【DC-6】(でぃーしーしっくす)

Douglas DC-6.

1940〜1950年代、アメリカのダグラス・エアクラフト社が開発・生産した大型レシプロ旅客機
「レシプロ旅客機の傑作」として名高い機体でもあった。

当初、本機はアメリカ軍で使用されていたC-54の改良型「XC-112」として第二次世界大戦中の1944年に開発がはじめられ、1946年に初飛行した。
前作のDC-4に比べて機体を大幅に延長した他、キャビンの与圧*1レーダーの装備で居住性・安全性を改善した。
また、新型エンジンダブルワスプ」の採用で、大西洋を無着陸で横断できる航続距離を達成した。

量産型は1947年から生産が始まり、戦後の航空需要復興と軌を一にしてセールスを拡大。
後継機・DC-7の登場後も生産は続き、ジェット旅客機・DC-8の生産が始まる直前の1959年に生産を終了するまで約700機が製造された。

日本でのDC-6

日本ではフラッグキャリアとなった日本航空が運用していた。
当初、日航は国際線用機材として発注したが、ダグラスから「引き渡しまで2年待ち」と回答されたため、他社向けに製造中の貨物機型を購入して旅客機仕様に再改装する形*2で3機を購入、国内線(羽田札幌間)で運用を開始した。
その後、ダグラスからの新品と他社からの中古機*3を併せて9機導入した。

日本航空での本機には東京、京都、奈良など、日本の著名な都市の名前を愛称につけていた。
本来の用途である国際線での運用の他、東京オリンピック(1964年)の聖火をギリシャから空輸したり、昭和天皇御乗用機の栄誉を得たり*4航空郵便の輸送に用いられたりと、幅広く活躍した。

その後、後継機の導入に伴って国内線や貨物便に転用されていったが、コンベア880の国内線導入に伴い、1969年3月に全機が退役した。
これは後継機のDC-7よりも遅い退役であった。

バリエーション

  • DC-6A:
    貨物型。

  • DC-6B:
    旅客型。

  • DC-6C:
    貨客両用型。

  • C-118「リフトマスター」:
    アメリカ空軍向け輸送機型。

  • R6D:
    アメリカ海軍向け。

  • エアフォースワン
    • VC-118:
      ハリー・S・トルーマン大統領の専用機として使用された。
      1947年7月4日(アメリカ独立記念日)に納入されたため「インディペンデンス」の愛称で呼ばれていた。

    • VC-118A:
      ジョン・F・ケネディ大統領とリンドン・B・ジョンソン大統領の専用機として使用された。


*1 これはライバルとなったロッキードの「スーパーコンステレーション」に対抗したもの。
*2 この時に45%のプレミア価格での引き渡しとなった。
*3 このうち1機(元サターン航空のJA6210機)は営業運航には就かず、もっぱら訓練用として用いられた。
*4 1954年の北海道国体にご出席の際、帰路に利用された。

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