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*&ruby(とくべつしほうけいさつしょくいん){【特別司法警察職員】}; [#o988b5a6]
日本国の法制度で、''「特定の事案について、[[司法警察]]としての権限を有する」''とされる警察官「以外」の者を指す呼称((この他、国税庁監察官や検察事務官もこれに準ずる。))。~
対義語は「一般司法警察職員」(警察官)。~
~
後述のとおり、[[海上保安官]]や[[自衛隊警務官>憲兵]]などといった公務員や船舶の船長などが該当し、各々の根拠法令によって権限(武装の可否や司法警察の権限を行使できる範囲等)が定められている。~
一般の警察官と同様に[[拳銃]]などでの武装を許された者もいれば、武装を許されず、官公庁等の行う「特定の違反事案に対する対処」の一環として被疑者の身柄を検察官へ引き渡す権限を与えられている者もいる。~
日本国の法制度における司法警察職員に関する規定の一つ。~
警察官(一般司法警察職員)以外で、職務上必要な時に司法警察としての権限を行使できる職員。~
根拠となる法令は一定ではなく、個々の職責に応じて別途に検討・施行される。

>これらの者に司法警察の権限が与えられているのは、「特定の行政庁に勤務する公務員等は、特定の犯罪について一般の警察官に比べてそれを発見する機会が多く、かつ、その職員が持つ業務上の特殊な知識・経験が捜査に有効活用できることが期待されているため」だという((そのため、特別司法警察職員が担当する事案については警察も捜査を行うことができる。))。
>''刑事訴訟法 第百九十条''~
森林、[[鉄道]]その他特別の事項について司法警察職員として職務を行うべき者及びその職務の範囲は、別に法律でこれを定める。

関連リンク:http://trickybarracks.web.fc2.com/special/special.html
一般の警察官には、司法警察としての事務を行うために必要なほぼ全ての権限が与えられている。~
実際の活動においても、可能であれば警察との連携を取る事が望ましい。~
従って、警察官以外の者に司法警察の権限を与える法整備がなされるのは、以下のことが主因となる。

**一覧 [#tb27169a]
|名称|所属官庁|根拠法令|
|>|>|[[拳銃]]等の武器携帯権がある者|
|[[海上保安官]]|[[海上保安庁]]|海上保安庁法第31条|
|麻薬取締官|厚生労働省&br;地方厚生局麻薬取締部|麻薬及び向精神薬取締法&br;第54条5項((これに加え、同法58条で警察官には許されていない「おとり捜査」も可能となっている。))|
|麻薬取締員|各都道府県庁|~|
|皇宮護衛官|警察庁皇宮警察本部|警察法第69条|
|刑務官|法務省矯正局|刑事施設及び受刑者の処遇等に&br;関する法律第145条|
|自衛隊警務官|[[防衛省]]([[自衛隊]])|自衛隊法第96条1項|
|>|>|武器携帯権がない者|
|労働基準監督官|厚生労働省労働基準局|労働基準法第102条|
|鉱務監督官|資源エネルギー庁&br;原子力安全・保安院|鉱山保安法第49条|
|船員労務官|国土交通省海事局((実際には地方運輸局などに在勤。))|船員法第108条&br;及び船員災害防止活動の促進に&br;関する法律第62条|
|漁業監督官&br;及び漁業監督吏員((手錠・特殊警棒のみ所持が許可されている。))|水産庁/各都道府県庁|漁業法第74条5項|
|鳥獣保護&br;・狩猟事務担当職員|各都道府県庁|鳥獣の保護及び狩猟の適正化に&br;関する法律第76条|
|森林管理局員|林野庁|司法警察職員等指定&br;応急措置法第1条((この法律で司法警察権限が与えられている各官職については、当初「司法警察官吏及司法警察官吏ノ職務ヲ行フヘキ者ノ指定等ニ関スル件(大正12年勅令528号)」の各条に規定されていたものであるが、この法律により「他の法律に特別の定めがない限り、当面の間効力を有する」こととされた。))|
|公有林野事務担当職員|北海道庁|~|
|船長等|(下記注釈参照)(([[総排水量>満載排水量]]20トン以上で、沿海以上の航行能力がある船舶の船長及び機関部・甲板部・事務部の責任者である船員。))((ただし実際には、船長には船員法により「懲戒権(船内での乗客・乗員の非行に対して懲罰を下す権利)」も与えられているので、船内での事案は概ねこれにより解決されるという。))|~|
|>|>|法令上は存在するが、事実上廃止されている者|
|河川監守|北海道庁|司法警察職員等指定&br;応急措置法第1条|
|猟場管守事務担当職員|宮内庁|~|
|>|>|[[第二次世界大戦]]後に設置され、後に廃止されたもの|
|経済監視官|警視庁及び府県警察部((当時は旧内務省の隷下。))((なお、沖縄県警察部は沖縄戦の結果消滅していた。))|((司法警察職員等指定応急措置法第1条及び昭和22年勅令第204号。))|
|経済査察官|経済調査庁&br;(現:総務省行政管理局・行政評価局)|経済安定本部令|
|入国警備官((出入国管理令により司法警察権限は失われたが、官職自体は現存。&br;  なお、現在の入国警備官による不法入国事案への対処は「行政上の『強制調査権』に基づくもの」として取り扱うことになっている。))|出入国管理庁&br;(現:法務省入国管理局)|外国人登録令第3条など|
|海上公安官&br;及び海上公安官補|保安庁(現:[[防衛省]])海上公安局((海上保安庁を保安庁隷下に改組の上設置される予定だった機関で、そのための法律まで公布されたが、実際に設置されないまま廃止。))|海上公安局法第14条|
|国鉄職員((駅長・助役・車掌など及び鉄道公安職員。&br;  なお、1987年の分割・民営化により、鉄道公安職員の業務は警視庁及び各道府県警察(沖縄県警以外)に置かれた「鉄道警察隊」に承継されている。))|運輸通信省(運輸省)鉄道総局&br;→日本国有鉄道(現:JRグループ各社)|司法警察職員等指定&br;応急措置法第4条((国鉄の分割・民営化に伴い、現在この条文は削除されている。&br;  なお、鉄道公安職員については「鉄道公安職員の職務に関する法律」により、司法警察権限の一部が付与されていただけであり、司法警察としての完全な権限は持っていなかった。))|
|専売監視員|大蔵省専売局→日本専売公社&br;(現:日本たばこ産業株式会社)|((違反事例に対し、国税犯則取締法の規定を準用して対応していた。))|
|郵政監察官|郵政省→郵政事業庁→日本郵政公社&br;(現:日本郵政グループ各社)((現在はグループ統括会社「日本郵政株式会社」の内部監査担当社員になっており、司法警察権限は失われている。))|日本郵政公社法第63条3項((2007年9月30日(民営・分社化前日)時点での最終状態。))|
|>|>|一般司法警察職員(参考)|
|警察官|警察庁・警視庁及び道府県警察|警察法第63条など|
-違法行為の第一発見者となりやすく、その状況を警察官が監督できない。
-専門知識・技術について警察機関から捜査協力を求められる事がある。

**現行の特別司法警察職員 [#r62c8cea]
|名称|所属官庁|武器携帯の可否|根拠法令|
|[[海上保安官]]&br;/[[海上保安官補>海上保安官]]|[[海上保安庁]]|可|海上保安庁法 第31条|
|麻薬取締官|厚生労働省地方厚生局麻薬取締部|可|麻薬及び向精神薬取締法 第54条5項|
|麻薬取締員|各都道府県庁|可|~|
|皇宮護衛官|警察庁皇宮警察本部|可|警察法 第69条|
|刑務官|法務省矯正局|可|刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律 第145条|
|[[自衛隊警務官>警務科]]|[[防衛省]]([[自衛隊]])|可|自衛隊法 第96条1項|
|労働基準監督官|厚生労働省労働基準局|不可|労働基準法第102条|
|鉱務監督官|資源エネルギー庁原子力安全・保安院|不可|鉱山保安法第49条|
|船員労務官|国土交通省海事局|不可|船員法 第108条&br;/船員災害防止活動の促進に関する法律 第62条|
|漁業監督官|水産庁|手錠・特殊警棒のみ|漁業法 第74条5項|
|漁業監督吏員|各都道府県庁|~|~|
|鳥獣保護・狩猟事務担当職員|各都道府県庁|不可|鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律 第76条|
|森林管理局員|林野庁|不可|大正12年勅令第528号((正式名称は「司法警察官吏及司法警察官吏ノ職務ヲ行フヘキ者ノ指定等ニ関スル件」。)) 第3条の4及び第3条の9|
|船長等|-|不可|大正12年勅令第528号 第6条|
~
**廃止された特別司法警察職員 [#de043d89]
|名称|所属官庁|武器携帯の可否|根拠法令|
|帝室林野局出仕|帝室林野局|不可|大正12年勅令第528号 第3条の1及び9|
|猟場管守事務担当&br;宮内省職員|宮内省|不可|大正12年勅令第528号 第3条の2及び10|
|日本国有鉄道職員((駅長・助役・車掌区長など。))|日本国有鉄道|不可|大正12年勅令第528号 第3条の5及び12|
|鉄道公安職員((厳密には「''職務に関して刑事訴訟法の一部準用を受ける日本国有鉄道職員''」であり、「刑事訴訟法上の司法警察職員」ではない。))|~|可|大正12年勅令第528号 第3条の5及び12&br;/鉄道公安職員の職務に関する法律|
|北海道庁の営林区署&br;勤務の北海道庁職員|北海道庁|不可|大正12年勅令第528号 第3条の6|
|河川監守たる&br;北海道庁職員|~|不可|大正12年勅令第528号 第3条の13|
|経済監視官&br;及び経済監視官補|府県警察部|不明|大正12年勅令第528号 第3条8の2及び第3条の14|
|経済査察官|経済安定本部|不可|昭和22年勅令第193号「経済安定本部令」|
|海上公安官&br;/海上公安官補|海上公安局((運輸省の隷下だった海上保安庁を保安庁([[防衛省]]の前身)隷下組織として改組の上設立される予定だった機関。設立されないまま廃止。))|可|海上公安局法 第15条|
|専売監視員|日本専売公社|不可|((違反事案に対し、国税犯則取締法の規定を準用して対応していた。))|
|郵政監察官((現行犯を除いては被疑者を直接逮捕できず、逮捕する必要があるときは警察官に逮捕させていた。))|郵政省→郵政事業庁→&br;日本郵政公社|不可|日本郵政公社法 第63条の3((2007年9月30日時点での最終状態。))|
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