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*&ruby(こうしゃほう){【高射砲】}; [#v2fac43a]
[[航空機]]などの飛翔体を[[撃墜]]するための[[火砲>ガン]]。「高角砲」とも。~
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高速の[[航空機]]に砲弾を直撃させるのは難しいため、敵機の近くで砲弾を爆発させ、その破片でダメージを与える。~
[[狙撃]]して一発で仕留めるのも不可能に近いため、[[ガトリングガン]]など速射性に優れた[[機関砲]]が用いられることが多い。~
高速の[[航空機]]に砲弾を直撃させるのは難しいため、敵機の近くで砲弾([[時限信管]]・[[近接信管]]を備えた[[榴弾]])を爆発させ、その破片で機体を損傷させ、墜落へ導く((翼やエンジン、[[コックピット]]や[[フライトデッキ]](またはその中にいる[[操縦士>パイロット]])に破片が命中すれば飛行の継続が難しくなる。))。~
[[狙撃]]して一発で仕留めるのも不可能に近いため、[[ガトリングガン]]など速射性に優れた[[機関砲]]を用い、小型の[[徹甲弾]]を大量にばら撒いてダメージを与えようとするものもある。~
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初期の高射砲弾は、起爆装置に[[時限信管]]を採用していた。~
これは敵機の針路・[[高度]]・[[速度]]などを事前に予測計算し、タイミングを合わせて爆発させようというものであったが、実戦では命中精度がすさまじく低く、これで航空機を撃破するのは事実上無理難題であった。~
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後年、[[近接信管]]の登場によって命中精度は格段に向上したが、その頃にはすでに[[迎撃戦闘機]]が活躍する時代となり、[[撃墜]]戦果の主体にはならなかった。~
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近年では、[[爆薬]]に頼らず[[徹甲弾]]を直撃させるほど優れた[[火器管制装置]]を備えるものも出現した。~
しかし、[[戦闘機]]と[[地対空ミサイル]]も同じように発達し、重要度は向上していない。~
現代の高射砲は、ミサイルや戦闘機による迎撃が失敗した際に備えて拠点から迎撃する[[CIWS]]として運用されることが普通である。~
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関連:[[機関砲]] [[速射砲]] [[FLAK]] [[AAA]] [[MIRACL]]

**対地・対水上火器としての活路 [#c9f48196]
前述のように、高射砲は本来の目標となる[[航空機]]の急速な発達に対応しきれず、[[防空戦>防勢対航空作戦]]の主力兵器になりえていないのが実情である。~
しかしながら、本質的には[[機関砲]]・[[速射砲]]の一種であり、独自の構造はそれほど要求されないことから、地上(もしくは水上)の標的に向けて砲撃を加えることも十分可能である。~
そして、そうした用法が極めて有効であることが実戦で証明され、皮肉なことに、本来の任務である航空目標よりも多くの成果を挙げることになった。~

***野砲の代用として [#gc7e533d]
[[第二次世界大戦]]から[[朝鮮戦争]]にかけて、高射砲は各国軍で[[野砲]]([[歩兵砲]]や[[対戦車砲]])の代用として広く用いられ、兵士からは「挽肉製造器」とも呼ばれた。~
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[[航空機]]の破壊を想定した高射砲弾は、当時の旧式[[戦車]]などに対しても一定の有効性を示した。~
いわんや生身の兵士に向けて撃とうものなら、「挽肉」と呼ぶに相応しい酸鼻な光景が待っていた((なお、高射砲は[[ハーグ陸戦条約]]に定められた「過度の傷害・無用な苦痛を与える兵器」に該当するものとみられ、「他に攻撃手段を持っている場合は、直接人間に照準・発砲してはならない」ことにはなっていたが。))。~
高速で飛翔する[[航空機]]には対応できなかった命中精度も、[[航空機]]の10分の1以下の速度で地上を這う標的を撃つには十分なものだった。~
また、高射砲は[[自走砲]]の形態をとるものが多く、[[歩兵]]による撃退は極めて困難であった。~

***艦載兵器として [#b201e24d]
高射砲が陸戦兵器として用いられだしたのと同じ頃、[[海軍]]では[[駆逐艦]]・[[フリゲート]]・[[河用砲艦>砲艦]]などといった小型戦闘艦艇の[[艦載砲]]、あるいは水上艦艇との積極的な交戦を想定しない[[航空母艦]]や各種支援艦艇、徴用された商船の自衛用火器として高射砲を採用することが多くなり、[[艦艇]]に対して高射砲で応戦する場合もあった(([[駆逐艦]]や[[フリゲート]]程度の薄い[[装甲]]の艦であれば、高射砲弾でも致命傷を与えうるし、浮上中の[[潜水艦]]に当てれば、潜水後の再浮上が不可能になる程度の打撃を与えうることができた。))。~
これは後に[[速射砲]](両用砲)へと発展的解消を遂げ、現代では(大口径の[[艦載砲]]を積む[[戦艦]]が廃れたこともあって)水上戦闘艦艇の標準的な[[備砲>艦載砲]]になっている。~
高射砲が陸戦兵器として用いられだしたのと同じ頃、[[海軍]]では[[駆逐艦]]・[[フリゲート]]・[[河用砲艦>砲艦]]などといった小型戦闘艦艇の[[艦載砲]]((船体の収容スペースの関係上、水上艦用の艦載砲と高射砲を混載することが難しいことが多い。))、あるいは任務上、水上艦艇との積極的な交戦を想定しない艦船(([[航空母艦]]、[[輸送艦]]・測量艦などの各種支援艦艇、または商船や漁船から転用された哨戒・[[通商破壊戦]]用の艦艇。))や徴用商船の自衛用火器として高射砲を採用し、[[艦艇]]に対して高射砲で応戦する場合もあった(([[駆逐艦]]や[[フリゲート]]程度の薄い[[装甲]]の艦であれば、高射砲弾でも致命傷を与えうるし、浮上中の[[潜水艦]]に当てれば、潜水後の再浮上が不可能になる程度の打撃を与えうることができた。))。~
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後に、これは[[速射砲]](両用砲)へと発展的解消を遂げ、現代では水上戦闘艦艇の標準的な[[備砲>艦載砲]]になっている(([[レーダー]]・[[艦載機]]・[[対艦ミサイル]]の発達により、大口径の艦載砲が不要になったためでもある。&br;  そのため、大口径艦載砲を多数積む[[戦艦]]は廃れてしまったのである。))。~

**主な高射砲の一覧 [#e8efb2a2]
-アメリカ
--M3 3インチ高射砲~
--M1 90mm高射砲~
--M51 75mm高射砲~
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-ロシア
--M1931 76.2mm高射砲~
--M1938 76.2mm高射砲~
--M1939(52-K)85mm高射砲~
--M1944 85mm高射砲~
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-フランス
--M1922〜1944・1927 75mm高角砲~
--M1926 90mm高角砲~
--M1930 100mm高角砲~
--M1945 100mm高角砲~
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-イタリア
--M1934 75mm高射砲~
--M1935 75mm高射砲~
--M39/41 90mm高射砲~
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-ドイツ
--7.5cm FlaK~
--8.8cm FlaK18/36/37~
--8.8cm FlaK41~
--10.5cm FlaK38/39~
--12.8cm FlaK40~
--12.8cm FlaK40 Zwilling~
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-日本
--帝国陸軍(高射砲)~
---[[五式15cm高射砲]]~
---四式7.5cm高射砲~
---三式12cm高射砲~
---九九式8cm高射砲~
---八八式7.5cm野戦高射砲~
---十四年式10cm高射砲~
---十一年式7.5cm野戦高射砲~
~
--帝国海軍(高角砲)~
---40口径三年式8cm単装高角砲~
---五年式短8cm砲~
---40口径十一年式8cm単装高角砲~
---60口径九八式8cm高角砲(長8サンチ高角砲)~
---50口径八八式10cm高角砲~
---65口径九八式10cm高角砲(長10サンチ高角砲)~
---45口径十年式12cm高角砲~
---40口径八九式12.7cm高角砲(12.7サンチ高角砲)~
---短十二糎(12cm)砲~
---短二十糎(20cm)砲~
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