【AIM-4】(えーあいえむよん)

AIM-4 "Falcon(ファルコン)"(旧称GAR-1、F-98)

アメリカ・ヒューズエアクラフト社製の空対空ミサイル
1946年に開発が始まり、1956年から運用が開始された。
愛称は「ファルコン」で、改良型のAIM-4G及びAIM-4E/Fは「スーパー・ファルコン」と呼ばれる。
主な搭載機種としてF-89「スコーピオン」(翼端ポッドに搭載)、F-101B「ヴードゥー」及びF-102「デルタダガー」?F-106「デルタ・ダート」?(いずれも機内弾薬倉に搭載)、F-4D「ファントムII」(内側の翼下パイロンに搭載)に装備された。
米軍以外では、航空自衛隊F-4EJを導入当初にAIM-4Dを装備、またカナダ国防軍も使用し、CF-101?及びCF-105「アロー」に装備された。

セミアクティブレーダー誘導および赤外線誘導方式であり、AIM-9と並ぶ米軍の主力空対空ミサイルとなると思われたが、
「高Gで自己破壊を起こす」
シーカーの冷却時間が長いため、目標のロックオンを得るまでに6〜7秒も要する」
「(もともと爆撃機の迎撃用として設計されたため)弾頭が小さく、近接信管を備えていない」
などの欠点があり、AIM-9と交代する形で早期に退役してしまった。

「サイズは違えど空力は同じ」という理念の元に開発された空対空ミサイルであり、同シリーズとしてMIM-23AIM-54などがある。

スペックデータ

AIM-4A
全長1.98m
翼幅0.508m
本体直径0.163m
発射重量54kg
射程9.7km
速度マッハ3
推進方式固体推進ロケットモーター
エンジンチオコールM58 固体燃料ロケットモーター
誘導方式セミアクティブレーダー誘導
弾頭高性能炸薬(3.4kg)


AIM-4C/D
全長2.02m
翼幅0.508m
本体直径0.163m
発射重量61kg
射程9.7km
速度マッハ3
推進方式固体推進ロケットモーター
エンジンチオコールM58 固体燃料ロケットモーター
誘導方式赤外線誘導
弾頭高性能炸薬(3.4kg)


AIM-4E/F
全長2.18m
翼幅0.16m
本体直径0.618m
発射重量68kg
射程11.3km
速度マッハ4
推進方式固体推進ロケットモーター
エンジンチオコールM46 デュアルスラスト固体燃料ロケットモーター
誘導方式セミアクティブレーダー誘導
弾頭高性能炸薬(13kg)


AIM-4G
全長2.06m
翼幅0.61m
本体直径0.618m
発射重量66kg
射程11.3km
速度マッハ4
推進方式固体推進ロケットモーター
エンジンチオコールM46 デュアルスラスト固体燃料ロケットモーター
誘導方式赤外線誘導
弾頭高性能炸薬(13kg)


派生型(カッコ内は旧称)

  • AIM-4(GAR-1):
    セミアクティブレーダー誘導の初期生産型。

  • AIM-4A(GAR-1D):
    AIM-4の機動性改善型。
    より大きな制御翼面を持つ。

  • AIM-4B(GAR-2):
    AIM-4の赤外線誘導型。
    撃ちっ放し能力を持つ。

  • AIM-4C(GAR-2A):
    AIM-4Bのシーカー感度改善型。

  • AIM-4D(GAR-2B):
    初期型ファルコンの最終型。
    弾体を小型・軽量化し、AIM-4Gのシーカーを搭載した。

  • AIM-4E(GAR-3):
    スーパー・ファルコンのセミアクティブレーダー誘導型。
    速度と射程が増している。

  • AIM-4F(GAR-3A):
    AIM-4Eの改良型。
    新型のチオコールM46 デュアルスラスト固体推進ロケットモーターと精度とECM抵抗性を改善したSARH誘導装置を持つ。

  • AIM-4G(GAR-4):
    スーパー・ファルコンの赤外線誘導型。

  • XAIM-4H:
    AIM-4Dの改良型。
    レーザー近接信管や新型弾頭などを搭載し、機動性も向上した。
    1971年に開発中止。

  • HM-58:
    AIM-4Cのスイス輸出型。

  • Rb 28:
    AIM-4Cのスウェーデン輸出型。

  • AIM-26
    AIM-4の核弾頭搭載型。詳しくは項を参照。

  • AIM-47
    AIM-4の長射程発展型。詳しくは項を参照。


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