【M16】(えむいちろく)

  1. アメリカ軍の主力銃として装備されている突撃銃
    5.56mm弾を使用しており、現在主流の高速小口径弾使用の始祖である。

    軽量化が主眼であったため、プラスチック素材を多用したアーマライト?社のAR10を小型化し、AR15として開発された。
    これを陸軍で採用する際にM16の番号が与えられ、製造権はコルト?社に委譲された(現在はファブリック・ナショナル社が製造する)。
    ベトナム戦争に前後して制式採用された当初は不具合が多数報告された。これは陸軍と兵器局とのゴタゴタで装薬指定に問題があったこと、遊底?の汚れやすい直接ガス駆動方式であったにもかかわらず軍が兵に対して分解清掃を促さなかったこと、さらに湿度の高いベトナムでは金属部品の腐食が進みやすかったことなどによる。

    実は、一番最初にアメリカ軍でこの銃を採用をしたのは、意外にもアメリカ空軍であった。敵地墜落用の護身用として採用され、評判は上々だった。
    空軍で採用されはじめた頃、陸軍M14ライフルの使い勝手の悪さに頭を痛め、代わりを探していた時、偶然にも空軍で採用されていたM16に着目。その後、採用されることになる。
    しかし、元々護身用のため、何時間、何日間にも及ぶ長期の陸戦など殆ど考慮されていなかった。そのため剛性、耐久性など、従来の物とは比較にならないほど乏しかった。

    最も、これらの問題の殆どはM16A1での改良によりある程度改善され、現在では西側を代表する突撃銃となった。

    しかし、このようなを改造を繰り返すことになる同銃は、悲劇の始まりでもあった。
    ベトナム戦争以後、アメリカ軍全軍に配備が進み、採用され続けているM16だが、これが非常に問題となった。
    というのも、大々的に採用したおかげで全軍に配備され、次期主力小銃への移行が難しくなってしまったのだ。
    仮にM16に代わる新たな小銃を開発して配備すると、教官も含め、全兵士に新たな小銃の使用方法を1から教え、訓練を積みなおさせる必要が生じる。
    もっとも、このような問題は以前からたびたび各国の軍隊で発生していることではある。
    しかし、言うまでも無くあまりにも非経済的で、アメリカ軍は止む無くM16の改造、という形で、騙し騙し配備が続けられた、というのが真相である。
    そのため、致命的な弱点を抱えながら(詳しくは下記参照)「変えてたくても変えられない」という悪循環に陥ってしまった。
    ちなみに、現在開発されている次期小銃は基本操作がM16と変わらないながらも、能力は非常に高くなっているそうである(開発は何故かヘッケラー&コック?社)。

    M16には銃身の剛性に致命的とも言える欠点があり、軽く蹴った程度で簡単に首の部分が折れてしまう。この欠点は設計上の問題であり、M4A1などといった比較的最近のモデルも基本設計はM16を踏襲しているため、改善はされていない(構造的に不可能、という説もある)。
    このため兵に銃剣が支給されているにもかかわらず、それを使用しないことが推奨されるという奇妙な事態になっている。
    しかし追い討ちは続き、M16の剛性の無さは、更なる苦悩を生んだ。
    当時、同世代(もしくは後)の欧州の突撃銃は、狙撃スコープが標準搭載されている。
    これは狙撃スコープ?で狙う訓練を積むと、通常のアイアンサイト?でも、すぐに狙えるようになり、訓練時間の短縮に繋がるためである。
    しかし、M16にこれは真似できなかった。剛性が足りないのである。付けて付けられない事はないのだが、すぐに精度に狂いが生じてしまう。
    しかし、かと言って変える訳にもいかず(理由は上記参照)、関係者は更に頭を痛めることになる。

    それでも現在まで、M16→M16A1→M16A2、そして現在はM16A5と進化して長年にわたり使用されているが、このような悩みに対し、M16は未だに解決の糸口を見つけていない。
    ちなみに、初期型のM16はベトナム戦争当時、独特の発射音から「ロックンロール」の愛称で呼ばれた。
    また、先駆けてプラスチックを多用したので「玩具のようだ」とも言われた。

    バリエーションは数多あり、CAR15、M4、XM177等々、試作モデルも含めると100近くあり、全てを表記すると1冊の本ができてしまう、とも言われている。

    また、M16A1〜A5、M4にはオプションとして、M203という40mmグレネードランチャーを装着することができる。


    長期に渡り世界中で戦い続けたM16シリーズだが、イラク戦争?において兵士達から不満が噴出した。
    これにはまず、近年指摘されている5.56mm弾の威力・射程不足も挙げられる。
    さらに、イラク戦争?のために新規製造された個体の一部は、1カート撃つ前に故障するという、信じられないことまで起きている。
    これもあってか、一部の兵士は支給されたM16を使わずに、押収したAK47を使って作戦に就いたという情報もあり、限界に近づいていると言っても過言ではないだろう。

    これらの問題に触発されてなのかは定かではないが、長い間アメリカ軍を支えてきたM16は近々更新される運命にある。

    M16は時折、「使い物にならない」と言われることがあるが、それは運用に問題があるためで(そもそも、構造・能力的に突撃銃向きではない)、決してM16という銃そのものが悪いわけではない。
    元々ハードな陸戦の為に作られたのでは無いのだから、「使えない」というのはお門違いといえる。

    ライバルと言われるAK47とM16を比べると、総合的に見てAK47に軍配が上がるが、
    一方でオプションパーツなどの種類が非常に多いM16は、発展性・柔軟性という面においてAK47を凌駕する。
    そのため、CQBを初めとする近代の戦闘においては優秀な銃と言える。




  2. M16 SkyCleaner?
    第二次世界大戦時、M3ハーフトラックの後部にブローニングM212.7mm機関銃を4門搭載したアメリカ軍自走対空砲?
    航空優勢を獲得した後に登場したため、本来の対空戦闘に使われることは少なく、主に対歩兵戦闘に用いられ、兵士から「ミートチョッパーズ」(肉切り包丁)と呼ばれるほどの威力を発揮した。
    その高い威力から、朝鮮戦争でも対歩兵戦闘で使用され、大きな戦果をあげた。
    また、陸上自衛隊にも供与された。

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