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*&ruby(ごうせいかいこうれーだー){【合成開口レーダー】}; [#ub40f5f5]
Synthetic Aperture Radar(SAR).~
[[電磁波]](マイクロ波)を利用し、高解像度の地形イメージを作り出す[[レーダー]]。~
可視光や赤外線画像に比べ、天候に左右されない利点を持つ。~
~
一般にレーダーの解像度に大きく影響する「指向性(ビーム幅)」は、「λ/D(λ:波長 D:アンテナ直径)」で表される。~
アンテナが大きければ大きいほど、波長が短ければ短い([[周波数]]高)ほど、高解像度が得られることになる。~
すなわち同じアンテナ径であれば、超高周波数の光(≒0.5μm)に比べてミリ波(≒8.5mm)は解像度が低く、[[レーダー]]に用いられるマイクロ波(≒10cm以上)はさらに低いことになる。~
動物の眼という小型の受信機でも、大型レーダーを越える解像度が得られるのはこのためである。~
~
マイクロ波で可視光と同等の解像度を得るためには、理論上はアンテナ径を10万倍以上にしなければならないが、これはもちろん不可能である。~
しかし、可視光カメラを用いると、今度は高周波数なために大気中では減衰が大きく、探知距離が落ちてしまう問題がある。~
そこで、マイクロ波を用いて、複数のアンテナないしは自機の移動を使って見かけ上のアンテナ径を上げる技術が合成開口レーダーである。~
Synthetic Aperture Radar(SAR). / Interferometric Synthetic Aperture Radar(InSAR、干渉合成開口レーダー)

**原理 [#de9d585f]
自機の移動を利用する、合成開口レーダーの原理について説明する。~
~
原理は、[[フェイズドアレイレーダー]]によく似ている。~
[[フェイズドアレイレーダー]]における各素子の代わりに、自機が移動してポイント(最低でも"波長/2=標本化定理")ごとに[[レーダー]]波を送受信、その結果を記録する。~
[[フェイズドアレイレーダー]]における「アンテナ径」は、端から端までの素子の距離であったので、理論上は自機が移動する限り、見かけ上とてつもなく巨大なアンテナを作ることが出来るのである。~
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しかし、実際には[[フェイズドアレイレーダー]]に比べて難しい技術である。~
フェイズドアレイレーダーでは各素子の受信は同時になり、位相変換素子を用いて簡単に位相の重ねあわせを行うことが出来る。~
しかしながら合成開口レーダーでは、受信に時間的なズレがあるため、コンピュータによる処理を行わなければならない。~
コンピュータ上で高周波数のマイクロ波の受信結果を正確に記録し、位相の重ねあわせを行うには非常に多くの処理量(膨大な数のフーリエ変換等)を要する。~
そのため、十分な性能を持つコンピュータが登場するまで実現不可能な技術であったし、現在でも高性能なコンピュータを必要となる(場合によっては多少解像度を落としてでも処理量を減らすことがある)。~
~
欠点としては、広範囲にレーダー波を照射して必要なデータのみを浮かび上がらせる方法であるため、一点に集中するより雑音を拾いやすいこと、予め地上高度データが必要になること、自機に精度の良い[[航法]]装置を必要とすること、真下は死角となることなどがある。~
電波の干渉を用いるため"Interferometric Synthetic Aperture Radar:干渉合成開口レーダ(InSAR)"とも呼ばれる。~
[[電磁波]](マイクロ波)による走査によって地形情報を解析する[[レーダー]]。~
複数基のアンテナを連携させたり自機を移動させる事により、擬似的に巨大なアンテナを形成するのが特徴。

**実用例 [#rd72117d]
移動する物体に搭載される例としては、[[観測機]]や[[人工衛星]]、[[攻撃機]]、[[偵察機]]がある。~
主に[[観測機]]や[[人工衛星]]・[[攻撃機]]・[[偵察機]]に搭載される。~
測量や観測、[[偵察]]や[[攻撃機]]のターゲティングに用いられ、地表の状態を数十cm〜数m単位で知ることが出来る。~
また、地上にある巨大な電波望遠鏡を複数組み合わせて(フェイズドアレイの素子に対応)、見かけ上更に巨大な電波望遠鏡を作り出し、深宇宙を探る用途にも用いられる。~
国立天文台・野辺山宇宙電波観測所では、直径45メートルの高精度電波望遠鏡と、直径10メートルのパラボラアンテナ5基を最長600m程度の範囲に配置し、信号を開口合成して直径600m相当の解像度を達成している。~
~
参考リンク:http://homepage3.nifty.com/murasakigawa/tech/sar/ (合成開口レーダー)
また、天文学でも深宇宙探査のために巨大な電波望遠鏡を複数組み合わせて合成開口レーダーとして用いる事がある。

**原理 [#de9d585f]
マイクロ波は可視光や赤外線画像に比べて水などに吸収されにくいため、天候に左右されない運用が可能。~
一方、マイクロ波は波長が長いため解像度が非常に低く、本来は精密な映像を取得する用途に向かない。~
10cm波長のマイクロ波で可視光(約0.5μm波長)と同等の解像度を得ようとすると、アンテナの直径を10万倍以上にしなければならない。~

正攻法でこれを実現するのは不可能であるため、合成開口レーダーは複数回のレーダー走査情報を合成する事によって解像度を高めている。~
レーダー自体が移動しながら複数回の走査を繰り返し、その情報をコンピュータで検証・合成する事によって解像度を高めている。

>この手法は走査完了までに必要な時間が非常に長いため、移動する物体を追う用途には著しく不適格。

似たような原理の[[フェイズドアレイレーダー]]では、全ての素子がほぼ同時に受信するため、位相の重ね合わせを比較的簡単に行える。~
一方、合成開口レーダーは情報に多大な時間差が生じるため、フーリエ変換等の複雑な演算処理を膨大な回数繰り返す必要が生じる。~
このためコンピュータの性能が要求され、現代型コンピュータにとってさえ軽視できない規模の計算資源を要する。~
また、広範囲にレーダー走査を行ってから不要な情報を切り捨てるという処理を経る性質上、走査中に生じたノイズの影響が非常に大きい。~

加えて、自機の[[高度]]・緯度・軽度を正確に測定できる高精度の[[航法]]装置を必須とする。~


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