【86式歩兵戦闘車】(はちじゅうろくしきほへいせんとうしゃ)

中国・人民解放軍陸軍で運用されている歩兵戦闘車
旧ソ連/ロシアで開発された歩兵戦闘車「BMP-1」を中国北方工業公司(NORINCO)がコピーしたものである。
ZBD-86やWZ-501とも呼ばれる。

基本設計はBMP-1と同様だが、エンジンがUTD-20から6V150(出力300hp)に換装されている。
兵装には、9M14「マリュートカ(AT-3『サガー』)」のコピーである「紅箭73(レッドアロー/YJ-73)」対戦車ミサイルを装備する。
車体固有の装備のほかに、搭乗歩兵用の武器として40mm対戦車ロケット1発と手榴弾10発を搭載している。
このほか、必要に応じて紅纓5(HN-5/HY-5/9K32「ストレラ2」)携行対空ミサイルを搭載するスペースを有している。

改良型も開発されており、海軍陸戦隊向けに水上航行性能を改善した86B式やGCTWM砲塔を搭載した近代化改修型である86G式が開発されている。
また、イラン・イラク・ミャンマー・スリランカへ輸出もされている。

スペックデータ

乗員3名+兵員8名
全長6.74m
全高1.92m
全幅2.97m
戦闘重量13.3t
懸架方式トーションバー
エンジン6V150液冷ディーゼル(出力300hp)
登坂力70%
超堤高0.7m
超壕幅2.5m
最大速度
(路上/不整地/浮航)
65km/h / 45km/h / 8km/h
行動距離510km
装甲33mm
兵装2A28 73mm低圧滑腔砲×1門(弾数40発)
紅箭73(レッドアロー/HJ-73)対戦車ミサイル発射機×1基(ミサイル5発)
7.62mm機関銃×1挺(弾数2,000発)
紅纓5(HN-5/9K32「ストレラ2」)携行式地対空ミサイル×2基
3連装発煙弾発射器×2基


派生型

  • 86式歩兵戦闘車(WZ-501/ZBD-86):
    中国北方工業公司によるBMP-1のフルコピーモデル
    原型は1980年代にエジプトなどの中東諸国から入手したとされる。

  • 86B式歩兵戦闘車(ZBD-86B):
    海軍陸戦隊向けに開発された水陸両用装甲兵員輸送車型。
    車体後部に船外発動機を増設し、車体の前後に大型のフロートを増着して車体のアウトラインを舟型とし、フェンダーを大型化、延長された給排気筒を装着するなどの改良が行われ、水上航行性を改善している。
    水上航行時の速力は12km/h。

  • 86G式歩兵戦闘車(ZBD-86G):
    30mm機関砲とHJ-73(紅箭73/9M14「マリュートカ」)対戦車ミサイルを搭載した新型砲塔(GCTWM)のテスト車両。
    その後制式化されて本格的に量産化され、既存の86式も順次砲塔をGCTWM砲塔に換装している。
    車体重量は14.8tに増加し、車体後部には86B式歩兵戦闘車と同じく外装式の船外発動機を搭載して高速水上航行が可能である。

  • WZ-501A:
    WZ-501の砲塔を25mm機関砲装備の砲塔に換装した型。

  • WZ-503:
    WZ-501を基にした装甲兵員輸送車
    砲塔を撤去し、車体高を高くした上で乗降ドアを大型化し、12.7mm機関銃を装備している。

  • WZ-504:
    YJ-73対戦車ミサイルの4連装発射機を装備した戦車駆逐車型。試作のみ。

  • 対戦車型:
    WZ-504とは別の形式の戦車駆逐車型。こちらも試作のみ。

  • WZ-505:
    1人用砲塔搭載型。
    25mm機関砲と7.62mm同軸機銃を装備。

  • WZ-506:
    指揮車型。

  • NFV-1:
    アメリカと共同開発した歩兵戦闘車型。M242「ブッシュマスター」25mm機関砲を搭載。
    天安門事件により開発中止になった。

  • NBC偵察車型:
    86式ベースのNBC偵察車型。

  • 装甲観測車型:
    86式ベースの装甲観測車型。


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