【9mmルガー】(きゅうみりるがー)

ドイツのDWM社開発が1902年に開発した拳銃弾
口径と長さから「9mm×19弾」、最初に採用した拳銃の名から「9mmパラベラム」などともいう。

「パラベラム」の語源は、ラテン語の諺「Si Vis Pacem, Para Bellum(汝平和を欲さば、戦への備えをせよ)」。
DWM社はこれをモットーとしている。

パラベラム・ピストーレ用の7.65mm×22パラベラム弾(7.65mmルガー弾)を基に、大口径化を企図して設計された。
DWMはこれを採用した「パラベラムM1902」拳銃をアメリカ陸軍向けに売り込んだが、採用には至らなかった。
後に同社の「パラベラムP08(ルガーP08)」がドイツ陸軍に採用されたため、広く知られるようになった。
パラベラム・ピストーレはアメリカでの通称「ルガー・ピストル」の方が有名で、パッケージにも「9mm Luger」の表記が多く見られる。

高初速で貫通力が高い、発砲時の反動が弱い、多弾装化が容易、大量生産に向いているなどの利点がある。
反面、マンストッピングパワーにはやや劣る。
また、初速音速を超えているため、通常の減音器ではソニックブームで発生する音を防げない*1
このため、比較的に規模の大きな正規戦に適し、特殊部隊白兵戦にはやや不向き。

現在では自動拳銃短機関銃における事実上の世界標準の弾薬となっている。
ただし、セールスの主体であるアメリカの民間用拳銃の分野ではより大口径の弾薬に押され、シェアは大きくない。

アメリカでは長らく「装弾数12発以上の拳銃」が規制対象になっており、9mmルガー規格の軍用拳銃のほとんどがこれに抵触した。
この規制と、そもそもアメリカ人ユーザーは大きく重く力強い「マッチョ」な銃を好む傾向にあるため、9mmルガーはそれほど人気を博さなかった。
拳銃の装弾数規制は近年撤廃されたが、多様化した市場環境で今更9mmルガーを優遇する理由も特にない。


*1 どうしても減音が必要な場合は装薬を減らした弱装弾を用いる。

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