【KGB】(けーじーびー)

Комитет государственной безопасности(国家保安委員会、КГБ(カーゲーベー)

旧ソビエト連邦の諜報機関秘密警察組織。
資本主義諸国に対するスパイ活動、防諜、国境警備、要人警護、カウンターテロ任務を担当した。
アメリカのCIA・イスラエルのモサドと並ぶ著名な諜報組織のひとつであったが、1991年にソ連の崩壊と共に解体された。

公的な軍事組織であり、職員は軍人としての階級を割り振られた。
このため行動方針を巡る内部抗争はほとんどなかったが、軍隊的な制度硬直も見られる。

必要な人員は軍部・大学卒業者・企業などから選抜し、自発的志願者は決して受け入れなかった。
国境警備隊などは通常の軍隊組織として徴兵制を利用していたし、軍事的教導はソ連軍の施設で行われている。

誇張と実像

KGBの名前そのものは、冷戦時代にアメリカ側諸国で制作された小説・映画などで「悪役」として頻繁に描写されたため、非常に著名である。
一方で、一般に膾炙する組織像のほとんどは娯楽のために脚色されたもので、誤解も多い。

たとえば、KGBはソ連人民を恐怖で震え上がらせていた、と描写される事は多いが、実態はそうでもなかった。
KGBは存在が公表された軍組織であったが、一般的には国境警備隊や要人警護が連想された。
秘密警察部門はそもそも存在自体が秘密であるから、市民生活の中でその存在を意識する機会など滅多になかった。

また、KGBから派遣された将校とソ連軍将校が(様々な局面で)軋轢を起こす、という描写も多かったが、これも実際にはほとんどなかったという。
KGBの公安将校はソ連軍将校のうち、配属先の実情について豊富な知識経験を持つものを選抜して任命されていた。

組織

  • 第1総局(対外情報活動)*1
  • 第2総局(国内保安と防諜)
  • 第8総局(通信と暗号解析)
  • 国境軍総局
  • 第3局(軍の防諜関係)
  • 第4局(輸送)
  • 憲法擁護局(以前の第5局。イデオロギーと反体制運動への対応)
  • 第6局(経済面の防諜と産業の保安)
  • 第7局(監視)
  • 第15局(政府施設の保安)
  • 第16局(通信傍受とシギント
  • 技術工作(OTU)
  • 軍事建設局
  • 第6部(通信の傍受と審査)
  • KGB警務部(以前の第9局。政府警護)
  • 第10部(記録保管)
  • 第12部(盗聴)
  • 調査部
  • 政府通信
  • ユーリ・アンドロポフKGB赤旗大学(現:ロシア対外情報庁対外情報アカデミー)
  • 書記局
  • 特別監督局
  • 人事局
  • 財務・計画局
  • 動員局
  • 管理・供給局

*1 ロシア連邦第2代(現職)大統領ウラジーミル・プーチンは、かつて同局レニングラード支部に在籍していた。

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