【9.11事件】(きゅうてんいちいちじけん)

2001年9月11日にアメリカ合衆国で発生した同時多発ハイジャック事件。「アメリカ同時多発テロ事件」とも。
ハイジャックされた4機の旅客機が相次いで墜落し、死者3,025人(推定)、負傷者6,000人以上の被害を生じた。
当該旅客機の乗員乗客は誰一人生存できなかったため、事件の推移には不明な点も多い。

事件の概略

同日朝、アメリカ国内線に就航していた下記の旅客機4機が相次いでハイジャックされた。
これらの機は相次いで墜落、うち3機はニューヨークの世界貿易センタービル、ペンタゴンなどの重要施設に激突。
この被害内容から、実行犯の目的はテロリズムとしての特攻だったと推定されている。

ボストン発ロサンゼルス行 ユナイテッド航空175便(B767-222(N612UA))
世界貿易センタービルサウスタワー(第2ビル)に衝突・墜落
ボストン発ロサンゼルス行 アメリカン航空11便(B767-223ER(N334AA))
世界貿易センタービルノースタワー(第1ビル)に衝突・墜落
ニューアーク発サンフランシスコ行 ユナイテッド航空93便(B757-222(N591UA))
ペンシルバニア州・サマーセット近郊の炭鉱跡地に墜落
乗客が外部と連絡を取って事態を把握し、機内で戦闘が発生した事で混乱から墜落に至ったとされる。
管制に対しワシントン州に向かう旨の通告があったが、本来の目的地(標的)は不明。
ワシントン発ロサンゼルス行 アメリカン航空77便(B757-223(N644AA))
ヴァージニア州・アメリカ国防総省本庁舎(ペンタゴン)に衝突・墜落
破壊痕の規模が不自然に小さいため、衝突前にアメリカ空軍撃墜されていた可能性があるが事実不詳。

事件直後、大統領により非常事態宣言とデフコン3が発令された。
アメリカ領空内の全航空機の強制着陸、領空・国境の封鎖、空港の厳戒態勢などの措置が取られた。

犯人は何者だったのか?

アメリカ政府は、犯人がスンニ派イスラム原理主義組織「アルカーイダ」のメンバーであると断定。
反米・反ユダヤ的な思想に基づくテロリズムの結果であると公表している。

この"事実"に基づき、アメリカはアフガニスタンに対し、潜伏しているアルカーイダの引き渡しを要求した。
これに対し、アフガニスタンのターリバーン政権は証拠不十分として引き渡しを拒否。
また、国連からも数度に渡ってアルカーイダの引き渡しを求める安保理決議が採択されたが、ターリバーンはその全てを拒否。
ここに至って北大西洋条約機構はターリバーンに対し宣戦布告アフガニスタン紛争?から始まる対テロ戦争?が勃発した。

ターリバーン政権は敗戦で崩壊したが、事件首謀者とされるアルカーイダ司令官ウサマ・ビンラディンは国外に逃亡。
2011年にパキスタンで存在が確認され、アメリカの海軍特殊戦開発グループによって殺害された。
その際、アメリカ政府はパキスタンの主権を侵害(事前の通達・承認なく軍事力を行使)している。

なお、事実関係の立証について十分な確証があったかといえば、確かにこれは疑わしい。
歴史の転換点に起きた事件全てがそうであるように、この事件についても「隠された真相」を主張する非主流の解釈は多い。
特に、アメリカ主導による暴力的報復はこの事件に対する視点を非常に複雑なものとしている。
「アメリカ合衆国が用意したアメリカに都合の良い見解を国際社会が鵜呑みにしている*1」という印象は拭いがたい。

例えば、アラブ諸国の民衆レベルでは「9.11事件はユダヤ人の陰謀である」という風説が流布している。
もっとも、イスラム原理主義の素朴な視点において、中東戦争以来の都合の悪い事は一切合切がユダヤ人の陰謀なのだが。


*1 とはいえ、他の方法での事実確認を要求するのは法学的にも政治的にも全く現実的ではない。

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