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*&ruby(びーてぃーあーるろくじゅう){【BTR-60】}; [#u1395e56]
ソビエト連邦が開発した装輪式[[装甲兵員輸送車]]。~
[[BTR-152]]の後継として1950年代後半から開発が開始され、1959年に採用された。~
[[BTR-40]]や[[BTR-152]]の後継として1950年代後半から開発が開始された。~
[[T-54]][[戦車]]に無理なく追随できる能力があることが求められ、ゴーリキー自動車工場設計局(GAZ)とリハチェフ記念工場設計局(ZIL)が試験車両を開発。~
4軸8輪のGAZ-49と3軸6輪のZIL-153が開発され評価試験の結果、GAZ-49が1959年に採用された。~
~
2基の[[エンジン]]で車軸を分担する複雑な駆動系を採用しており、1基が故障しても走行能力が維持される。~
また、車体後部にウォータージェットを装備しており、それで水上を移動できる。~
また、車体後部に装備したウォータージェットで水上を移動できる。~
~
ガソリンエンジンゆえ引火性が高く、出入り口が上部ハッチしか存在しないため緊急脱出も困難。~
搭乗歩兵もろとも爆発炎上する事例が多発したため、歩兵達は中に入らず車上にまたがって移動し始めた。~
ガソリンエンジンゆえ引火性が高く、乗員もろとも爆発炎上する事例が多発した。~
加えて出入り口が上部ハッチしか存在しないため、火災発生時の緊急脱出も非常に困難。~
そのため「燃える車輪付き棺桶」という不名誉なあだ名がつけられてしまった。~

>これは[[装甲車>装甲兵員輸送車]]の存在意義を無視しているといって良く、運用教則上は採るべきでない愚行である。~
逆に言えば「車内に籠もるより外にいた方が安全」と判断されるほど生存性に不審を抱かれていたという事でもあるが。
>[[歩兵]]達はしばしば車内に入るのを拒否して[[タンク・デサント]]よろしく車上にまたがるようになったという。~
これは[[装甲兵員輸送車]]の存在意義を無視しているといって良く、運用教則上は採るべきでない愚行である。~
逆に言えば「[[装甲]]を加味してもなお外にいた方が安全」と判断されるほど生存性に不信を抱かれていたという事でもあるが。

そのため、後継の[[BTR-80]]ではディーゼルエンジンが搭載された。~
改良型の[[BTR-70]]では第2・第3車軸の間に逆三角型の乗降用ハッチを増設したが、小型で完全武装の兵士には使用しづらく問題点は改善されなかった。~
そのため、後継の[[BTR-80]]では[[ディーゼルエンジン]]が搭載され、側面ハッチが拡大された。~
~
ソビエト軍始め東側諸国にも大量に供与されて用いられ、21世紀に入っても世界中で多数が現役である。~
[[ソビエト軍>ソ連軍]]をはじめ、東側諸国にも大量に供与されて用いられ、21世紀に入っても世界中で多数が現役である。~

**スペックデータ [#g1237e39]
|乗員|2名+兵員12名|
|全長|7.56m|
|全高|2.31m|
|全幅|2.835m|
|戦闘重量|10.3t|
|懸架・駆動方式|トーションバー&br;ハイドロサスペンション&br;8輪駆動|
|[[エンジン]]|GAZ-49B 4ストローク直列6気筒[[液冷>液冷エンジン]][[ガソリンエンジン>エンジン]]×2基&br;(出力180hp)|
|登板力|50%|
|超堤高|0.6m|
|超豪幅|2.0m|
|最大速度|90km/h(整備地)&br;60km/h(不整地)&br;10km/h(水上)|
|[[航続距離]]|500km|
|[[装甲]]|8mm(車体前面)/10mm([[砲塔]]前面)|
|携行弾数|500発(14.5mm機関銃)/2,000発(7.62mm機関銃)|
|兵装|KSV 14.5mm[[重機関銃>機関銃]]×1挺&br;PK 7.62機関銃×1挺|
|携行弾数|500発(14.5mm機関銃)/3,000発(7.62mm機関銃)|
|兵装|KPVT 14.5mm[[重機関銃>機関銃]]×1挺&br;PKT 7.62機関銃×1挺|
**派生型 [#j73eaadd]
***ソ連/ロシア [#p26fa6f4]
-ZIL-153:~
「ザヴォーツカェ・イズジェリェ49(工場製品49)」の要求仕様書に基いて設計されたZIL設計局の試作車。~
3軸6輪・背の低い舟型車体を持つ。~
採用されず。~
~
-GAZ-49:~
「ザヴォーツカェ・イズジェリェ49」の要求仕様書に基づいて設計された、GAZ設計局の試作車。~
4軸8輪・背の高い舟型車体を持つ。~
1959年にBTR-60Pとしてソ連軍に採用された。~
~
-BTR-60P:~
初期生産型。上部開放型の車体が特徴。乗員は2+14名。~
~
--BTR-60P(DShk1938):~
前部機関銃取り付け部に7.62mm機関銃の代わりにDShk1938/46 12.7mm[[重機関銃]]を装着できるようにした型。~
~
--BTR-60P(指揮車型):~
車体上部の3辺を囲むようにレール式アンテナを装備した指揮車型。~
~
--BTR-60P M1961/1:~
[[PT-76]]の[[砲塔]]を付けた火力支援型。試作のみ。~
[[PT-76]]水陸両用[[軽戦車]]の[[砲塔]]を付けた火力支援車型。試作のみ。~
~
--BTR-60P M1961/2:~
30mm機関砲搭載の[[砲塔]]を付けた型。試作のみ。

--BTR-60Pu:~
指揮通信車輌。屋根は布張り。~
--BTR-60PuM:~
円筒形[[フラッシュハイダー>消炎器]]付き37mm[[機関砲]]搭載のオープントップ式[[砲塔]]を付けた火力支援車型。~
試作のみ。~
~
---BTR-60PuM1:~
--BTR-60P([[迫撃砲]]搭載車):~
迫撃砲搭載車に改造した型。~
最大2挺の迫撃砲と人員、弾薬を搭載できる。~
~
---BTR-60Pu12:~
PuMを改造した防空指揮車輌型。~
--MTR-2:~
修理車両型。兵員室のほぼ後方まで防水カバーで覆われているのが特徴。~
~
---BTR-60Pu12M:~
Pu12の改良型。~
~
-BTR-60PA/PK:~
-BTR-60PA/PK(GAZ-49A):~
1965年より生産が開始された[[NBC>NBC兵器]]戦対応型。~
上部が密閉式となり、上部ハッチにPKT 7.62mm機関銃又はDShk 12.7mm重機関銃 1挺を搭載。~乗員2名と兵員10名を乗せる。~
兵員室が密閉式となり、上部ハッチにPKT 7.62mm機関銃又はDShk1938/46 12.7mm重機関銃1挺を搭載。~
乗員2名と兵員10名を乗せる。~
~
--BTR-60PA-1:~
PAの改良型。~
トランスミッションなどが改良されており、重量が10.3tに増加している。~
トランスミッションや発電機を改良し、無線機をR-113からR-123に変更した。~
車体重量は10.3tに増加している。~
~
--BTR-60PA(指揮車型):~
側面に2本の角度付き伸縮マストを装備した指揮車型。~
~
--MTP-2:~
装甲回収車型。クレーンや収納箱などを搭載。~
~
--BTR-60PAI:~
武装をKPVT 14.5mm機関銃に換装したもの。~
[[砲塔]]を[[BRDM-2]]偵察車が装備するBPU-1円錐形[[砲塔]]に換装したもの。~
武装としてKPVT 14.5mm重機関銃(弾数500発)とPKT 7.62mm機関銃(弾数3,000発、[[主砲同軸>同軸機銃]])を装備する。~
乗員は[[砲手>ガナー]]が追加されて3名となっている。~
~
-BTR-60PB:~
-BTR-60PB(GAZ-49B):~
KPVT 14.5mm重機関銃とPKT 7.62mm機関銃を装備する円錐形の[[砲塔]]を搭載。~
1966年から1976年まで生産され、乗員3名に兵員8名を乗せる。~
~
--GAZ-4907:~
指揮車輌に使用される専用シャーシ。~
~
--BTR-60PBK:~
指揮通信車輌。~
車体左上に無線機セット3基(R-123×2、R-148×1)とアンテナマスト、ホイップアンテナ3基を装備する。~
後期型では砲塔が変更され、アンテナが追加されている。~
~
--BTR-60R-156:~
航空管制車型。BTR-60PBベース。~
--BTR-60R-145BM「チャイカ」:~
指揮通信車両。BTR-60PUとも。~
折り畳み可能なAZIフレームアンテナやAMU 10m高伸縮マスト、AB-1-P/30発電機、無線機セット5基(R-123MT×1、R-130×1、R-111×2、R-012M×1)、TA-57電話機を装備。~
~
--BTR-60R-145BM-1:~
BTR-60R-145の改良型。~
~
--BTR-60R-149M:~
BTR-60R-145BM-1ベースの指揮車輌型。~
~
-BTR-60PZ:~
[[BTR-70]]に似た改良型[[砲塔]]を搭載した型。~
1PZ-2ルーフマウント式ペリスコープを装備。~
~
-BTR-60 1V18"Klyon-1":~
[[砲兵]]指揮・観測車両型。~
砲塔をNNP-21およびDV観測機と測距機を装備した砲塔に換装している。~
その他、UD-15G発電機、無線機セット4基(R-123M×3、R-107M×1)、1V510コンピュータ、PUO-9M射撃統制セット、PAB-2A照準器を装備。~
~
--BTR-60 18V1-1:~
BTR-60 1V18の改良型。~
~
-BTR-60 1V19"Klyon-2":~
大隊向け射撃指揮車両型。~
外観はBTR-60 1V18と同様だが、R-130M無線機セットと収納ボックスが追加されている。~
~
--BTR-60 1V19-1:~
BTR-60 1V19の改良型。~
~
-BTR-60 R-145BM:~
通信車両型。~
無線機セット5基(R-111またはR-171×2、R-123またはR-173×1、R-130M×1、およびR-012M×1)を装備。~
~
-BTR-60PU-12(9S482):~
防空指揮車両型。~
前面右側の屋根上にAMUテレスコープマストとAB-1P/30 1kW発電機を装備している。~
その他、1G13[[ジャイロスコープ]]、KP-4ナビゲーション装置、ASPD-12コンピューターを搭載。~
最大で12個の目標を処理できる。~
[[ZSU-23-4]]、[[SA-9]]または[[SA-13]]装備の部隊で使用される。~
~
--BTR-60PU-12M(9S482M):~
PU-12の近代化改良型。~
コンピューターをASPD-Uに換装し、S23-1データ処理装置を搭載している。~
~
--BTR-60R-975:~
戦術航空管制車型。~
無線機セット4基(R-123、R-134、R-853、R-864)、SMI-2ビーコンシステム、G-290B発電機を搭載。~
デッキ後部にブレードアンテナ2基を装備している。~
~
---BTR-60R-975M1:~
R-156の改良型。~
BTR-60R-975の改良型。~
ビーコンシステムを保護する円錐形カバーを装備していない。~
~
--BTR-601V18:~
対空ミサイルを搭載した砲兵観測車輌。~
--BTR-60R-137B:~
[[短波]](USW)信号車型。~
無線機セット2基(R-123・R-405)を装備するほか、屋根上にフレームアンテナや伸縮マストを装備している。~
~
---BTR-601V19:~
1V18の改良型。射撃指揮車輌型。~
--BTR-60R-140BM:~
[[短波]](SW)信号車型。~
無線機セット3基(R-140、R-405、R-123)を装備。~
~
-BTR-60PZ:~
BTR-70と同じ[[砲塔]]を搭載した改良型。~
--BTR-60R-156BTR:~
[[短波]](HF)信号車型。BTR-60PBベース。~
R-156 HF無線機と無線機セット2基(R-405・R-123)を装備している。~
~
-BTR-60R-145「チャイカ」:~
指揮通信車輌。~
--BTR-60R-409BM:~
無線中継局車型。R-409無線機を装備。~
~
--BTR-60R-145BM:~
R-145の改良型。~
--BTR-60R-419BR:~
低周波無線中継局車型。~
~
-MTP-2:~
装甲回収車型。クレーンなどを搭載。~
--BTR-60E-351BR:~
発電機(20kW)を装備する電源車両型。~
信号部隊で使用される。~
~
-MTR-2:~
修理車輌型。~
--BTR-60P-238/239/240/241BT:~
配電盤車両型。~
~
-BTR-60MS:~
「ハイボール(High Ball)」アンテナマウントを搭載した通信車両型。~
~
-BTR-60MBP:~
戦略ロケット部隊の警備車両型。~
1PN22M1照準器やスピーカー、OU-3GA-2 IRサーチライト、TNPO-170ペリスコープを装備した砲塔を搭載する。~
武装としてNSVT 12.7mm重機関銃を装備。~
~
-BTR-60PBM:~
近代化改修型。~
~
-9K35M3-K "Kolchan":~
MAKS-2007で発表された、屋根上に[[SA-13]]の発射機を装備した地対空ミサイル車両型。~
~
-Irtish:~
民間向けの修理車両型。車体前面にクレーンを装備している。~
~
-BTR-60PPM:~
民間向けの装甲消防車型。~
~
-[[BTR-70]]:~
BTR-60PBの改良型。詳しくは項を参照。~
~
***ブルガリア [#vde7d8fe]
-BTR-60PAU:~
砲兵指揮車両型。~
~
-BTR-60PB-MD:~
近代化改修型。試作のみ。~
砲塔上にMB 4連装[[煙幕弾>スモーク弾]]発射機(左右2基)や"Melopa"照準器、新しいNBC防護システムなどを追加した。~
エンジンはVAMO DT3900またはRover TD-200[[ディーゼル>ディーゼルエンジン]]を搭載。~
~
--BTR-60PB-MD1:~
BTR-60PB-MDの改良型。~
エンジンはカミンズ ISB25.30[[ターボチャージャー]]付き[[ディーゼル>ディーゼルエンジン]](出力250hp)を搭載。~
~
--BTR-60PB-MD3:~
BTR-60PB-MD1の改良型。~
エンジンはKamAZ製[[ディーゼル>ディーゼルエンジン]]を搭載。~
~
***キューバ [#acbf09ab]
-BTR-60SPAAG:~
キューバの派生型。30mm連装機関砲を搭載。~
~
-OTR-64 SKOT:~
***ポーランド/チェコスロバキア [#w33516e2]
-[[OT-64 SKOT>OT-64]]:~
ポーランドとチェコスロバキアが共同で開発した、8輪式装甲兵員輸送車。~
厳密には派生形ではなく競合車輌である。~
~
***ルーマニア [#wac874fd]
-TAB-71:~
ルーマニア製のBTR-60。~
側面上部のハッチを増やし、大型にするなどの改良がされている。~
~
--TAB-71M:~
TAB-72とも呼ばれる近代化改修型。~
エンジンはSaviem 797-05[[ディーゼル>ディーゼルエンジン]](出力130hp/97kW)を2基搭載。~
~
--TAB-71A R-1450:~
指揮車輌型。~
アンテナが追加されている。~
~
--TAB-71A R-1451:~
信号車輛型。~
発電機(1kW)や無線機(R-1451とR-401)を搭載。~
~
--TAB-71A R-1452:~
R-1452無線機を搭載する型。~
~
--TAB-71AR:~
自走迫撃砲型。~
M-37M 82mm迫撃砲(弾数100発)を搭載。~
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--TERA-71L:~
クレーンとドーザーブレードを装備した[[工兵]]車両型。~
~
***メキシコ [#qe382514]
-APC-70:~
メキシコ海兵隊で使用されている型。BTR-60PB-MXとも。~
メキシコ[[海兵隊]]で使用されている型。BTR-60PB-MXとも。~
民間モデルがベース。~
武装としてヘッケラー&コッホ [[HK21]]又は[[FN MAG>MAG]] 7.62mm[[機関銃]]×1挺またはMk.19自動擲弾発射器を装備する。~
武装として7.62mm[[機関銃]](ヘッケラー&コッホ [[HK21]]又は[[FN MAG>MAG]])×1挺またはMk.19自動擲弾発射器を装備する。~
~
***イラン [#cd2691c5]
-Sedad:~
BTR-60PBのイランでの改良型。~
光学機器とCCDカメラ、ZU-23-2 23mm機関砲を装備した砲塔に換装している。~
~
-Shahram:~
核・放射線・生物・化学(NRBC)偵察車型。~
武装として、[[RWS>リモートウェポンシステム]]に7.62mm機関銃と4連装[[煙幕弾>スモーク弾]]発射機を装備。
武装として、[[RWS>リモートウェポンシステム]]に7.62mm機関銃と4連装[[煙幕弾>スモーク弾]]発射機を装備。~
~
-Heidar-5:~
BTR-60PBの地雷敷設車型。~
BTR-60PBの[[地雷]]敷設車型。~
砲塔を取り外して、兵員室内部に地雷敷設装置を装備している。~
地雷敷設装置は車体左右に18個の発射口を備えている。~
武装として遠隔操作式のDShk 12.7mm重機関銃を備える。~
~
-Heidar-6:~
BTR-60PBに[[BMP-1]]の砲塔を搭載したもの。~
~


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