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*&ruby(ようとはいき){【用途廃棄】}; [#rcff75b9]
[[運用寿命]]の尽きた物資を処分する事。略して「用廃」。~
職務上の用途に適さなくなった物資を処分する事。略して「用廃」。~
損傷・故障したか、その恐れがあるほど老朽化した([[運用寿命]]を越えた)場合に行われる。~
また、物資自体には問題がなくとも運用環境の変化により、利用価値を失って用途廃棄される場合もある。~
~
基本的にはゴミ・産業廃棄物として廃棄されるが、別用途で再利用される事もある。~
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関連:[[原子力艦再利用プログラム]] [[モスボール]] [[ボーンヤード]]

http://www.masdf.com/crm/downeagle/f104j018.jpg~
[[F-104J>F-104]] 697号機。1980年那覇基地での姿。

http://www.masdf.com/crm/downeagle/f104j017.jpg~
上記機体の2001年の姿。千葉県某所国道沿いで放置中。

**軍隊における再利用例 [#q5ea7257]
[[軍隊]]において、用途廃棄となった物資の再利用例として、いくつかの例を挙げる。~

:共食い整備|分解した上で、部品を取り出して補修用の資材に転用する。~
補給の停滞、予算の不足、生産終了などの理由で正規の交換部品が手に入らない場合に必要となる。~
摩耗・損壊した不良部品が混入して事故要因となるため、補給が潤沢であれば通常行われない。~
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:兵士のレクリエーション用具|破損した消耗品は、兵士のレクリエーション用具に再利用される事がある。~
例えば、廃棄処分となったモップの柄がイベント用の装飾バイクの材料に利用された例など(([[ブルーインパルスジュニア]]を参照。))。~
:[[兵士>兵卒]]のレクリエーション用具|破損した消耗品は、[[兵士>兵卒]]のレクリエーション用具に再利用される事がある。~
例えば、廃棄処分となったモップの柄がイベント用の装飾バイクの材料に利用された例などがある。~
~
:他国軍隊への売却|[[運用寿命]]に達する前に用途廃棄として除籍された兵器は、他国の軍に売却される事がある。~
これは普通、戦闘車輌・[[艦艇]]・[[航空機]]を後継機種に入れ替える際に発生する。~
:他国軍隊への売却|[[運用寿命]]に達する前に用途廃棄として除籍された[[兵器]]は、他国の軍に売却される事がある。~
兵器は[[予備役]]として[[保管>モスボール]]しておくだけでもコストがかかるため、過剰な備蓄については処分が必要とされる。~
これが最も起こりやすいのは終戦時で、戦時の損耗に備えた兵器増産はしばしば過剰な備蓄となって戦後に残る。~
また、外交上・経済上の理由で軍縮が生じた場合や、後継機種が登場して兵器の世代交代が生じた場合にも除籍が必要となる。~
~
また、過剰な備蓄((戦闘が発生してから生産するのでは絶対に間に合わないので、補給・補充用の兵器は戦時体制に移行した時点で増産が開始される。&br;  この時、実際にどれだけの損耗が発生するかは予測不能なため、ほとんどの場合は終戦時に大量の在庫を抱える事になる。))や、軍縮によって[[予備役]]となった兵器も、(保管・管理コストを小さくするため)売却処分される事が多い。~
:標的|旧式化して用途廃棄となった[[戦闘車輌>AFV]]・[[艦艇]]・[[航空機]]は、訓練・演習・実験用の標的として利用される事がある。~
これは通常、カメラやセンサーを取り付けて挙動の検証に用いるものだが、性能試験として実際に破壊を試みる場合もある。~
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:標的|旧式化して用途廃棄となった[[戦闘車輌>AFV]]・[[艦艇]]・[[航空機]]は、訓練や演習、あるいは新兵器の実験・開発において用いられる実物大標的([[標的機]]・標的艦など)として転用される事がある。~
実戦同様に実弾を当てて破壊することもあれば、破壊されない場合もある((この場合、標的にカメラやセンサーを取り付けておき、模擬弾を撃たせたり一定時間の[[ロックオン]]をさせたりして「実戦であれば撃破出来ていたかどうか」を検証する。))。~
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:儀礼用の装備((厳密には「用途廃棄」ではないが、正面装備としては用途廃棄となったものを、その目的のために稼動状態で維持することがあるので、あえてここに含める。))|歴史的意義のある旧式兵器は、第一線を退いた後も儀礼用の装備として維持される事がある。~
儀仗隊は実際に発砲する事を想定しないため、あえて旧式の[[小銃]]を用いる事がある。~
:儀礼用の装備|歴史的意義のある旧式兵器は、通常の実戦[[部隊]]から姿を消した後も、儀礼のために保存・維持される事がある。~
儀仗隊は実際に発砲する事を想定しないため、あえて旧式の[[小銃]]を携帯している事がある。~
また、[[礼砲]]は音さえ確実に響けば良く、[[有効射程]]や[[破壊力>デストラクションパワー]]などは考慮されない。~
大規模な例としては、[[アメリカ海軍]]は帆船([[フリゲート]])「コンスティチューション」号を記念艦として動態保存し、[[観艦式]]に参列させている。~
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:保存・展示|上記同様、歴史的意義のある旧式兵器は「将兵の教育の参考」「継承すべき誇り・伝統の象徴」として展示される事がある。~
これは軍の広報部などが管理する事もあれば、博物館などに譲渡される((大型兵器は[[エンジン]]などの[[バイタルパート]]を取り外したり使用不能にする処置を施す。&br;  また、軍事機密に触れそうな部分はよく似た形状のレプリカに交換したり遮蔽したりすることもある。))場合もある。~
~
この時、奪取されても動かないように[[バイタルパート]]は機能不全にされ、[[軍事]]機密に関わる部品はレプリカに差し替えたり遮蔽を施される。~
外部に譲渡された場合、管理者が保存を放棄したり、破壊してしまう事例も少なくない。~
軍が管理する場合にも、政権交代や[[クーデター]]・敗戦などに伴って「悪しき伝統」として破壊される事がある。~
軍が管理する場合にも、政変に伴うプロパガンダとして『悪しき伝統』とみなされ継承放棄・破壊される事がある。~
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:現地に寄贈|任務のために持ち出された装備品は、任務終了後に「用途廃棄」として現地に放棄される事がある。~
この場合、現地人がそうした物品をどう取り扱うかは軍部のあずかり知る所ではない。~
[[平和維持活動>国連軍]]・災害派遣・人道支援などでは、「寄贈するために廃棄する」ような場合もある。~
~
ほとんどの国家では「軍の装備品を他国に寄贈する」行為の法的正当性について議論の余地がある。~
よって、「寄贈ではなく、廃棄物が現地人の手に渡っただけだ」という体裁を取ることを余儀なくされる場合もある((日本では2011年に[[武器輸出三原則等]]の緩和が閣議決定され、殺傷目的でない装備の供与ができることになった。))。~
~
:現地に寄贈|[[平和維持活動>国連軍]]・災害派遣・人道支援などでは、物資を寄贈・配給する必要に迫られる場合がある。~
こうした処置は法的な手続きを伴うのだが、品目や状況に依っては寄贈が禁止されていたり、議会の審議などで実用に耐えないほど手続きが遅延する場合がある。~
このため、「任務中に現地で処分した」という事由で用途廃棄された物資は、実際には現地に寄贈されている疑いがある。~
この種の横紙破りは実態として物資の密売・横流しであるやもしれず、そうでなくとも予期せぬ形で[[テロリスト]]などに軍需物資が渡る危険性がある。

関連:[[武器輸出三原則等]] [[世界三大記念艦]]

**物資の横流し [#e4bfe31c]
用途廃棄は、軍人と交流を持つ犯罪結社((軍人が休暇に歓楽街で遊ぶ事を禁じる法律は基本的にないし、あっても遵守されない。&br;  そして、犯罪結社の勢力下に置かれていない歓楽街などというものは絶対に存在し得ない。&br;  職業犯罪者が賄賂や脅迫などで軍人と繋ぎを持とうと思えば、標的を探すのは決して難しい事ではない。))にとっては密売買を行う絶好の機会でもある。~
書類上では用途廃棄されているはずの軍事物資が、実際には地下ルートで密売されていた、という事例は少なくない。~
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当然、銃火器や機密物資の横流しは犯罪であり、大抵の軍の内部法規に抵触する。~
用途廃棄は、汚職軍人と犯罪組織による密売の機会でもある。~
書類上では用途廃棄されているはずの軍事物資が、実際には不穏な経路を辿って市井に流れていた事例は少なくない。

>軍人が犯罪に関与しないよう社会的に隔離するのは現実的に不可能である。~
軍人が休暇に歓楽街で遊ぶ事を禁じる法律は基本的にないし、あっても遵守されない。~
そしてまた、職業犯罪者が歓楽街の店舗に関与(出資・経営・来店)するのは事実上阻止できない。~
よって、犯罪組織が賄賂や脅迫などで軍人と繋ぎを持とうと思えば、標的を見つけるのはそれほど難しくない。

当然、[[銃火器>ガン]]や機密物資の横流しは犯罪であり、大抵の軍の内部法規に抵触する。~
またそもそも、官給品を売却して個人的な収入を得る事自体が横領の罪に問われる。~
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だが実際には、どれほど厳格な規律のある[[軍隊]]でも、消耗品を自宅に持ち帰る程度の軽微な事例は必ず散見される。~
それをどこから横領とみなし、どの程度まで厳密に処罰するかは個々の軍によるが、一般論として、軍事機密や多額の金銭に関わる事例でなければ黙認される事は多い。
>例えば、[[自衛隊]]では[[戦闘糧食]]に関する「黙認された不祥事」が妙に多い。
それをどこから横領とみなし、どの程度まで厳密に処罰するかは個々の軍による。~
しかし一般論として、軍事機密や多額の金銭に関わる事例でなければ黙認される事は多い。


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