【NBC偵察車】(えぬびーしーていさつしゃ)

2010年に陸上自衛隊へ採用*1された、国産の大型装輪装甲偵察車。
従来の化学防護車生物偵察車を統合し、NBC兵器に汚染された状況下での偵察を一元的に行う目的で開発された。

主な任務は、NBC兵器の使用やバイオハザードが疑われる状況下での環境情報の収集・解析。
収集した情報はデータリンクを介して友軍に伝達され、作戦行動に反映される。

車体は解析機器を収容するために特に大きく作られている*2
車体前部に大型窓を持つキャビン、中央部に機関室、左側に通路、後部にNBC観測室を持つ構造。
駆動系は4軸8輪の装輪式で、そのうち前2軸の4輪で操舵する。

装甲防護面では、通常の銃砲弾や爆弾への対処に加えて気密処理・放射線遮蔽処理も施されている。
遮蔽困難な中性子線への被曝が想定される場合、車体前部に追加の遮蔽板が取り付けられる。
また、一応は自衛戦闘も想定されており、リモコン操作式の銃架を車体中央上部左側に備えている。

車内には放射線測定器やガス検知器などが搭載される。
また、車体後部右側には車体後部にグローブボックスのような機能を持つモジュールが設置され、これを用いて車内から安全に検体等の採取を行える様になっている。
試料はゴム手袋を填めた乗員が手で回収する。

なお、コスト削減も兼ねて化学防護車に装備されていたマニピュレーターは装備が見送られている。

配備先

スペックデータ

乗員4名
全長8m
全高3.2m
全幅2.5m
戦闘重量約20t
エンジンカミンズVTA903 4サイクルV型8気筒液冷ターボチャージドディーゼル(出力500hp)
最大速度95km/h(路上)
兵装M2 12.7mm重機関銃×1挺
観測・検知測定機器一式(放射能測定装置、ガス検知器、大気安定度測定装置など)
製作小松製作所



*1 高機動車軽装甲機動車などと同様「制式」ではなく「部隊使用承認」という形で採用されているため、「○○式〜」という呼ばれ方はしていない。
*2 ただし、日本国の現行道路法令等との関連から、サイズは諸外国の装甲車と比べれば狭くなっている。

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