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*&ruby(こうくう・てつどうじこちょうさいいんかい){【航空・鉄道事故調査委員会】}; [#jaa780b4]
国土交通省に設置されている、[[航空機]]・鉄道で起きた重大事故の原因調査や再発防止のための研究を行う専門機関。~
かつて国土交通省に設置されていた専門機関のひとつ。~
[[航空機]]または[[鉄道]]で死傷者を出すような重大事故が起きた際の原因調査や、その再発防止のための研究を職務としていた。~
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1971年に起きた「雫石事故」((訓練飛行中の[[航空自衛隊]]・[[F-86]][[戦闘機]]と全日本空輸の[[B727]][[旅客機]]が空中衝突して2機とも墜落、旅客機の乗客・乗員全員が死亡した事故))を教訓に、1974年に旧運輸省に「航空事故調査委員会」として設置。その後、2001年に鉄道の重大事故も調査範囲に含められることになって現在の名称に改められた。~
本委員会が発足する前、航空機で死傷者を出すような大事故が発生した際の対処(原因調査など)は、旧運輸省の航空局が中心となり、そのたびごとにスタッフを招集してあたっていた。~
しかし、1971年に起きた「雫石事故」((訓練飛行中の[[航空自衛隊]][[第1航空団>航空団]][[松島>松島飛行場]]派遣隊所属の[[F-86]][[戦闘機]]([[機体番号>機体記号]]:92-7932)と[[全日本空輸]]58便の[[B727]][[旅客機]](機体番号:JA8329)が空中衝突して2機とも[[墜落]]、旅客機の乗客・乗員全員(計162名)が死亡した大事故。))の際、一方の当事者である[[自衛隊]]側へ一方的な責任を被せる調査結果が出され、問題となった((これは、同事故の原因調査にあたったスタッフの「政治的信条」が要因の一つになっていたとされている。))。~
このことを教訓に、1974年に[[航空]]事故に関する中立的な調査機関として、当時の運輸省に「航空事故調査委員会」が設置された。~
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重大事故が発生すると、委員会は1〜数名の調査官を指名して現場に派遣。派遣された調査官は事故現場や関係者の所在地を回って証拠物件の採集や事情聴取を行い、また、外部の専門家も交えての科学的な解析なども行う。~
こうした過程を経て作成された「報告書」は一般に公開され、また、必要に応じて行われる関係諸機関への報告・建議により、今後の事故再発防止に努める。~
その後、2000年に東急東横線中目黒駅付近で起きた営団地下鉄(現:東京メトロ)日比谷線電車と東急電車との脱線衝突事故を契機に、2001年より[[鉄道]]での重大事故も調査範囲に含められることになり、名称が「航空・鉄道事故調査委員会」と改められた。~
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同委員会は関係者への責任追求を行わないため、常に「公正・中立」の立場を取っているが、アメリカの同種組織である「国家運輸安全委員会(NTSB)」や、日本の海難事故における「海難審判庁」のような強い権限がなく、また、人員の規模も小さいため、証拠物件の収集や関係者への事情聴取などでは警察・検察の後塵を排することもあるという。~
本委員会は、(設立の歴史的経緯から)活動にあたって常に「公正・中立」の立場を取り、関係者への直接的な責任追求は行わないこととしていたが、アメリカの同種組織である「国家運輸安全委員会(NTSB)」や、日本の海難事故における「海難審判庁((こちらは運輸省→国土交通省の外局であった。))」のような強い権限がなく、また、人員の規模も小さかったため、証拠物件の収集や関係者への事情聴取などでは「業務上過失致死傷罪」で捜査をする警察・検察の後塵を拝することもあったという。~
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こうしたことから、2008年に海難審判庁の事故原因究明部門と機能を統合して[[運輸安全委員会(JTSB)>運輸安全委員会]]が作られることとなり、発展的解消を遂げた。


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