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*&ruby(ひだんけいし){【避弾径始】}; [#d10ca17b]
[[戦車]]などの[[装甲]]を、敵から見て斜めに見えるような角度に傾けて設置する事。~
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これによって砲弾などを角度に沿って滑らせ、貫通しにくくする。~
[[戦車]]などの[[装甲]]を、飛来する砲弾に対して垂直にならない斜めの角度に傾けて設置する事。~
設計段階で考慮する場合、できるだけどの方位に対しても避弾径始が成立するよう、[[装甲]]を丸みを帯びた形状に成形する。~
>運用している[[兵士>戦闘員]]も「装甲が傾斜するよう、真正面ではなく斜め前に敵を見据える」などの配慮を行う事ができる。~
ただし、これは車体側面をさらす事になるため、側面に十分な装甲が配されていない車種ではかえって危険を増す。

これによって[[徹甲弾]]などを角度に沿って滑らせ、貫通しにくくする。~
加えて、進入角が斜めになると、垂直な場合に比べて見かけ上の装甲厚が増え、貫通に必要なエネルギーが大きくなる。~
弾頭が軽いほど弾丸が滑りやすいため、特に[[高速徹甲弾]]に対して有効である。~
ただし、接触面が塑性流動((極端に強い圧力を加えた時、物体が破断されずに「液状化」して変形し、圧力が消えても元の形状に戻らなくなる現象。))を起こしてしまうほど高速な弾丸に対してはほとんど有効でない。~
ただし、[[ユゴニオ弾性限界]]を超える高圧に対しては意味が薄い(装甲材が塑性流動を起こすため)。~
このため、[[装弾筒付翼安定式徹甲弾]]の普及後はあまり重視されなくなった。~
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装甲を傾けた状態にしておくと、同じ厚さでも、真正面からに命中した場合に比べて貫通に必要な運動エネルギーが多くなる((進入角が斜めになると、垂直な場合に比べて見かけ上の装甲厚が大きくなる。))。~
この恩恵は塑性流動が起きる場合でも有効なので、現代でも避弾経始が全く時代遅れになったわけではない。~
特に、[[兵員輸送車>APC]]や[[自走砲]]、偵察車などの軽装甲車両は、塑性流動が起きるほどの高速弾に撃たれることを想定していないため((そのような弾頭は大抵[[主力戦車]]を貫徹するような兵器であるため、考慮するだけ無駄である。))、避弾経始を特に重視する。~
また、[[爆発反応装甲]]も典型的に30°ほどの被弾径始になるよう設置される。~
着弾した弾頭に反応して爆発し、その爆圧を弾頭横から加えることで着弾、貫徹を阻害するものである。~
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関連:[[装弾筒付翼安定式徹甲弾]]
一方、曲線的な形状は内部容積の活用を困難にし、[[前面投影面積]]を広げる欠点がある。~
また、どの方位からどこを狙っても常に傾斜しているような形状は幾何学の原理上実現不可能である。~
このため近年の戦闘車両は前面を撃たれた場合にのみ避弾径始を成立させ、側面、背面装甲はあまり傾けられない傾向にある。~
>前面だけを傾斜させるなら、[[前面投影面積]]に影響を及ぼさない設計ができる。~
また、側面や背面は突発的な[[奇襲]]でない限り攻撃されない箇所なので、基本的に[[装甲]]自体が薄く、避弾径始させる利点が少ない。


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