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*&ruby(いーじすかん){【イージス艦】};
"AEGIS combat system"~
イージスシステムを搭載した[[戦闘艦]]の通称。 [[攻撃機]]や[[対艦ミサイル]]などの急速な進化に伴い、これら空からの脅威から[[航空母艦]]を守ることを主任務として開発された。~
特に[[冷戦]]時は[[ソ連軍]]が大量の[[航空機]]や[[ミサイル]]を保有しており、これらを同時に用いた[[飽和攻撃]]を受けた場合に従来のミサイル艦では対処しきれないことから、その必要性が叫ばれた。~
*&ruby(いーじすかん){【イージス艦】}; [#saac7131]
AEGIS combat system.~
>「AEGIS」の語は、古代ギリシャ神話に登場するゼウスがアテナに与えたとされる盾(正確には胸当て)「Aegis(アイギス)」を語源とする。~
曰く、神々の王ゼウスの雷霆をもってしても破壊できず、一振りすれば嵐を巻き起こし人々を狂乱させるという。~
また、直視した者は石のように麻痺して死んでしまうほど恐ろしい装飾が施されているという。

後述する「イージスシステム」の[[プラットフォーム]]として運用される[[戦闘艦]]の総称。~
[[艦艇]]そのものの種類は問わないが、通常は[[巡洋艦]]・[[駆逐艦]]が選ばれる。~
機密性が高く、また非常に高額であるため、喪失の可能性が高い[[コルベット]]などが選ばれた例はない。~
また、前提として大量の[[ミサイル]]運用能力を要求されるため、[[航空母艦]]がイージス艦を兼ねる事もない。~
~
1963年、タイフォン対空防御システムが重量・コストおよび運用上の問題から中止になって以来、[[飽和攻撃]]に対する防御は専ら「3-T : テリア・タロス・ターター」ミサイルに頼っていた。~
また、60年代、[[LINK11 NTDS>NTDS]]が登場し、各艦が艦隊として結合して運用される時代となっていたが、急速に発展するソ連対艦ミサイルに対処することが出来なかった。~
そこで、1964年「ASMS:Advanced Surface Missile System」計画が始まり、1969年「Aegis」計画と改名された。ASMSで開発されていたレーダーは、「AN/SPY-1」となり、「3-T」の改良として「SM-1:Standard Missile-1([[RIM-66]])」が生まれた。~
これらにより、従来の艦は対空ミサイルを同時に1〜2発しか誘導できなかったのに対し、16目標対応能力と、高度な艦隊指揮能力を手に入れた。~
イージス艦1番艦はCG47[[タイコンデロガ]]で1983年1月22日に就役した。~
主な任務はその迎撃能力をもって[[攻撃機]]や[[対艦ミサイル]]の脅威から[[航空母艦]]を護衛する事である。~
加えて[[艦艇]]や[[潜水艦]]を探知する能力にも優れ、地上からの砲撃に対して[[巡航ミサイル]]で迎撃を行えるよう設計されるものもある。~
また、[[核戦争]]に備えて[[弾道弾迎撃ミサイル>RIM-161]]による[[ミサイル防衛]]を任務に含める場合もある。~
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最大の特徴である[[フェイズドアレイレーダー]]を搭載したイージスシステムは、飛来する数百の目標を数百kmの遠方より探知し、そのうち十数個の目標に対して同時に迎撃することが可能と云われており、[[航空母艦]]だけでなく行動を共にする艦隊全体の防空に絶大な効力を発揮する。~
その他、イージス艦は対艦、対潜作戦にも同時期の新鋭戦闘艦と同等の能力を持ち、中には(艦対地)[[巡航ミサイル]]の発射能力を持つものもある。~
イージス艦は非常に高価な上、これ程の能力を必要としている国も少ないため、2003年現在、[[タイコンデロガ]]級、[[アーレイ・バーク]]級(アメリカ)、[[こんごう]]型(日本)、[[アルバロ・デ・バサン]]級(スペイン)が配備されているのみであり、また、[[韓国軍]]が[[KDX-III]]を配備する予定である。~
[[冷戦]]終結後の現在では艦隊防空だけではなく、[[SM-3>RIM-161]]を持ち、[[ミサイル防衛]]にも活用されることが期待されている。~
また、それに関係して米海軍タイコンデロガ級巡洋艦の初期型、ベースライン0及び1と呼ばれるグループの5艦は、装備するミサイルランチャーがベースライン2以降の艦が装備する垂直発射式と比べ、発射数や使用可能なミサイルの面に於いて旧式化。~
四番艦バレーフォージは2004年8月30日、一番艦[[タイコンデロガ]]は同年9月30日、二番艦ヨークタウンは同年12月3日既に退役、残り2艦も2005、06年にそれぞれ退役予定である。 ~
高度な造艦技術と高額な建造費を必要としており、イージス艦を運用できる[[海軍]]は多くない。~
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なおイージスシステムの名称は、ギリシャ神話の最高神ゼウスが娘アテナに与えた、あらゆる邪悪を払う防具(盾、あるいは胸当てと言われる)の名前  &ruby(アイギス){Aegis}; に由来する。~
関連:[[対潜魚雷]] [[CIWS]] [[艦載砲]] [[垂直発射システム]] [[艦対空ミサイル]]

**イージスシステム概略 [#j070e63c]
イージスシステムは、概略すれば、[[艦艇]]全体を統合的にコンピュータ制御する[[C4I]]システムである。~
その効能は、大雑把に言えば、危機に対する対応・反応を高速化し、迅速な対処を可能にする点にある。~
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関連:[[対潜魚雷]] [[CIWS]] [[艦載砲]] [[垂直発射システム]]
例えば、[[フェイズドアレイレーダー]]と[[射撃指揮装置>火器管制装置]]の即時連携を可能とする。~
これにより、数百個の航空脅威を数百km先から探知・識別し、十数個を同時に迎撃する事が可能となる。~
元々、現代の[[レーダー]]と[[ミサイル]]は、[[カタログスペック]]上ではそれを可能とするだけの潜在能力を有する。~
しかし、それらの機械的性能を最大限に発揮するには人間の操作では遅すぎるため、高度な電子制御が必要不可欠である。~
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電子設備の差は[[艦艇]]の危機対処能力に決定的な差異をもたらすものである。~
また、他の[[艦艇]]や[[航空機]]との[[データリンク]]を構築する事で、この探知・迎撃能力はさらに増強される。~
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とはいえ、個々のハードウェア、特に艦そのものについては通常の[[艦艇]]とそれほどの差異はない。~
迎撃能力の限界を超えた[[飽和攻撃]]に対しては単なる[[駆逐艦]]・[[巡洋艦]]に過ぎず、[[戦艦]]ほどの生存性は有し得ない。

**略史 [#ye18fe7f]
イージス艦の着想は[[冷戦]]時代の軍事技術競争に端を発する。~
当時、[[ソ連軍]]はアメリカの[[空母打撃群>機動部隊]]への対策として、[[航空機]]・[[対艦ミサイル]]の増強を計っていた。~
この事から、有事においてソ連は[[ミサイル]]の大量投入による[[飽和攻撃]]に出るものと推定されていた。~
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これに対処するため、[[アメリカ海軍]]は多数の航空脅威を同時に迎撃する手段の研究開発に着手。~
この要求に対して1964年「ASMS(Advanced Surface Missile System:先進水上ミサイル・システム)」計画がスタート。~
1969年に「Aegis」計画と改名された。~
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開発は紆余曲折を経るも、1983年、[[タイコンデロガ>タイコンデロガ(巡洋艦)]]級[[ミサイル巡洋艦>巡洋艦]]として結実。~
その後、[[海上自衛隊]]・[[スペイン海軍>無敵艦隊]]などがその流れに乗ってイージス艦の導入に成功し、以降徐々に需要を増して現代に至っている。

**主なイージス艦 [#fb7f452b]
-アメリカ
--CGN-42([[バージニア級>ヴァージニア]]原子力ミサイル巡洋艦の発展型、建造中止)
--[[タイコンデロガ級>タイコンデロガ(巡洋艦)]]ミサイル巡洋艦
--[[アーレイ・バーク級>アーレイ・バーク(駆逐艦)]]ミサイル駆逐艦
--[[コンステレーション級>コンステレーション(FFG-62)]][[ミサイル]][[フリゲート]]~
上記の他、[[沿海域戦闘艦]](LCS)にSPY-1[[レーダー]]を搭載する構想もある。~
-日本([[海上自衛隊]])
--[[こんごう型>こんごう]][[護衛艦]](艦籍記号は「[[ミサイル]][[駆逐艦]]」である「DDG」((なお、国際戦略研究所の年報『ミリタリー・バランス』では「[[ミサイル]][[巡洋艦]]」とされている。)))
--[[あたご型>あたご(自衛艦)]][[護衛艦]](同上)
--[[まや型>まや(自衛艦)]][[護衛艦]](同上)
-スペイン
--[[アルバロ・デ・バサン級>アルバロ・デ・バサン]][[フリゲート]]
--ボニファス級(F110型)フリゲート(計画中)
-ノルウェー
--[[フリチョフ・ナンセン級>フリチョフ・ナンセン]]フリゲート
-韓国
--[[世宗大王級>世宗大王]][[駆逐艦]]~
-オーストラリア
--ホバート級駆逐艦
--ハンター級フリゲート~

この他、台湾が計画中である。~


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