【97式短魚雷】(きゅうななしきたんぎょらい)

日本の防衛省技術研究本部が開発した国産の対潜魚雷
最大運用深度が1,000m程度にもなる最新鋭の潜水艦に対抗すべく開発された。

1985年から開発が開始され、1997年に制式化された。
海上自衛隊P-3CSH-60J/Kの他、艦船に搭載されるHOS-303魚雷発射管や07式垂直発射魚雷投射ロケットにて運用される。*1

同魚雷の弾体は誘導制御部、推進装置、弾頭部より構成されており、それぞれ次のような特徴を持っている。

  • 誘導制御部
    • 整合層付振動子を採用したソナーによる使用周波数の広帯域化及び低周波化。
    • デジタル信号処理に高速DSPを採用したことによる捜索能力の向上。
    • ターゲット情報処理にカルマンフィルタを用いることによる失探対応と目標に垂直に突入するターミナル誘導の実現。*2
    • 32ビットマイクロプロセッサの搭載と目標識別プログラムによる高度な目標識別能力。
    • プログラム言語にAdaを採用することによる高い信頼性と拡張性。
  • 推進装置
    • リチウム-六フッ化硫黄の反応熱を用いるクローズドサイクルエンジンの採用による高速化と深深度化。
    • ポンプジェット方式の一軸推進器の採用によるキャビテーションの低減。
  • 弾頭部
    • 二重船殻を貫徹可能とするため、成形炸薬弾の採用。
    • PBX系低感度炸薬の採用による安全性の確保。

なお、同魚雷はソフトウェアによる制御比重が大きいとされ「プログラマブルな」魚雷と言われている。

スペックデータ

種別対潜魚雷(短魚雷)
弾頭成形炸薬弾
弾頭重量約50kg
推進装置クローズドサイクルエンジン
(リチウム-六フッ化硫黄の反応熱を利用)
推進器ポンプジェット方式の一軸推進器
速力58ノット(高速時)/43ノット(低速時)
製作三菱重工業



*1 今後はP-1にも搭載される見込みである。
*2 成型炸薬弾頭の有効性維持のため。

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