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【AIM-54】 †
AIM-54
F-111の海軍型として計画された「F-111B」への搭載を目的に開発された長射程空対空ミサイル。
しかし、当初の搭載母機になるはずだったF-111Bがキャンセルとなったため、AWG-9とともにF-14へ受け継がれ、1974年に実戦配備が開始された。
本ミサイルの起源は、F6D?やF-108?・YF-12?に搭載される予定だった空対空ミサイルで、その技術が元となり、F-111Bと同時に開発された。
射程は160〜200Kmと、実用空対空ミサイルでは世界最長である*1。
艦隊防空に特化したミサイルであり、事実上、搭載するレーダー・火器管制システムからF-14専用となっている。
誘導方式は中間はセミアクティブレーダー誘導(飛行中のデータ更新あり)、終端アクティブレーダー誘導である。
後期型のC型では、慣性参照装置が搭載されたことからより効率的な軌道を描けるようになり、命中精度の向上と射程距離の若干の延長がはかられている。
主な目標は対艦ミサイルを装備したソ連軍の爆撃機であり、艦隊防空の一番外において爆撃機をアウトレンジ攻撃する目的で生まれた。
試験においては80%以上の高命中率を記録し、イラン・イラク戦争において、イラン軍は不確定情報ながらF-14の発射した本ミサイルでイラク軍機を多数撃墜しているが、アメリカ軍に配備されていた本ミサイルは撃墜を記録していない。
イラン・イラク戦争での戦果については、戦後にイラン側が発表した内容によると、1980年から1988年の間にF-14は合計30機の撃墜戦果を記録し、このうち、フェニックスによる確定戦果が16機・未確定戦果が4機、としている。
また、この期間中にフェニックス71発を射耗し、10発が搭載したF-14の被撃墜・事故等によって喪失された、としている。
ソ連の崩壊に伴い、アメリカの機動部隊を攻撃する能力を持った国が地球上に存在しなくなった現在、AIM-54は存在意義を失ってしまった。
また1発約100万ドルと、高価といわれているAIM-120の2倍以上という高コストも裏目に出てしまっている。
そのため、アメリカ軍は2004年9月30日をもってAIM-54の運用を終了、30年に渡る艦隊防空の中核としての役割に幕を閉じた。
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スペックデータ †
タイプ | AIM-54A | AIM-54C |
全長 | 4.01m | |
直径 | 38.1cm | |
翼幅 | 92.4cm | |
発射重量 | 443kg | 463kg |
射程 | 200km | |
速度 | マッハ5.0 | |
飛行高度 | 30,000m | |
推進方式 | 固体燃料ロケットモーター | |
推進装置 | Mk47(WPU-3/B)ロケットモーター | Mk60 ロケットモーター |
弾頭 | HE連続ロッド(60kg) | |
誘導装置 | 更新付SARH及びARH | 更新付SARH・INS及びARH |
主なバリエーション †
- AIM-54A:
1974年から運用が開始された、もっとも初期のモデル。
中間誘導にはセミアクティブレーダー誘導、終末誘導にはアクティブレーダー誘導を使用する。
- AIM-54B:
製造過程を短縮出来るようにされた簡易量産モデル。
費用対効果が悪いことから結局量産はされなかった。
仕様の一部はA型の後期モデルに取り入れられた。
- AIM-54C:
改良型。
送受信器のソリッドステート化が行われ、デジタル自動操縦装置、同信号処理機、固定式慣性参照装置が組み込まれて射程距離?の延長され、巡航ミサイルに対処することが可能になっている。
- AIM-54C ECCM/Sealed:
1988年から運用が開始されたC型の改良型でECCM能力が付加された。
また、自前で冷却システムを持ち、携行飛行時にF-14側で液体冷却が不要となっている。
- シーフェニックス:
シースパローの代替として計画されていた艦対空ミサイル型。
計画のみ。
- Fakour-90:
2013年2月にイランが発表した物。
AIM-54の機体を流用しつつシャヒン地対空ミサイル*2の弾頭とシーカーを搭載している。
- Maqsoud:
2013年11月に明らかとなった、AIM-54を基にした新型ミサイル。