【BTR-70】(びーてぃーあーるななじゅう)

ロシア陸軍で運用されている装輪式装甲車
BTR-60PBの改良型に当たる。

車体はBTR-60より少し小さいが、エンジンが強化された為にエンジン室が大型化された。そのため兵員室は少し小さくなっている。
車体後部にはウォータージェット推進装置を装備しているほか、BTR-60と違い車体に消波器が設置されている。
また、上部ハッチしかなかったBTR-60の欠点を改良し、第2・第3車軸の間に乗降用ハッチを増設した。
しかし逆三角型の小型のもので実用的とは言えず、後部にエンジン室がある為後部から乗降できないという弱点は残った。

アフガニスタン侵攻?で初めて実戦に投入されたが、そこで本車で採用していたガソリンエンジンが被弾時に発火しやすい弱点が露呈し、BTR-60共々「コレースヌィ・グロブ(燃える車輪付き棺桶)」と不名誉なあだ名をつけられた。
また、側面ハッチは小型で狭いため、完全武装の兵士には使用しづらく、上面から出入りしようとした兵士はみすみすムジャヒディン?の餌食となり、根本的な改善とはならなかった。

チェチェン紛争?では装甲を厚くする対策を行ったが、市街戦の際に外部に取り付けられた増槽、ハッチ、機関室、砲塔等を携帯式対戦車ミサイルで狙撃され多大な損害を出した。

これらの戦訓から、改良型のBTR-80ディーゼルエンジンを搭載し、側面ハッチを拡大している。

スペックデータ

乗員2名+兵員9名
全長7.53m
全高2.23m
全幅2.8m
戦闘重量11.5t
懸架・駆動方式8輪駆動
エンジンZMZ-49O5 4ストローク直列6気筒液冷ガソリンエンジン×2基(出力120hp)
登板力50%
超堤高0.6m
超豪幅2.0m
最大速度80km/h(整地)
10〜15km/h(水上)
行動距離400〜600km(増槽使用時)
装甲車体前面:8〜10mm
側面:7mm
砲塔前面:6mm
兵装KPVT 14.5mm重機関銃×1挺(500発)、PKT 7.62mm機関銃×1挺(2,000発)


派生型

  • BTR-70 M1978:
    前期生産型。

  • BTR-70 M1986/1:
    後期生産型。
    ターレットの改良、装甲の強化などがされている。

  • BTR-70MS:
    通信用車輌。

  • BTR-KShM:
    指揮官用車輌。

  • BREM:
    装甲回収車型。

    BTR-70Kh:
    化学兵器探知車輌。

  • SPR-2:
    ジャミング車両。

  • AGS-17搭載型:
    AGS-17「プラミャ*1」30mmグレネードランチャーを搭載する型。
    アフガニスタン侵攻で使用された。

  • 2S14 Zhalo-S:
    2A62 85mm砲を装備した砲塔を搭載した対戦車自走砲型。試作のみ。

  • ルーマニア製
    • TAB-77:
      ルーマニアでのライセンス生産型。
      エンジンを132馬力のディーゼルエンジンに換装している。

      • TAB-77A 145M:
        指揮通信車輌型。
        乗員は3+7名で、7.62mm同軸機関銃は撤去されている。

      • TAB-77A B-77:
        1996年に発表された改良型。
        エンジンを250馬力のディーゼルエンジン1基に換装し、機関銃砲塔の射撃サイトを大型化している。
        乗員は3+8名。


*1 Пламя:ロシア語で炎を意味する。

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