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*&ruby(せんすいかん){【潜水艦】};
潜水可能な[[艦艇]]。~
船体に潜航・浮上用のタンク(バラストタンク)を装備し、そこに海水を注・排水することで海中と海面を自在に行き交うことができる。~
*&ruby(せんすいかん){【潜水艦】}; [#sa0e0758]
Submarine.~
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潜水艦は、隠密性こそが攻撃力であり防御力でもある。~
登場初期は潜行時の動力が電動機、すなわちモーターであり、蓄電池の問題から長時間潜行することが難しく、主に水上を通常機関で航行しつつ蓄電池へ充電し、特に必要のある場合のみ潜行する、実質は[[可潜艦]]であった。~
そのため、水上航行に適した船体を持っており潜航時の速度は極端に低下した。~
時代を下るにつれ、[[レーダー]]や音響技術の発展により、浮上しての航行は被発見率が極端に上がってしまうようになり、その一方で潜水艦技術も向上したのに伴い、潜水艦の船体は常に潜航する事を前提として水中での行動に適した涙滴型へと徐々に進化した。~
水中に潜伏し、必要な時に浮上し、再び潜水できる[[艦艇]]。~
船体にバラストタンクを持ち、これに海水を注入すると重くなって沈み、排水すると軽くなって浮上する。~
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戦後には機関として[[原子炉]]を搭載した原子力潜水艦(原潜)も登場した。~
ディーゼル機関を使用していた従来の潜水艦は、内燃機関であるため酸素必要とし、定期的に浮上する必要があったが、原潜は原子炉と言う特性上、機関の運転そのものに酸素は必要なく、また乗組員への酸素は海水の電気分解により取り出せる為、長時間の潜行が可能となった。~
一方、ディーゼル潜水艦に比べて、原子力潜水艦は機関設備がおおがかりになり、また原子炉を常に稼動させていなければならないため、静粛性に劣るという欠点もある。~
基本的には以下のような任務に投入される。

-[[仮想敵国]]の海上活動を監視する
-[[スパイ]]や[[特殊作戦]]要員を秘密裏に上陸させる
-[[制海権]]を失った状況下で敵の監視をかいくぐって物資・兵員を輸送する
-[[巡航ミサイル]]・[[弾道ミサイル]]による敵重要施設への[[空爆]]
-商船・[[輸送艦]]を沈める[[通商破壊戦]]
-[[機雷]]を散布して港湾・海峡を封鎖する
-敵[[艦隊]]に対する[[陽動]]攻撃
-損傷して[[撤退]]する敵艦への追撃
-[[戦略核兵器]]を発射可能な状態で海中に秘匿する
-敵の潜水艦を捜索・排除する

多くの技術的脆弱性を抱えた兵器であり、まだその技術体系が「枯れて」いない新しい分野でもある。~
高度な科学技術上の差異が性能に直結するため、設計・建造できる国家は極めて限られている。~
それらの事情と、そもそも秘匿を前提とするため、潜水艦は徹底的な[[RE>リバースエンジニアリング]]対策が行われている。~
建造過程はもちろん、[[搭乗員>サブマリナー]]、艦の[[シリアルナンバー]]、果ては部品の形状ですら軍事機密である。

>例えば、乗降用ハッチの厚さがわかれば最大潜行深度が推定でき、そこから[[装甲]]強度、撃沈に必要な[[爆薬]]量なども類推できる。

海上が常に[[レーダー]]と[[軍事衛星]]の監視下にある現代では、事実上唯一[[撤退]]が可能な艦艇である。~
潜水艦を運用できない[[海軍]]は[[偵察]]・[[陽動]]が不可能になり、[[作戦]]運用を行う事ができない。~
また通常の水上[[艦隊]]においても、対潜護衛能力は[[全滅]]を避けるための最重要課題である。~
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敵艦を発見、追尾する方法は、主に[[ソナー]]である。~
かつては[[潜望鏡]]も使用されていたが、センチ波レーダーが発明されて以後は潜望鏡の被発見率が格段に上がったため、現在は戦闘時に使用されることはまずない。~
また[[対水上レーダー]]や[[対空レーダー]]を装備しているものが多いが、使用されることは少ない。~
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武装は[[魚雷]]と[[艦載砲]]であったが、1940年代ごろから徐々に砲は廃れてゆき、[[魚雷]]が支配的になった。~
現在の潜水艦の武装は[[魚雷]]と[[艦対艦ミサイル]]が多く、さらに対地攻撃用の[[巡航ミサイル]]や[[弾道ミサイル]]の発射能力を持つものもある。 ~
関連:[[群狼戦術]] [[てつのくじら館]] [[サブマリナー]] [[哨戒機]] [[対潜機]] [[対潜魚雷]] [[対潜ヘリコプター]]~

**動力系統 [#yd731b3d]
潜水艦の駆動系には静粛な[[電動機>モーター]]が採用されるのが普通である。~
電源は発電用の[[内燃機関]]から取るのが一般的(駆動系そのものを[[エンジン]]に繋ぐより静粛化しやすい)。~
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大戦後には核報復力としての[[戦略潜水艦]]が登場したため、戦闘用の潜水艦は[[攻撃潜水艦]]と呼ばれることがある。~
騒音を避けるため事前に[[二次電池>電池]]に蓄電した上で用いられ、戦闘態勢では機関を稼働させない運用が多い。~
酸素の消費を節約するため、[[スターリングエンジン]]や[[燃料電池]]を用いる艦もある。~
ただし酸素は[[乗員>サブマリナー]]が生きているだけで消費されるため、必要に応じて吸気管を水面上に突き出して換気を行う。~

>黎明期には換気技術が未発達だったため、潜水を維持できる時間が非常に短かった。~
そのため海上で浮上したまま巡航し、[[作戦]]上必要な時にのみ潜水していた。~
このような黎明期の潜水艦を「可潜艦」と呼んで後世の潜水艦と区別する場合もある。

例外的に、[[原子炉]]と[[蒸気タービン]]を搭載した原子力潜水艦も存在する。~
動力に酸素を必要とせず、[[原子炉]]と[[蒸気タービン]]が生み出す膨大な電力で海水を電気分解して酸素を生成できるため、原子力潜水艦は換気を必要としない。~
一方、原子力潜水艦は動力区画が巨大化し、[[原子炉]]を休止させる事も困難なため静粛性が損なわれるという。

>ただし、静粛性が損なわれるのは単に技術的未熟の産物だという説もある。~
最新の静音化技術が施された原子力潜水艦の騒音がどの程度のものなのかは、軍事機密につき定かでない。

**探知 [#y4f038b9]
海水は[[電波>電磁波]]を吸収するため、潜水艦はほとんど[[レーダー]]を利用できない。~
([[長波]]や[[超長波]]は水中でも送受信が可能で、これを通信に用いる場合もあるが、[[索敵>偵察]]用途には用いられない)~
従って、敵艦を発見・追尾する主な手段は[[ソナー]](音波探信儀)である。~
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潜水艦はその秘匿性が最大の特長であるため、性能や活動について秘密にされている事項が他の艦艇に比べても特に多い。~
[[海上自衛隊]]でも、潜水艦隊は訓練内容すら[[秘]]とされており、就役後には船体から番号が消されるため、同型艦の識別は困難である。内部見学ができる事もあるが、基本的に写真は撮らせてもらえない。例えば、ハッチの厚さから最大潜行深度を推測されてしまう可能性もあるからである。~
戦時でなければ望遠鏡を海上に張り出す「潜望鏡」が利用される事もある。~
かつては戦闘時にも潜望鏡が用いられたが、現代の[[レーダー]]は小さな潜望鏡も発見してしまうため控えられている。~
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[[磁気捜索装置]]も利用されているが、[[ソナー]]ほど遠距離捜索には適しておらず、もっぱら補助的に用いられている。~
一方、海上・空中から[[潜水艦]]を[[捜索>偵察]]する際、[[対潜哨戒機]]は[[磁気捜索装置]]を広く利用している。

潜水艦の区分。~
**兵装 [#m2ec4603]
水中から[[艦載砲]]を撃つ事はできないため、主な武装は[[魚雷]]・[[艦対艦ミサイル]]である。~
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[[第一次世界大戦]]頃は[[魚雷]]の信頼性が低かったため、浮上して[[艦載砲]]を撃つ場合も多かった。~
また、一部の艦には([[偵察]]や他艦との連絡のために)[[水上機]]が搭載され、浮上してこれを発進させることもあった。~
しかし、1940年代以降は[[魚雷]]と[[ソナー]]が進歩し、[[艦載砲]]や[[水上機]]が廃され、潜水したまま攻撃するのが常道となっている。~
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関連:[[潜水空母]] [[伊-四〇〇]]

**潜水艦の区分 [#x866e745]
-[[戦略潜水艦]]~
--原子力弾道ミサイル潜水艦(SSBN)~
--弾道ミサイル潜水艦(SSB)~
--原子力ミサイル潜水艦(SSGN)~
--ミサイル潜水艦(SSG)~

-[[攻撃潜水艦]]~
--原子力攻撃型潜水艦(SSN)~
--攻撃型/哨戒潜水艦(SS)~
--対潜潜水艦(SSK)~

-その他の特務艦~
--特務/実験潜水艦(SSA)~
--原子力特務潜水艦(SSAN)~
--支援潜水艦(TSS/ATSS)~
--小型潜水艇(SSM)~
--沿岸潜水艇(SSC)~
--特殊任務用潜水艇(LSDV)~
--深海救難艇(DSRV)~
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関連:[[群狼戦術]]~
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Photo :SERA
--[[特殊任務用潜水艇>特殊潜航艇]](LSDV)~
--深海救難艇(DSRV)


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