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*&ruby(ひみつけいさつ){【秘密警察】}; [#gc8142b0]
国家における反体制分子や外国の[[スパイ]]の摘発を専門とする警察組織のこと。~
活動内容はおろか組織の存在すら機密にされている組織もある。~
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一般の[[司法警察]]や行政警察とは異なり、市民にまぎれて私服で不満分子を監視するのも重要な任務の一つなので、一般市民との見分けがつかない。~
また独裁政権下では秘密警察の治安維持が重要視され、強大な権力を持つ。~
取調べの際の拷問による自白や市民の盗聴や密告を奨励するなど人権上問題となる行為が伝わっており、暴力による[[政権転覆行為>クーデター]]及びその準備による摘発のほか、容疑者の知人もしくは友人との会話における反体制的な発言も捜査対象とされる。~
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主な組織としてソ連の[[ゲーペーウー]]と[[内務人民委員部]]、[[KGB]]、アメリカの[[CIA]]、ドイツ(ナチ政権時代)の[[ゲシュタポ]]、[[SS]]、イスラエルの[[モサド]]、日本の[[特別高等警察]]や[[公安警察]]、北朝鮮の[[国家安全保衛部]]、そして韓国の[[韓国中央情報部]](KCIA)が挙げられる。
[[テロリスト]]・[[スパイ]]に対する捜査活動を前提とする警察組織。~

高度に訓練された犯罪集団を相手取る性質上、捜査手法や捜査員の身元などは秘密とされる。~
極端な事例では組織の存在そのものが秘密になっている場合もある。~
これは捜査員を保護するため、また捜査を確実に行うための配慮である。~
しかし同時に、非人権的で非合法で残虐な"効率的手法"を用いる可能性を示唆するものでもある。~

また、原則として通常の司法・行政からの[[管制]]を受けず、[[文民統制]]を半ば無視する。~
多くの組織では自国の[[軍隊]]・[[司法警察]]・政治家を最有力容疑者として想定するからだ。~
準戦時体制では[[憲兵]]の延長線上に置き、[[略式の処刑]]を執り行う権限を持つ場合もある。~
権限がなくても[[暗殺]]を行っている可能性は否定できない。

[[平和主義]]に基づく素朴な偏見をもって見れば、秘密警察は明らかに邪悪である。~
また実際、人権蹂躙に傾く性向を全く備えていない秘密警察は古今に例がない。~
にもかかわらず国家がこれを設置するなら、それは秘密警察を上回る害悪が実在するからである。

秘密警察は公共の利益を保護するために存在し、そのために活動を行っている。~
そしてその活動の途上で、法秩序に服さない人間を放置した時に何が起きるかを理解している。~
現実問題として、公平な法秩序は、[[兵器]]の在庫を抱えた職業犯罪者から人命を守る機能を持たない。~
[[テロリスト]]から無辜の市民を守護する義務を、"無辜でない市民"から人権を剥奪せずに果たす事は不可能である。~

もちろん、現実に存在する秘密警察が、そうした理想の体現者であるなどとは到底期待できない。~
他人の名誉を貶めるのも、不当に拘束するのも、死体袋に詰めて搬出するのも、現実的には市民の安全のためではない。~
真実そうする必要があったのだとしても、そうと証明される事はない。秘密なのだから。~

だが少なくとも、秘密警察に"処理"された危険人物が、他の人々に危害を加えることは、二度とない。


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