- 追加された行はこの色です。
- 削除された行はこの色です。
*&ruby(ふくようき){【複葉機】}; [#o6e1570e] [[航空機]]における主翼形状で、左右両側に[[主翼]]が各2枚以上の[[航空機]]をさす。~ [[飛行機]]のうち、左右の両側にそれぞれ2枚以上の[[主翼]]を持つもの。~ ~ 翼面荷重が低く、低速でも大きな[[揚力]]を得られるため、低出力の[[エンジン]]しか実現できなかった黎明期には複葉機、もしくは三葉機が主流であった。~ また、黎明期の航空機は「木製の骨組みに[[布]]張り」という構造をしていたが、この構造で単葉機を作ると強度が持たないという欠点もあった。~ 翼の面積が広くなるため、低速でも大きな[[揚力]]を得られ、低速で巡航する事ができる。~ また、「木製の骨組みに[[布]]張り」という脆い構造でも実用に耐える[[飛行機]]を設計できた。~ このため、基礎技術の未熟な[[航空機]]の黎明期には[[航空機]]の主流であった。~ ~ しかし、[[エンジン]]出力向上とともに、[[飛行機]]の速度は飛躍的に増したため、複葉機の欠点である[[誘導抗力>抗力]]の大きさが支障を来たすようになった。~ また、[[揚力]]は速度の2乗に比例するため、複葉機でなくとも十分な[[揚力]]を得られるようになり、[[単葉機]]が主流となった。~ ~ [[第二次世界大戦]]の頃までには、第一線機はほとんどが[[単葉機]]となり、複葉機は[[パイロット]]志願者に航空機操縦の基本操作を学ばせる「初級[[練習機]]」としてのみ用いられるようになったが、やがてその分野にも[[単葉機]]が進出し、ほとんどが姿を消すことになる。 >ただし、その後も複葉機は農業用機として長く需要があり((農業機の役目は主に「広大な農地に種・肥料・農薬を散布すること」であるが、この用途に高高度能力や高速性が求められないため、複葉機の利用価値はあった。))、[[グラマン]]社の「Agキャット」は1980年代まで生産が続けられていた。~ 反面、[[抗力]]の影響を受けやすく、高速を発揮するのが難しい。~ これは黎明期には考慮に値しない事柄であったが、大出力の[[エンジン]]が普及すると深刻な欠点となった。~ このため、[[第二次世界大戦]]頃には[[単葉機]]にシェアを奪われ、姿を消していった。 現在でも、大きな揚力を必要とする用途(長時間滞空・高高度飛行等)は存在するが、その様な用途にはより[[誘導抗力>抗力]]が少なく効率の良い、アスペクト比の高い主翼を使う。 >例外的に、上昇性能も[[巡航速度]]も要求されない航空散布用の農業機としては未だに現役である。~ 長時間の滞空や高高度飛行のために大きな[[揚力]]を必要とする場面は現代でもままある。~ しかし、現代では単純に翼の数を増やすような事はせず、効率よく[[揚力]]を得られるよう特別に設計された[[単葉機]]が用いられる。~ ~ #ref(http://www.masdf.com/altimeter/nellis2005/gnd/IMG_3611.jpg,600x400); ~