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*&ruby(きえふ(こうくうぼかん)){【キエフ(航空母艦)】}; [#c91b30f6]
*&ruby(きえふ){【キエフ】}; [#c91b30f6]
1970年代に就役した、ソビエト海軍初の[[固定翼機]]搭載[[航空母艦]]。~
国際的常識に鑑みると[[軽空母]]に分類されるが、ソ連/ロシア海軍での公称は「[[航空巡洋艦]]」となっている。~
国際的常識に鑑みると[[軽空母]]に分類されるが、ソ連/ロシア海軍での公称は「[[航空巡洋艦]]」であった。~
~
「防空統制艦プロジェクト1143『クリェーチェト((Кречет:ロシア語で隼の意味。))』」の名で計画開始。~
「防空統制艦プロジェクト1143『クリェーチェト(Кречет:「隼」の意)』」の名で計画開始。~
1番艦「キエフ」は黒海に面するニコライエフ(現ウクライナ)のチェルノモルスキー造船所で1968年に建造着手、1975年に竣工。~
同型艦に「ミンスク」「ノボロシスク」「バクー((1990年「アドミラル・ゴルシコフ」に改名。))」の3隻があった。~
同型艦に「ミンスク」「ノヴォロシースク」「バクー」(1990年「アドミラル・ゴルシコフ」に改名)の3隻があった。~
~
先に就役していた[[モスクワ級ヘリコプター巡洋艦>モスクワ]]を代替する目的で建造された。~
建造時に想定されていた[[艦載機]]は[[Ka-25「ホーモン」>Ka-25]][[対潜ヘリコプター]]および[[Yak-36「フリーハンド」>Yak-36]][[VTOL]][[戦闘攻撃機]]。~
[[正規空母]]に近い強力な対潜・航空打撃力を持って[[艦隊]]の中核となる事を目的としている。~
[[正規空母]]に近い強力な対潜・航空打撃力を持って[[艦隊]]の中核となる事を目的としていた。~

**建造の意義 [#g669f369]
ソ連[[海軍]]は1917年の「十月革命」による建国以降、数十年にわたって貧弱な状態にあった。~
これは帝政ロシア時代の[[日露戦争]]における壊滅的打撃と、スターリン書記長の常軌を逸した大粛正による人材枯渇に因る。~
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[[第二次世界大戦]]以後、ソビエトは本格的な海軍整備を推進。~
1960年代末には[[潜水艦]]・[[戦闘艦]]の分野でアメリカに匹敵する規模まで拡張を遂げる。~
その次の目標として、外洋での海戦に対応した[[艦隊]][[ドクトリン]]の構築に着手。~
~
そのために、[[航空母艦]]運用の経験を積むためのテストベッドが必要とされ、それを担ったのがこのキエフ級である。~
実務上は対潜哨戒および敵性[[哨戒機]]の排除を目的としている。~
[[冷戦]]時代の[[核戦争]]を想定した設計で、[[戦略潜水艦]]を敵性航空機から護衛する任務が想定されていた。~
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ソ連海軍は当初本級を「対潜巡洋艦」と呼び、後に[[航空巡洋艦]]と称した。~
ソ連海軍は当初本級を「対潜巡洋艦」と呼び、後に[[航空巡洋艦]]と称し、いずれにせよ[[巡洋艦]]であって[[航空母艦]]ではないと主張している。

>「航空母艦」ではなく「航空巡洋艦」とした理由は、1936年に結ばれたモントルー条約にある。~
同条約では、黒海と地中海を結ぶボスポラス海峡・ダータネルス海峡を航空母艦が通過する事を禁じていた。~
ソビエト軍の造船施設は黒海沿岸に集中しているため、これは事実上、「航空母艦」を運航できない事を意味していた。
>黒海と地中海を結ぶボスポラス海峡・ダータネルス海峡は、1936年に結ばれた「海峡制度に関する条約(通称:モントルー条約)」によって[[航空母艦]]の通過が禁止されている。~
そしてソビエトの造船所は黒海沿岸に集中しており、ソビエト海軍のあらゆる[[艦艇]]は黒海と地中海を往復可能でなければならなかった。

**特徴 [#s92b66fe]
本級の最大の特徴は、[[航空母艦]]には似つかわしくない重武装である。~
[[艦対艦ミサイル]]・[[艦対空ミサイル]]・[[対潜ミサイル]]/[[ロケット弾]]・[[速射砲]]・[[CIWS]]と、同世代[[駆逐艦]]を凌駕する武装が施された。~
[[艦対艦ミサイル]]・[[艦対空ミサイル]]・[[対潜ミサイル]]/[[ロケット弾]]・[[速射砲]]・[[CIWS]]と、同世代の[[駆逐艦]]を凌駕する武装が施された。~
~
[[飛行甲板]]を備えるため、これらの兵装は艦首部に集中配置された。~
しかし[[飛行甲板]]に乱気流を発生させてしまうため、[[航空機]]の離着艦に甚大な悪影響があった。~
しかし[[飛行甲板]]に乱気流を発生させてしまうため、[[航空機]]の[[離>離陸]][[着艦>着陸]]に甚大な悪影響があった。~
後期の改修ではこの点に対する各種の対策が採られたが、完全な解決には至らなかった模様である。~
~
なお、武装の中で最も長射程である[[SS-N-12]]「サンドボックス」[[艦対艦ミサイル]]は[[有効射程]]500kmに達する。~
しかし、本級がその射程を最大限に活かせるか、実際に500km先の目標に命中させる事ができるかは非常に疑わしい。~
艦載[[レーダー]]の有効識別距離は当然500kmに満たないし、艦載[[哨戒機]]の[[戦闘行動半径]]ですら150km程度である。~
しかし、本級がその射程を最大限に活かせるか、実際に500km先の目標に命中させる事ができるかは非常に疑わしかった。~
艦載[[レーダー]]の有効識別距離は当然500kmに満たないし、[[艦載機]]の[[戦闘行動半径]]ですら150km程度である。~
[[軍事衛星]]で捕捉する事も考えられるが、衛星がある地点を偵察できる機会は1日に1〜2度しか巡ってこない。

**航空兵装 [#yd51a4c0]
本級は189m×20.7mの全通式[[斜め飛行甲板]]を持っていた。~
通常、[[斜め飛行甲板]]は[[艦載機]]の発艦・着艦を同時に行うための設計だが、本級ではそれは実行不可能である。~
通常、[[斜め飛行甲板]]は[[艦載機]]の[[発艦>離陸]]・[[着艦>着陸]]を同時に行うための設計だが、本級ではそれは実行不可能であった。~
実際には、艦首部の重武装を搭載しつつ[[航空母艦]]としての機能を維持するための措置であった。~
~
[[艦載機]]は[[Ka-25]]「ホーモン」警戒ヘリ及び[[Ka-27]]「へリックス」[[対潜哨戒ヘリ>対潜ヘリコプター]]の[[回転翼機]]が21機、[[Yak-38]]フォージャー[[VTOL]][[戦闘攻撃機]]を12機搭載した。~
なお、当初予定されていた[[Yak-36]]フリーハンドは性能不足のため生産には至らなかった。~
[[艦載機]]は[[Ka-25「ホーモン」>Ka-25]]及び[[Ka-27「へリックス」>Ka-27]][[対潜哨戒ヘリコプター>対潜ヘリコプター]]を21機、[[Yak-38「フォージャー」>Yak-38]][[VTOL]][[戦闘攻撃機]]を12機搭載した。~
なお、当初予定されていた[[Yak-36「フリーハンド」>Yak-36]]は性能不足のため生産には至らなかった。~
~
ただし、[[Yak-38「フォージャー」>Yak-38]][[戦闘機]]の運用には甚大な問題点があった。~
フォージャーは[[VTOL]]としてはおよそ失敗作と言って良く、[[ペイロード]]・[[戦闘行動半径]]共に明らかな能力不足であった。~
フォージャーは[[VTOL]]としてはおよそ失敗作といってよく、[[ペイロード]]・[[戦闘行動半径]]共に明らかな能力不足であった。~
母艦の周囲100km圏内で[[戦闘空中哨戒]]を行う程度が限界で、積極的な[[攻勢対航空作戦]]など望み得るものではなかった。~
この欠陥は相当長く隠蔽されたが、1970年代後半には公然の事実と化し、その時点で本級は[[航空母艦]]としての戦略的価値を喪失した。~
~
とはいえ、[[ミサイル艦]]と[[護衛空母]]を兼ねている、という事実だけでも[[仮想敵国]]にとって十分な脅威ではあった。~
本級の存在は、アメリカ海軍や[[海上自衛隊]]を始め、旧西側諸国の[[海軍]]に対して大きな[[抑止力]]を発揮し続けた。
本級の存在は、[[アメリカ海軍]]や[[海上自衛隊]]を始め、旧西側諸国の[[海軍]]に対して大きな[[抑止力]]を発揮し続けた。

**その後 [#e142cde9]
その後、本級にはYak-38よりも飛躍的に能力が向上した[[Yak-141「フリースタイル」>Yak-141]][[VTOL]][[戦闘機]]の搭載が予定されていた。~
もし、[[Yak-141]]が実戦配備されて本級に搭載されていれば、ソ連海軍は「フォージャー(まがい物)」ではない真の航空戦力を保持し得たであろう。~
もし、[[Yak-141]]が実戦配備されて本級に搭載されていれば、ソ連海軍は「フォージャー(まがい物)」ではない真の艦隊航空戦力を保持し得たであろう。~
しかし、その頃にはソビエト連邦の統制経済は既に破綻しており、時代は本級を要求していなかった。~
連邦の崩壊に伴い本級の役割は終わりを告げ、各艦とも悲惨な運命を辿っている。~
~

**スペックデータ [#h5cda14b]
|CENTER:タイプ|CENTER:1143型&br;(キエフ・ミンスク)|CENTER:1143.3型&br;(ノヴォロシースク)|CENTER:1143.4型&br;(バクー)|
|CENTER:[[排水量]]&br;([[基準>基準排水量]]/[[満載>満載排水量]])|CENTER:30,535t/41,380t|CENTER:31,900t/43,220t|CENTER:33,440t/44,490t|
|CENTER:タイプ|CENTER:1143型|CENTER:1143.3型|CENTER:1143.4型|
|CENTER:主造船所|>|>|CENTER:チェルノモールスキィ造船所&br;(ニコラーエフ南(現ウクライナ)、第444海軍工廠)|
|CENTER:[[基準排水量]]|CENTER:30,535t|CENTER:31,900t|CENTER:33,440t|
|CENTER:[[満載排水量]]|CENTER:41,380t|CENTER:43,220t|CENTER:44,490t|
|CENTER:全長|CENTER:273m|>|CENTER:273.1m|
|CENTER:水線長|CENTER:236m|>|CENTER:243m|
|CENTER:水線長|>|CENTER:236m|CENTER:243m|
|CENTER:最大幅|CENTER:49.2m|CENTER:51.3m|CENTER:52.9m|
|CENTER:[[飛行甲板]]幅|>|CENTER:50m|CENTER:51m|
|CENTER:最大喫水|CENTER:11.04m|CENTER:11.5m|CENTER:11.52m|
|CENTER:[[機関>エンジン]]|>|>|CENTER:KVN-98/64型重油専焼式ボイラー×8缶&br;TV-12-3型[[蒸気タービン]]×4基(機関出力:各45,000hp)&br;スクリュープロペラ×4軸推進|
|CENTER:最大[[喫水]]|CENTER:11.04m|CENTER:11.5m|CENTER:11.52m|
|CENTER:推進方式|>|>|CENTER:[[蒸気タービン]]推進方式|
|CENTER:主缶|>|>|CENTER:KVN-98/64型重油専焼式ボイラー×8缶|
|CENTER:主機|>|>|CENTER:TV-12-3型[[蒸気タービン]]×4基(機関出力:各45,000hp(34MW))|
|推進器|>|>|CENTER:スクリュー[[プロペラ]]×4軸|
|CENTER:最大速力|>|>|CENTER:32.5[[ノット]]|
|CENTER:[[航続距離]]|CENTER:8,590[[海里]]&br;(18kt巡航時)|CENTER:7,160海里&br;(18kt巡航時)|CENTER:7,590海里&br;(18kt巡航時)|
|CENTER:[[航続距離]]&br;(18[[kt>ノット]]巡航時)|CENTER:8,590[[海里]]|CENTER:7,160海里|CENTER:7,590海里|
|CENTER:乗員|CENTER:1,435名|CENTER:1,607名|CENTER:1,615名|
|CENTER:航空要員|>|>|CENTER:430名|
|CENTER:主砲・[[CIWS]]|>|CENTER:AK-726 76.2mm連装砲×2基|[[AK-100 100mm単装速射砲>AK-100]]×2基|
|~|>|>|CENTER:[[AK-630/630M 30mmCIWS>AK-630]]×6基((AK-630は1番艦のみ。他はAK-630Mを搭載。))|
|[[SAM>艦対空ミサイル]]|>|CENTER:B-189 [[SAM>艦対空ミサイル]]連装発射機×2基&br;(M-11「シュトルム-M」(SA-N-3「ゴブレット」)を搭載。)&br;(V-611ミサイル×48発)|CENTER:-|
|~|CENTER:ZiF-122 短SAM連装発射機×2基&br;([[4K33「オサーM」>SA-8]]を搭載)&br;(9M33ミサイル×20発)|CENTER:-|CENTER:[[3K95「キンジャール」>SA-15]]短SAM&br;8連装[[VLS>垂直発射システム]]&br;×16セル24基|
|[[SSM>艦対艦ミサイル]]|>|CENTER:SM-241「ウラガーン-1143」SSM連装発射筒×4基&br;([[P-500>SS-N-12]]ミサイル)|CENTER:SM-241「ウラガーン-1143」&br;SSM連装発射筒×6基&br;(P-500ミサイル)|
|対潜ロケット・&br;対潜ミサイル|>|CENTER:RBU-6000「スメルチ-2」&br;12連装対潜ロケット砲×2基|CENTER:RBU-12000「ウダフ-1」&br;10連装対潜ロケット砲×2基|
|~|>|CENTER:[[RPK-1「ヴィフリ」>SUW-N-1]] [[SUM>対潜ミサイル]]連装発射機×1基|CENTER:-|
|CENTER:主砲|>|CENTER:AK-726 76.2mm連装砲×2基|CENTER:[[AK-100 100mm単装速射砲>AK-100]]×2基|
|[[CIWS]]|CENTER:[[AK-630]] 30mm[[CIWS]]×6基|>|CENTER:AK-630M 30mm[[CIWS]]×6基|
|[[SAM>艦対空ミサイル]]|>|CENTER:B-187A 連装発射機×2基&br;(M-11M「シュトルム」[[SAM>艦対空ミサイル]]用)&br;(V-611ミサイル×48発)|CENTER:-|
|~|CENTER:ZiF-122連装発射機×2基&br;([[4K33「オサーM」>SA-8]]短SAM用)&br;(9M33ミサイル×20発)|CENTER:-|CENTER:[[3K95「キンジャール」>SA-15]]短SAM&br;8連装リボルバー型[[VLS>垂直発射システム]]&br;×16セル24基|
|[[SSM>艦対艦ミサイル]]|>|CENTER:SM-241「ウラガーン-1143」&br;SSM連装発射筒×4基&br;([[P-500>SS-N-12]]ミサイル)|CENTER:同発射機×6基|
|対潜兵装|>|CENTER:RBU-6000「スメルチ-2」&br;12連装212mm対潜[[迫撃砲]]×2基|CENTER:RBU-12000「ウダフ-1」&br;10連装300mm対潜迫撃砲×2基|
|~|>|CENTER:[[RPK-1「ヴィフリ」>SUW-N-1]]&br;[[SUM>対潜ミサイル]]連装発射機×1基|CENTER:-|
|[[魚雷]]|CENTER:PTA-53-1143&br;5連装533mm魚雷発射管×2基&br;(SET-53またはSET-65魚雷を搭載)|>|CENTER:-|
|CENTER:[[艦載機]]|CENTER:[[Yak-38]][[V/STOL]][[軽襲撃機>シュトルモビク]]&br;ないし&br;[[Ka-25]]/[[27>Ka-27]][[哨戒ヘリコプター]]×20機|>|CENTER:[[Yak-38]][[V/STOL]][[軽襲撃機>シュトルモビク]]&br;ないし&br;[[Ka-25]]/[[27>Ka-27]][[哨戒ヘリコプター]]×30機|
|CENTER:[[C4Iシステム>C4I]]|CENTER:アレッヤ2型|CENTER:アレッヤ2K型|CENTER:レゾルブ434型|
|CENTER:[[レーダー]]|>|CENTER:MR-600「ヴォスホード」3次元式レーダー&br;MR-700「フレガート」3次元式レーダー|CENTER:マルス・パッサート 3次元式レーダー&br;&br;MR-710M「フレガートM」3次元式レーダー&br;MR-350「ポドカット」低空警戒・対水上捜索レーダー|
|CENTER:[[ソナー]]|>|>|CENTER:MR-342「オリオン」艦首装備式ソナー×1基&br;MG-335「プラーチナ」可変深度式ソナー×1基|
|CENTER:[[艦載機]]|>|>|CENTER:搭載機数:標準22機、最大30機(実験的に36機が搭載された事がある)|
|~|CENTER:[[Yak-38]][[V/STOL]][[軽襲撃機>シュトルモビク]]&br;ないし&br;[[Ka-25]]/[[27>Ka-27]][[哨戒ヘリコプター>対潜ヘリコプター]]&br;×20機|>|CENTER:[[Yak-38]][[V/STOL]][[軽襲撃機>シュトルモビク]]&br;ないし&br;[[Ka-25]]/[[27>Ka-27]][[哨戒ヘリコプター>対潜ヘリコプター]]×30機|
|~|>|>|CENTER:Ka-25/27救難ヘリコプター×2機|
|CENTER:[[C4I&br;システム>C4I]]|CENTER:アレッヤ2型|CENTER:アレッヤ2K型|CENTER:レゾルブ434型|
|CENTER:[[レーダー]]|>|CENTER:MR-600「ヴォスホード」3次元式&br;MR-700「フレガート」3次元式|CENTER:マルス・パッサート 3次元式&br;MR-710M「フレガートM」3次元式&br;MR-350「ポドカット」&br;低空警戒・対水上用|
|CENTER:[[ソナー]]|>|>|CENTER:MR-342「オリオン」艦首装備式×1基&br;MG-335「プラーチナ」可変深度式×1基|
~
**同型艦 [#z258c82d]
|艦名|主造船所|起工|進水|就役|除籍|所属|
|キエフ&br;(Киев)|チェルノモルスキー|1970.7.21|1972.12.27|1975.1.3|1993.6.30|北方艦隊|
|ミンスク&br;(Минск)|~|1972.12.29|1975.9.30|1978.9.28|1992.5.30|太平洋艦隊|
|ノボロシスク&br;(Новороссийск)|~|1975.9.30|1978.12.24|1982.12.9|1993.1.|太平洋艦隊|
|バクー&br;(Баку)|~|1978.12.|1982.4.|1987.1.|1997.|北方艦隊|
|艦名|主造船所|起工|進水|就役|除籍|所属艦隊|
|キエフ&br;(Киев)|チェルノモルスキー|1970.7.21|1972.12.27|1975.1.3|1993.6.30|北方|
|ミンスク&br;(Минск)|~|1972.12.29|1975.9.30|1978.9.28|1992.5.30|太平洋|
|ノヴォロシースク&br;(Новороссийск)|~|1975.9.30|1978.12.24|1982.12.9|1993.1.|~|
|バクー&br;(Баку)|~|1978.12.|1982.4.|1987.1.|1997.|北方|
~
**艦暦[#lfceec27]
-キエフ(Киев)~
1番艦。北方艦隊に所属。~
**艦歴 [#v54153db]

***キエフ(Киев) [#o38dd04a]
1番艦。北方[[艦隊]]に所属。~
ソ連崩壊時には[[予備役]]。~
1990年ムルマンスクで改修中、予算不足のため工事を中断。~
1993年6月30日に除籍され、4番艦アドミラル・ゴルシコフの部品取りにまわされた。~
1993年6月30日に除籍され、4番艦アドミラル・ゴルシコフの部品取りにまわされた。~
その後、2000年に中国にスクラップとして売却され、上海(シャンハイ)の造船所で修復されたのち、天津市に回航されて軍事テーマパークとして展示されている。~
同艦の外観は完全に修復され、[[強撃5]]や[[Yak-28]]ほか、[[Su-27]]のレプリカなどが展示されている。~
~
-ミンスク(Минск)~
同艦の外観は完全に修復され、[[強撃5]]や[[Yak-28]]のほか、[[Su-27]]のレプリカなどが展示されている。~
2012年に世界初の空母ホテル「天津航母酒店」に改装された。

***ミンスク(Минск) [#v8f3799d]
2番艦。太平洋艦隊に所属。~
1979年にウラジオストックへ回航され、主に日本海、オホーツク海で活動していた。~
1989年に機関故障による火災事故を起こしウラジオストックに係留されつづけ(その後、ソヴィエツカヤ・ガヴァニに係留)、1995年、スクラップとして韓国に売却され釜山港に回航。~
韓国でも全焼火災を起こして1997年に中国に転売、広州・深川にて「ミンスク・ワールド([[明思克航母世界]])」という軍事遊園地として展示された。~
しかし経営難に陥り運営会社が破産、閉鎖された後、2006年に競売に掛けられ、別の企業に落札された。~
~
-ノボロシスク(Новороссийск)~
1989年に機関故障による火災事故を起こしウラジオストックに係留されつづけ(その後、ナホトカやソヴィエツカヤ・ガヴァニに係留)、1995年、スクラップとして韓国に売却され釜山港に回航。~
1997年に中国に転売、広州・深川に係留され(その際1999年11月に全焼火災を起こしている)、2000年6月に「ミンスク・ワールド([[明思克航母世界]])」という軍事テーマパークとして展示された。~
しかし経営難に陥り運営会社が破産、閉鎖された後、船体は2006年に競売に掛けられ、別の企業に落札された。~
その後、2016年4月に「ミンスク・ワールド」から撤去され、舟山に曳航されて整備を受けたのち、新しい空母展示公園を建設する計画に従って中国江蘇省南通市に回航された。~
なお、2024年現在、新しい空母展示公園は未だ開園していない。

***ノヴォロシースク(Новороссийск) [#mb8e87d5]
3番艦。太平洋艦隊に所属。当初艦名を「ハリコフ」と西側に誤認されていた。~
1979年、ミンスクと同時期にウラジオストックを母港として日本海、オホーツク海で活動。~
また、同艦はハワイ沖へのクルーズを実施するなど示威行動を盛んに行い、本級の中でもっとも頻繁に活動していた。~
しかし、1991年に[[予備役]]になった後、1993年1月に火災事故により除籍。~
その後、ウラジオストックに10年間係留され続けた。~
1994年にスクラップとして韓国に売却され、1997年に解体された。~
~
-バクー(Баку)~
しかし、ソ連崩壊後の1991年に[[予備役]]になった後、1993年1月に機関室の火災事故により除籍。~
その後、1996年にスクラップとして韓国に売却され、1997年に解体された。

***バクー(Баку) [#u7596838]
4番艦、北方艦隊に所属。~
艦名は1990年10月に「アドミラル・オブ・ザ・フリート・オブ・ザ・ソビエト・ユニオン・セルゲイ・ゲオルギエビッチ・ゴルシコフ((Admiral of the Fleet of the Soviet Union Sergei Georgievich Gorshkov:和訳すると「ソヴィエト連邦海軍[[元帥]]セルゲイ・ゲオルギエビッチ・ゴルシコフ」となる。))」に変更された。~
本艦は、他の姉妹艦とは異なる武装や電子機器類の装備を搭載したため「改キエフ級」と呼ばれることもある。~
1〜3番艦が相次いで行動不能に陥る中、ソビエト連邦の崩壊後も唯一現役にとどまり、[[Yak-141]]フリースタイルの試験や、建造中のアドミラル・クズネツォフ級に採用される予定だった各種実験が行われた。~
火災事故など災難に遭うことが多く、1991年には艦内に置いてあった生活ゴミからの出火で、補助区画に通じるケーブルが損傷したほか、同年にはYak-141が着艦に失敗して爆発火災事故を起こし、また、1994年にはボイラー爆発による火災事故により行動不能になったが((この時、火災がタービン室にも延焼して8時間に渡って燃え続けた。))、「キエフ」から部品を調達し1995年に復旧。~
しかし、1995年7月からムルマンスクで[[予備役]]艦として係留され続け、まともな運用は行われていなかった。~
艦名は1990年10月に「アドミラール・フロータ・ソヴェーツコヴォ・ソユーザ・ゴルシュコーフ」に変更された。~
~
その後、インドに売却され全通甲板を持つ空母へと改修され「ヴィクラマーディティヤ」として就役する予定である。~
詳しくは[[ヴィクラマーディティヤ]]の項を参照。~
他の姉妹艦とは異なる武装や電子機器類の装備を搭載したため「改キエフ級」と呼ばれることもある。~
1〜3番艦が相次いで行動不能に陥る中、ソビエト連邦の崩壊後も唯一現役にとどまり、[[Yak-141「フリースタイル」>Yak-141]]の試験や、建造中のアドミラル・クズネツォフ級に採用される予定だった各種実験が行われた。~

1991年、艦内の生活ゴミによる火災が発生し、補助区画に通じるケーブルを損傷。~
同年、Yak-141が着艦に失敗して爆発火災事故が発生。~
1994年、ボイラーの爆発事故に伴う火災で機関室が全焼し、航行能力を喪失。~
これら度重なる火災によって運航困難と判断され、1995年7月からムルマンスクで[[予備役]]艦として係留され続けていた。~
~
その後、インドに売却され、[[航空母艦]]「[[ヴィクラマーディティヤ]]」へと改修・就役した。


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