【B757】(びーななごーなな)

Boring B757.

1980年代にボーイング社が開発・生産した中距離向け双発ジェット旅客機
B727の後継として、B767*1とほぼ同時に開発に着手されたものである。

B767がセミワイドボディ機であるのに対し、B757はナローボディ機となっており、コックピットB767とほとんど同一の構造となっているため、操縦資格が共通している。

2001年の9.11事件では、このことがテロリストに利用され、B767と共に被害機となってしまった。

日本の航空会社では1機も導入されなかったため、馴染みの薄い機体に思われる*2が、欧米の航空会社では数多くの機体が運用されている。

収容力航続距離の面から、同機は欧米発の長距離定期便には向いておらず、飛来する可能性があるのはアジア系航空会社の機体に限られるが、その中でも本機を日本向け定期便の機材に用いている会社が少ない。
このため、チャーター便などで本機が日本の空港に飛来すると、航空雑誌への写真投稿数が増える傾向にあるという。

要人輸送にも使用されており、アメリカ空軍では「C-32」という制式名で採用されたほか、アルゼンチン空軍やメキシコ空軍では政府専用機として運用されている。

2004年10月28日に最終号機(通算1,050機目*3)を中国の上海航空へ納入したのを機に生産を終了した。

関連:B767 ETOPS

主なオペレーター(2020年8月31日現在)

航空会社757-200757-200M757-200F757-300合計
エア・アスタナ3機---3機
中国国際貨運航空
(エア・チャイナカーゴ)
--4機-4機
Air Transport International-4機4機-8機
アジア・パシフィック・エアラインズ--3機-3機
ASL航空ベルギー--2機-2機
アヴィアスタル-TU--3機-3機
アゼルバイジャン航空2機---2機
Azur Air9機---9機
Azur Air Ukraine---1機1機
Blue Dart Aviation--6機-6機
Cabo Verde Airlines3機---3機
Cargojet Airways--8機-8機
China Air Cargo--1機-1機
中国郵政航空--7機-7機
Comco2機---2機
コンドル航空---13機13機
Cygnus Air--4機-4機
デルタ航空111機--16機127機
DHL Aero Expreso--4機-4機
DHL Air UK--23機-23機
DJT Operations1機---1機
E-Cargo--1機-1機
European Air Transport Leipzig--9機-9機
フェデックス・エクスプレス--107機-107機
GainJet? Aviation1機---1機
ハネウェル・インターナショナル1機---1機
アイスランド航空23機-2機2機27機
Jet2.com8機---8機
JetMagic?1機---1機
Juliet Romeo Aviation2機---2機
カザフスタン防空軍1機---1機
L-3 Communications Advanced Aviation1機---1機
Icelandic Airlines
(Loftleidir Icelandic)
1機---1機
Mid East Jet1機---1機
MLW Aviation1機---1機
Morningstar Air Express--8機-8機
ナショナル・エアラインズ1機---1機
Olympus Airways--1機-1機
Pacific Air Express--1機-1機
Privilege Style2機---2機
ラヤ航空--1機-1機
Royal Flight5機---5機
ニュージーランド空軍2機---2機
サウジアラビア政府1機---1機
順豊航空
(SF Airlines)
--33機-33機
Starflite International Corporation1機---1機
Sunday Airlines4機---4機
スウィフトエア--1機-1機
ターバーン航空1機---1機
TAG Aviation1機---1機
タジキスタン航空1機---1機
Talos Aviation1機---1機
Yucaipa Companies1機---1機
タイタンエアウェイズ2機---2機
TUIエアウェイズ5機---5機
トルクメニスタン航空3機---3機
ユナイテッド航空51機--21機72機
アメリカ空軍10機---10機
アメリカ合衆国司法省2機---2機
UPS航空--75機-75機
ウズベキスタン航空5機---5機
イエメン政府1機---1機
YTO Cargo Airlines--5機-5機
合計272機4機313機53機642機


スペックデータ

下記のデータは、エンジンとしてプラット&ホイットニー社・ロールス・ロイス社の2通りが存在し、運用によっても変わるため、あくまで目安である。

タイプ757-200757-200PF757-300
乗員2名(機長副操縦士
標準座席数
(2クラス)
200席N/A243席
(1クラス)228席280席
全長47.32m54.43m
全高13.6m14m13.56m
全幅38.05m38.06m
胴体幅3.76m
キャビン横幅3.54m
降着装置
ホイールベース
18.29m22.35m
最大離陸重量115,650kg115,680kg123,600kg
エンジンターボファン×2基(以下から選択)
ロールス・ロイス?
RB211-535E4/E4B?
P&W PW2037?
P&W PW2040
ロールス・ロイス
RB211-535E4B
P&W PW2037
P&W PW2040
ロールス・ロイス
RB211-535E4B
P&W PW2037
P&W PW2040
P&W PW2043
エンジン推力162.8〜193.5kN
巡航速度M0.80
航続距離7,222km5,834km6,287km

派生型

  • B757-200:
    基本型。

    • B757-200ER:
      航続距離延長型。

  • B757-200F:
    貨物機型。-200ER改造。

    • B757-200PF*4
      米国の小口貨物の速達事業者向け貨物機。-200ER改造。

    • B757-200SF*5
      貨物機型。

  • B757-200M:
    コンビ(貨客両用)型。-200ER改造。

  • B757-300:
    B757-200の胴体延長型。

軍用型

  • C-32A:
    アメリカ空軍がVIP輸送機として用いる機体。200型ベース。
    VC-25が離着陸できない空港*6への移動で「エアフォースワン」となる他、「エアフォースツー」のコールサインで副大統領や大統領夫人などの移動に用いられることもある。
    • C-32B:
      アメリカ国務省の緊急時対処要員 (Foreign Emergency Support Team) 輸送機。

  • F-22フライングテストベッド:
    F-22の開発に際して、B757初号機をアビオニクスやセンサーシステムの試験用に改造した型。
    機体のコックピットの上方には戦闘機の翼に組み込むセンサー配置をシミュレートするためのカナード翼が取り付けられたほか、機首の前にはレーダーなどのシステムを搭載したF-22の胴体前半部が取り付けられた。
    また、キャビンには30席の研究スペースが設けられ、通信システム、電子戦システム、ナビゲーションシステムが搭載された。

  • 757コンビ型(ニュージーランド空軍向け):
    B727-100QCの代替で、757-200Mベース。
    貨物扉と収納式のタラップ(エアステア)が備えられ、補助動力装置のアップグレードと通信システムの強化が行われている。
    装備の輸送、医療救助、兵員輸送、要人輸送のほか、ニュージーランドが南極大陸に設置したスコット基地への輸送にも用いられている。


*1 こちらはB707の後継として計画・開発されたもの。
*2 ただし、部品の一部は日本のメーカー(富士重工業(現在のSUBARU)・横浜ゴムなど)が生産している。
*3 第1号機は顧客に引き渡されず、ボーイング社が試験用として保有しているため、顧客に引き渡されたのは1,049機。
*4 Package Freighterの略。
*5 Special Freighterの略。
*6 B747-200BをベースとするVC-25の離着陸には、2500〜3000m級の滑走路が必要となるが、これを備える空港飛行場は限られている。

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