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*&ruby(きゃんばー){【キャンバー】};
camber~
*&ruby(きゃんばー){【キャンバー】}; [#o93f3cb5]
camber.~
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反り。物体の形状が反っている様子。~
特に[[航空]]分野では、翼の形状が反っている様子を指す。~
その程度は、翼形中心線(断面における上面の線と下面の線を平均した線)と、翼弦線(断面における前縁から後縁に引かれた線分)との距離で示される。~
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関連:[[Il-86]]([[NATOコード]]「キャンバー」)

キャンバーがない翼([[対称翼]])でも[[迎え角]]を大きくすることにより[[揚力]]を発生させることはできるが、[[抗力]]も大きくなってしまい、[[揚抗比]]が悪化してしまう。~
そこで翼にキャンバーを設けることにより、大きな[[迎え角]]を取らなくても[[揚力]]を得られるようにする。~
**車輪のキャンバー [#n60975a9]

[[主翼]]などは[[迎え角]]を取らなくても上向きの[[揚力]]を発生させるために、上面がふくらんだ形のキャンバーを持っている。~
[[コアンダ効果]]によって空気の流れは翼の表面に沿う。翼の上側が膨らんでいると、下面に比べて空気の移動距離が長くなる分だけ気流が速くなり、ベルヌーイの定理にしたがって上面の圧力が低くなる。この圧力差によって[[揚力]]を発生するのである。~
車両の車輪が車軸に対して垂直でなく、車体の内側または外側に傾けて設置されている事。~
後輪駆動する自動車の前輪だけを傾けるのが一般的。動輪に傾斜を付けてもほとんど利点はない。~
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車輪の上側が外向きになっている場合(すり鉢型・V字型)を「正キャンバー」「プラスキャンバー」「ポジティブキャンバー」などという。~
より小さな力で旋回できるようになる反面、負荷がかかると脱輪しやすくなる。~
人力で舵を切っている古い車種では重要な特性だったが、[[油圧ポンプ]]や[[電動機]]で舵を切るパワーステアリングの普及によって陳腐化した。~
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車輪の下側が外向きになっている場合(八の字型)を「負キャンバー」「マイナスキャンバー」「ネガティブキャンバー」などという。~
正キャンバーとは逆に旋回に大きな力が必要になるが、脱輪しにくくなる。~
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どちらの場合でも、接地面積が小さい分タイヤの[[摩耗>摩擦]]が早くなり、平均故障間隔が短くなる。~
また、設置面積が小さいと[[摩擦]]も減少するため、ブレーキによる制動が効きにくくなる。~
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このため、近年の車種はタイヤの丸みで吸収できる程度の小さなキャンバー角しか付けないのが一般的。~
地面に対して垂直であるのが最も安定的だが、実際には車種や運用に合わせたキャンバー角の微調整が必要になる。~
車両はバネなどの衝撃吸収機構(変形機構)を持ち、走行中の負荷によってキャンバー角も変化するからだ。

さりとてキャンバーをあまり大きくしすぎると、今度は[[迎え角]]が小さくても高速時に[[抗力]]が大きくなってしまい、やはり[[揚抗比]]が悪化する。~
以上の特性から、低速用の機体ではキャンバーの大きな[[主翼]]を、高速用の機体ではキャンバーの小さな[[主翼]]を採用することが一般的である。~
高速向きの機体を離着陸させる際は、[[フラップ]]などを使って一時的にキャンバーを増大させ、低速でも[[揚力]]が得られるようにする。~

**翼のキャンバー [#s4de157c]
[[航空機]]では、[[主翼]]が下向きに反り返るように形成される事が多い。~
この文脈では、「キャンバー」の語は翼がどれくらい反り返っているかを指す相対的な単位として用いられる。~
キャンバーのない平坦な[[主翼]]を、特に「[[対称翼]]」と呼ぶ場合もある。~
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キャンバーのある翼で前進すると、翼の上下で[[速度]]差・[[気圧]]差が生じる。キャンバーが大きいほど[[気圧]]差も大きい。~
このため、上面が低圧になるよう調整すると[[揚力]]が増す。~
また、下向きの反り返りは下向きの気流([[ダウンウォッシュ]])を発生させ、これも[[揚力]]を生み出す。~
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反面、キャンバーが大きいほど翼面の[[抗力]]も増大し、また気流の剥離などで[[失速]]を誘発する恐れがある。~
総じて、低速飛行では[[揚力]]の増大が利点となり、高速になるほど[[抗力]]の増大が重大な欠点となる。~
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大型機では[[動翼]]([[フラップ]])を用いて低速時のみキャンバーを増大させる構造を採用している場合が多い。~
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関連:[[コニカルキャンバー]]


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