【88式地対艦誘導弾】(はちはちしきちたいかんゆうどうだん)

陸上自衛隊が装備する国産の地対艦ミサイル。通称SSM-1。
愛称は「シーバスター」だが、他の陸自装備と同様、この愛称はほとんど使われておらず、SSMの通称で呼ばれている。

74式特大型トラックの荷台に6連装のチューブランチャーを搭載しており、火器管制装置などを搭載した車両と共に機動展開する。
従来の地対艦ミサイルと異なり、海岸線に沿って大量のミサイルと発射装置を配備する必要はない。
また、発射装置を移動できるため、事前のスパイ活動で発射地点を特定されにくくなっている。

ミサイル自体は80式空対艦誘導弾(ASM-1)からの派生。ASM-1からの変更点は以下の通り。

  • 内陸から発射できるように固体燃料ロケットからターボジェットに変更して有効射程を延長。
  • 初速を確保するために固体燃料ロケットによるブースターを付加。
  • 発射直後から低空で山間部を掻き分けて飛翔するため、誘導装置に改良が施された。
  • 飽和攻撃を行うために、連続発射したミサイルが全て同時に目標地点へ突入するよう制御される。
  • ロックオンしやすい目標に集中しないよう、確率論的に目標を分散させるプログラムが搭載されている。
  • 磁性体を含んだ特殊なステルス塗料が使用されている(推定。軍事機密につき詳細不明)。

システムは以下で構成される。

  • 指揮統制装置×1基
  • 中継装置(JMRC-R5)×1基〜12基*1
  • 捜索・標定レーダ装置(JTPS-P15)×1基〜12基
  • 射撃管制装置(JTSQ-W5)×1基〜4基*2
  • ミサイル発射機搭載車×1両〜16両
  • 予備ミサイル・装填装置搭載車×1両〜16両

現在、改良型として12式地対艦誘導弾が採用されている。
同機は元々「88式地対艦誘導弾(改)」として開発されていたもので、さらなる射程延長、垂直発射方式の採用、誘導システムの改良*3、コスト低減などを図るとされている。

関連:RGM-84 JTPS-P15

配備部隊(カッコ内は駐屯地)

  • 武器学校(土浦)
  • 富士学校
  • 北部方面隊
    • 第1特科団
      • 第1地対艦ミサイル連隊(北千歳)
      • 第2地対艦ミサイル連隊(美唄)
      • 第3地対艦ミサイル連隊(上富良野)
  • 東北方面隊
    • 東北方面特科隊
      • 第4地対艦ミサイル連隊(八戸)
  • 西部方面隊
    • 西部方面特科隊
      • 第5地対艦ミサイル連隊(健軍)

スペックデータ

形式88式地対艦誘導弾
(SSM-1)
91式空対艦誘導弾
(ASM-1)
全長5.1m
(ブースター含む)
4m
直径35cm
ミサイル重量約660kg510kg
射程150km〜200km(推定)
推進方式固体燃料ロケット
(ブースター部)
+
ターボジェット
ターボジェット
エンジンTJM2ターボジェット
飛翔速度1,150km/h-
弾頭焼い剤付きHE
(270kg*4
焼い剤付きHE
(250kg)
誘導方式慣性誘導/アクティブレーダー誘導


派生型


*1 ただし、接続可能な捜索・標定レーダ装置は、中継装置1基につき最大2基まで。
*2 ただし、接続可能な発射機は、射撃管制装置1基につき1基〜4基まで。
*3 従来の慣性誘導中間誘導)+アクティブ・レーダー・ホーミング終末誘導)に加え、中間誘導にGPS誘導が追加されている。
*4 225kg説もある。

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