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*&ruby(ゆうじほうせい){【有事法制】}; [#h5417695]

ある国と他国との[[紛争]]が武力衝突に発展し、相手国の[[軍隊]]が自国領内へ侵攻する((内乱・暴動や大規模な[[テロ活動>テロリズム]]、大規模な自然災害、疫病の大流行なども含まれることがある。))ような事態に陥った際、自国軍隊(日本では[[自衛隊]])のとるべき行動を規定する法制度。~
国家・国民にとって急迫不正の侵害があり、通常の憲法秩序では安全を保てない非常事態に際し、憲法の全部または一部の効力を一時的に停止して最終的には国家・国民の安全、憲法秩序の回復を図る「国家緊急権」という思想から生まれた非常事態立法のひとつである。~
日本国内における「[[戒厳令>戒厳]]」の同義語。~
法的秩序によって国家・国民を保護する事が不可能と目される非常事態のための特別な法体系。~
以下の法令を根拠とする。~

:''武力攻撃事態法(2003年施行)''|正式名称、「武力攻撃事態等における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律」
:''国民保護法(2006年施行)''|正式名称、「武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律」~

関連:[[全国瞬時警報システム]] [[戒厳]]

**日本国憲法との兼ね合い [#pc905341]
日本国憲法が『平和主義』を定めている関係上、[[戒厳]]の実行は日本国憲法に抵触する。~
また、国民の基本的人権に対する意識が希薄であるため((一部の市民団体などが「人権」の概念が異常に神聖化・過大解釈する一方、一般国民は憲法の運用実態に対してほとんど正しい知識を持たない。&br;  この実態を「人権に対する意識が薄い」と表現するのは決して悲観論ではなかろう。))、狂信的反戦主義者に反論する理論武装も十分でなかった。~

結果、革新系の市民団体・労働組合・知識人・政党などによる反対意見が根強く、[[戒厳令>戒厳]]は整備されてこなかった。~

>侵略に備えての法整備は「日本国が自ら侵略するための備えであり、憲法違反である」と主張する向きが多い。~
これに対する推進派の反論は「法整備がなければ[[自衛隊]]が有事に『超法規的』な行動を始める」というものである。~
「平和主義は机上の空論であるから憲法を改正すべきだ」という意見も古くから根強いが、これは概ね黙殺されている。~

**運用体制の現状 [#w1929e6a]
20世紀末期、米ソ[[冷戦]]の終結によって日本周辺の政治・軍事情勢は大きく流動化した。~
これに伴い、北朝鮮の策動、中国や韓国との外交摩擦、[[9.11事件]]に始まる国際[[テロ>テロリズム]]などの問題が表面化した。~
日本国政府にあってもこの案件はさすがに無視できないもので、戦後50年を経てようやく有事法制が整備され始めた。~
~
日本においては「武力攻撃事態等における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律(武力攻撃事態法)」(2003年施行)、「武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律(国民保護法)」(2006年施行)を中核とし、これに付帯関連する諸法令をあわせてこう呼ぶ。~
しかし、未だ運用実態は十分とは言えない。~
~
このような法制度は、外国ではそれぞれの国情に合わせて整備されていることが多いが、日本では~
「『平和主義』を定めた憲法との矛盾」~
「国民の基本的人権が(一時的とはいえ)強制力をもって停止される」~
などの理由から(革新政党やその影響下にある市民団体・労働組合・一部の知識人・文化人などによる)「法整備」そのものへの反対意見が根強く、また、政府・与党もこれらの意向を無視できなかったこともあって、長らく整備されてこなかった。~
>上記のように、有事法制は国民の権利を強制力をもって停止させる法律であることから、かつての満州事変〜日中事変〜[[大東亜戦争]]への流れと同一視して~
「侵略戦争への備えであり、憲法違反である」~
という主張が大きかったが、その一方で、有事法制が整備されてないことで~
「これでは有事の際に自衛隊が『超法規的』に行動せざるを得なくなる」~
という指摘もあった。
自衛隊の交戦規則の問題や[[弾道ミサイル]]攻撃への対処((日本本土へ向けて弾道ミサイルが発射された場合、7〜10分程度で本土へ着弾するといわれており、実際に防御するには発射と同時に探知・撃墜しなければならない。))など、いまだ整備途上の問題も残されているのが実情である。~
日本への直接攻撃のみならず、朝鮮半島などで想定される有事への対処にも疑問の余地は多い((そういう事例になった場合、現地に取り残された邦人の救出はアメリカ[[海兵隊]]に委託される事になるという…。))。~

しかし、20世紀末期からの米ソ[[冷戦]]終結とそれによって起きた日本周辺での政治・軍事情勢の流動化(北朝鮮による[[テポドン事件]]や日本人拉致の発覚、不審船問題など)に加え、[[9.11事件]]によって世界的に顕在化した[[テロリズム]]の脅威などもあって、ようやく整備が始まったが、実際に日本本土へ武力侵攻が行われた際における自衛隊の交戦規則の問題や[[弾道ミサイル]]攻撃への対処((日本本土へ向けて弾道ミサイルが発射された場合、7〜10分程度で本土へ着弾するといわれており、実際に防御するには発射と同時に探知・撃墜しなければならない。))など、いまだ整備途上の問題も残されているのが実情である((日本への直接攻撃のみならず、近い将来起こるであろう朝鮮半島有事などの際の対処法も満足とは言えず、そうした事態に陥った場合の邦人の救出方法も未だ未確定である。&br;  一応、アメリカ[[海兵隊]]が救出をすることになってはいるが…。))。~
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関連:[[全国瞬時警報システム]] [[戒厳]]


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