【FIM-92】(えふあいえむきゅうじゅうに)

FIM-92 "Stinger(スティンガー)*1"
FIM-43「レッドアイ」?の後継として、1980年代にアメリカが開発した個人携帯式地対空ミサイル
前線において、兵士一人が肩に担いで照準・発射できる小型地対空ミサイルとして開発された。
ソ連軍SA-7を意識して、使い勝手の向上やIFFの装備がなされた。

主な目標は、低空域を比較的低速で飛ぶ攻撃機ヘリコプターCOIN機であるが、低空飛行中の輸送機巡航ミサイルを狙うことも可能とされている。
弾体の誘導は赤外線・紫外線シーカーにより行われ、フレアなどへの耐性も極めて高い*2
また、撃ちっ放し能力があるため、発射後はすぐに弾体のコンテナーと電源ユニットを交換することで再発射が可能である。

派生型として、ヘリコプター自衛用AAMとして開発されたAIM-92やスティンガーのシーカーAIM-9の胴体部を基にして開発された、RIM-116「RAM」個艦防空ミサイルが存在する。
ソ連のアフガニスタン侵攻の際には、CIAを通じて現地武装勢力に非公式に供与され、重装甲で知られたMi-24を多数撃墜している。

関連:SA-7 SA-14 91式携帯地対空誘導弾 AN/UPS-3?

搭載車両・艦艇

スペックデータ

タイプFIM-92A
(原型)
FIM-92B
(POST型)
FIM-92C
(RMP型)
用途近距離防空
全長1.52m
直径7cm
翼幅9.1cm
弾体重量5.68kg
発射重量15.7kg(全システム)
有効射程200〜4,000m+200〜4,800m
速度マッハ2.2
有効射高3,500m3,800m
最大捕捉可能距離15km
推進方式固体推進ロケットモーター
エンジンMk.27 固体燃料ロケット
弾頭HE 破片効果(3kg)
誘導方式赤外線ホーミング(IRH)二波長光波ホーミング(IR/UVH?
信管貫通衝撃
開発・製造ヒューズ・ミサイルシステム(システム本体)
ジェネラル・ダイナミクス/レイセオン(ミサイル本体)


派生型

  • FIM-92A:
    1978年に配備が開始された初期型。

  • FIM-92B:
    シーカーを改良した型。
    誘導方式を二波長光波ホーミング(IR/UVH)とし、IRCCM能力が向上している。
    「スティンガーPOST*4」とも呼ばれる。

  • FIM-92C:
    マイクロプロセッサーなどの電子装置を更新した型。
    「スティンガー-RMP*5」とも呼ばれる。
    再プログラミング可能な新しいマイクロプロセッサを導入した。

  • FIM-92D:
    C型の改良型。

  • FIM-92E:
    シーカーなどを改良した型。

  • FIM-92H:
    E型の改良型。

  • FIM-92F:
    D型のアップグレード型。
    レーザー測距儀など、射手向けの照準システムを大幅に改良した。

  • AIM-92:
    「スティンガーATAS*6」とも呼ばれる空対空ミサイル型。
    基本構造は同じだが、コックピットからの遠隔発射に伴うプログラムの書き換えの都合上、FIM-92CかFIM-92Dが使用されている。

  • RIM-116「RAM」
    スティンガーのシーカーとAIM-9の胴体部を基にして開発された、個艦防空用短距離迎撃ミサイル。
    詳しくは項を参照。


*1 英語で毒針の意。
*2 このため、「現在最も命中率の高いミサイル」としてギネスブックにも載っている。
*3 Bradley Stinger Fighting Vehicle.
*4 Passive Optical Seeker Techniqueの略。
*5 Reprogrammable Microprocessorの略。
*6 Air to Air Stinger.

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