFM56を装備。7機製造。~
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-E-3F：~
[[フランス空軍>フランス軍]]向け。CFM56エンジンを装備。~
E-3Cと同仕様だが、イギリス空軍機と同様に[[プローブアンドドローグ]]式の給油プローブを機首に追加装備している。~
4機製造。~
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-E-3G：~
ブロック40/45改修計画に基づく改良型。~
[[C2]]/WAS/BM（指揮管制/広域監視/戦場管理）能力が強化されている。~
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-JE-3C：~
E-3（EC-137D）3号機を後の実験・開発用に使用。~
後にC型に改修されており、この機体も含めるとE-3Cは10機。~
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-KE-3：~
E-3（CFM56エンジン装備）と同じ母機を輸送/空中給油機型に改造した、サウジアラビア空軍向けの機体。~
E-3（CFM56エンジン装備）と同じ母機を[[輸送>輸送機]]/[[空中給油機]]型に改造した、サウジアラビア空軍向けの機体。~
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