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*ruby(きかん){【旗艦】}; [#t966287b]
*&ruby(きかん/はたぶね){【旗艦】}; [#t966287b]
Flagship.~
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[[海軍]]において、[[艦隊]]の指揮官及びその[[幕僚>参謀]]が乗り込んで指揮を執る役目を与えられた[[艦艇]]のこと。~
[[海上自衛隊]]では「はたぶね」とも呼ぶ。~
[[艦隊]]の指揮官(と[[幕僚>参謀]])が乗り込んで指揮を執る[[艦艇]]。~
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この言葉の由来は、帆船時代の海戦において、[[艦隊]]を構成する艦艇の中で最大のものに司令官とその幕僚が乗り込み、マストから旗を掲げて後続の艦に指示を出していたことに起源を発している。~
そのことから、長らく「艦隊の中で最大・最強の戦闘力を持つ艦艇」が指名されることが慣例となっていたが、時代が下ると、様々な要因からこの慣例が不合理なこととされるようになった。~
帆船の時代、[[艦隊司令官>大将]]が乗艦のマストに信号旗を掲げて指示を送っていた事を語源とする。~
その性質上、敵から集中攻撃を受けやすく、伝統的に「[[艦隊]]で最強の艦」が選ばれる事が多かった((余談だが、現代ではここから転じて「ある集団やグループの中で(ステータスや戦略的重要性から)最も重要な位置づけにあるもの」を指す言葉としても用いられている。))。~
また、多数の[[参謀]]と各種資料・器具が[[ペイロード]]を大きく圧迫するため、小型艦では任を果たせなかった((そのため、[[駆逐艦]]で構成される[[水雷戦隊>戦隊]]では通常の駆逐艦より居住施設を拡張した「嚮導駆逐艦」という艦が充てられていた時代もあった。))。~
[[大艦巨砲主義]]が衰退を迎える以前、主力[[艦隊]]の旗艦には[[戦艦]]をもって充てるのが[[海軍]]の常識であった。~
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そのため、現代――特に[[戦略]]的な単位としての[[艦隊]]においては「旗艦は本国近辺、あるいは前線との中間点の海域にとどまり、[[指揮統制>C4I]]のセンターに徹する」という用いられ方をされる事が普通になっている。~
また、ここから更に進んで[[指揮統制>C4I]]の機能を完全に陸上へ移し、旗艦を廃止してしまった艦隊もある。~
しかし、無線通信機器が投入された[[第二次世界大戦]]以降の[[戦訓>バトルプルーフ]]により、この状況は変化した。~
[[戦艦]]という艦種が過去のものとなったのに合わせ、旗艦は戦闘能力を度外視して[[C4I]]に特化されるようになった。~
また、無線越しの情報だけで十全に指揮を執る事が可能になったため、[[交戦海域>前線]]に進出する事も希になり、海軍の象徴的な存在として扱われるようにもなっていった。~
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関連:[[ブルー・リッジ]] [[三笠]] [[大和(超ド級戦艦)>大和]] [[あきづき(海上自衛隊・初代)>秋月]]
そして現代では、指揮統制機能をすべて地上施設に移し、旗艦を置かなくなった[[海軍]]・[[艦隊]]もある((一例として、[[海上自衛隊]]では[[自衛艦隊]]・護衛艦隊にあった「旗艦」制度を現在廃止しており、陸上基地から統率を行っている。&br;  ただし、護衛艦隊隷下の各護衛隊群には「旗艦」とされる艦がある。))。

>軍事史全体を通じて「将軍が最前線に赴く」のはほぼ常に愚策とされる。~
[[戦死>KIA]]すれば混乱によって[[C3I]]が麻痺し、[[戦線>前線]]に甚大な衝撃を与える事になるからだ。~
指揮官が自ら戦場に赴く必要があるのは、そこに居なければ指揮が不可能である場合のみに限られる。~
情報通信技術が発達した現代、「旗艦」の存在意義は完全に消えたか、残っていても希少なものであろう。

関連:[[ブルー・リッジ]] [[三笠]] [[大和(超ド級戦艦)>大和(戦艦)]] [[あきづき(海上自衛隊・初代)>秋月]] [[長門]] [[大淀(軽巡洋艦)>大淀]] [[香取(練習巡洋艦)>香取]]


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