• 追加された行はこの色です。
  • 削除された行はこの色です。
*&ruby(たいおうぼうぎょ){【対応防御】}; [#ga2f25e5]
自らが搭載・保持する兵装による攻撃を受けても貫通しない[[装甲]]を保持する事。~
[[艦艇]]、[[戦車]]、[[歩兵]]用ボディアーマーなどの設計思想の一つ。~
時代を経るに従って兵装の[[破壊力>デストラクションパワー]]は増していくので、必然的に性能要求も厳しくなっていく。~
~
基本的には全周を十分な装甲で覆う事が最善とされる。~
それが不可能な場合は司令区画・エンジン・砲塔・弾薬庫などの重要区画(バイタルパート)に[[装甲]]を集中させる集中防御方式などを用いる。~
それが不可能な場合は司令区画・エンジン・砲塔・弾薬庫などの[[バイタルパート]]に[[装甲]]を集中させる集中防御方式などを用いる。~
集中防御すら困難な場合は[[機動力]]と[[アウトレンジ]]、[[ステルス]]技術などによって被弾率自体を下げる[[機動]]防御が設計の主流となる。

> 例:旧日本帝国海軍の戦艦[[大和]]は、自らの搭載する46cm砲弾を所定砲戦距離(20,000〜30,000m)から受けても貫通しない装甲をバイタルパートに施していた。
> 例:旧日本帝国海軍の戦艦[[大和]]は、自らの搭載する46cm砲弾を所定砲戦距離(20,000〜30,000m)から受けても貫通しない装甲を[[バイタルパート]]に施していた。

**歩兵の対応防御 [#pfc7a324]
対応防御はそもそも中世までの鎧の設計思想であり、初期には投石や投げ槍を無視して[[白兵戦]]に専念できる装甲が一つの目標であった。~
長弓・機械弓などの新兵器が登場する度に、それに対応して鎧も硬く重く進化していった。~
>中世ヨーロッパでは、この思想が極限まで進み、ついには騎手のみならず馬の全身すらも鎧で覆った[[重騎兵>騎兵]]が登場するに至った。

しかし中世後期には生物の筋力と製造コストが限界に達したため、まず[[騎兵]]が、次いで[[歩兵]]も、胴体や頭など生物の急所を重点的に守る集中防御方式に移行した。((日本の「胴丸」と呼ばれる鎧、西洋の「胸甲騎兵」など。))~
近代の[[ライフリング]]された銃に対しては集中防御も不可能になったため、[[狙撃]]されたら必ず死ぬという前提での[[機動]]防御に移行するようになった(([[散兵戦]]、[[塹壕戦]]、[[CQB]]など。これらは全て、敵に視認される前に機先を制して撃つ事だけが[[歩兵]]の生還を可能にする、という思想で構築されている。))。~
近代以降でも[[歩兵]]は集中防御方式の装甲(ヘルメット・ボディアーマー・[[防弾チョッキ]]など)を着用しているが、これは[[間接砲撃]]の破片・[[拳銃弾]]・[[暴発>誤射]]事故などの偶発的な危険を想定したものであり、古代の戦争のような[[正面突撃>強襲]]に耐えられるものではない。

**艦艇の対応防御 [#f347386f]
人間の鎧とは逆に、[[艦艇]]は[[火器>ガン]]が発達するまでほとんど装甲化されていなかった。~
巨大な鋼鉄の塊を船として用いるのはいくつかの理由から実用的ではなく、船の発明から数千年に渡ってどの文化圏でも木造船が主流だった。
-漕ぎ手、帆、生身の船員などのバイタルパートがどうしても剥き出しになってしまう。
-漕ぎ手、帆、生身の船員などの[[バイタルパート]]がどうしても剥き出しになってしまう。
-どれほど頑丈でも[[拿捕]]に対しては無意味である。
-帆船や人力船を装甲化すると重量増加によって速度が落ち、食料備蓄((かつては港から数日離れるだけで船内の食糧が腐り始める時代だった。))などの問題から航海に支障が出る。
-港のない場所で補修する必要に迫られた場合、木材は容易に入手できるが金属材は入手できない。

[[艦載砲]]が発達して[[拿捕]]の機会が激減し、[[航法]]の発達によって遭難の危険を避けられるようになり、高出力の[[蒸気機関]]による動力船が発達する事によって初めて[[艦艇]]の装甲化が実現した。~
その後は[[艦隊決戦]]思想から装甲と[[艦載砲]]の技術競争に終始していたが、徐々に[[戦艦]]の主砲を想定した集中防御方式が主流になっていた。~
その後、[[第二次世界大戦]]などの[[戦訓>バトルプルーフ]]から[[魚雷]]・[[水雷]]・[[対艦ミサイル]]への対応防御が不可能と目されたため、[[空母]][[艦載機]]による先制攻撃と[[イージス艦]]による迎撃を主とする機動防御方式へと移行していった。


トップ 新規 一覧 単語検索 最終更新ヘルプ   最終更新のRSS