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*&ruby(ほうかんがいこう){【砲艦外交】}; [#j5a253cb] ある国が、他国との外交交渉にあたって交渉を自国有利に進めるため、(自国の[[軍事]]力を恃んで)「回答次第では軍事的手段に訴える準備がある」と予め伝えてから交渉の場に臨むこと。~ gunboat diplomacy~ 「回答次第では[[軍事]]的手段に訴える準備がある」と予め知らしめた上で外交交渉を行う事。~ 転じて、そうした手段に訴えることが多い国家の外交方針全体を俯瞰してこう呼ぶこともある。~ なお、「砲艦(gunboat)」という語は[[戦闘艦艇>艦艇]]の総称であって、現代で言う[[ガンシップ]]とは異なる。~ ~ [[艦載砲]]を搭載した[[戦闘艦艇>艦艇]]([[戦列艦]]や[[戦艦]]・[[巡洋艦]]など、外洋航行能力と一定以上の砲撃力を兼ね備えた艦が使われることが多かった)を相手国の[[領海]]ギリギリに接近させ、「いつでも攻撃できる」態勢を取るさまをわざと目撃させるパターンが最も有名なため、こう呼ばれる。~ とはいえ、本当に戦闘態勢を整えた上で交渉が開始される事はまずない。~ ほとんどの国家体制では、外交交渉が決着する前の段階では交戦許可が降りないからだ。~ 最初から[[宣戦布告]]の用意をして臨むのは、そもそも外交を行う意志がない場合のみに限られる。 >例外的に、最初に国交を樹立するための交渉において事前に交戦許可が下りた事もある。~ というのも、外交使節を問答無用で殺害するような国家も存在しないとは言い切れないからだ。 歴史的に、そうした外交的意図による示威行為はもっぱら[[海軍]]により、遠国に対して行われる事が多かった。~ 陸続きの隣国は互いにとって[[仮想敵国]]であるので、その軍事的権勢はほぼいつでも十分に認知される。~ また当然、相手国に対抗できるだけの[[軍事]]的用意がある((ないのであれば、そのような国家に対しては外交交渉も武力による恫喝も必要ない。実際に攻め滅ぼして[[領土]]を併合すれば良いのだ。))ので、暴力的恫喝が功を奏する望みは薄い。~ ~ 普通は、軍事的に優勢な側が交渉を成立させるための手段として用いる場合に使われる言葉であり、それがもとで実際の戦争にまで発展した場合や、仕掛けた側の方が軍事的に明らかに劣勢である場合は使われない。 必然的に、外交交渉のためにあえて誇示される武力は[[戦列艦]]などの[[艦艇]]であり、[[艦載砲]]による[[礼砲]]であるのが常だった。~