【75式自走多連装ロケット弾発射機】(ななごしきじそうたれんそうろけっとだんはっしゃき)

陸上自衛隊で運用されていた多連装ロケットシステム
略称では75MSSR*1又は単にMSSRと呼ばれる。

1969年から開発が始まり、1975に制式採用、1978年から配備が開始され、総数66両が生産された。
主に北部方面隊師団特科部隊などに配備されたが、装備部隊の廃編や後継となるMLRSの導入への置き換え等により2003年頃までに全車退役している。

構成

本車は73式装甲車の試作車体「SU-II(小松製作所製)」がベースの車体に75式130mmロケットりゅう弾の多連装ロケット弾発射機を搭載した装輪式車輌であった。

発射機は30連装で上から順に7列、8列、7列、8列を重ねた変則的配置となっており、ロケット弾の発射は単射、連射の選択が可能である。
発射機の高低射界は0度〜+約50度で、旋回範囲は左右各約50度。
副武装として、12.7mm機関銃M2が装備されており、射撃時には機銃架を真横に倒すことができる。

この発射機とは別に、風向・風速を観測し、射撃諸元の算定に必要な情報を収集するための装備として「75式自走地上風測定装置」という車輌が随伴していた。
測定装置は、発射機と同じプラットフォーム(こちらは73式の生産型(SUB-2)がベース)を使用し、後部兵員室部分に伸縮式の測定装置と計測情報の計算・表示装置を装備していた。
ただし、計測結果や射撃諸元のデータ送信能力及び発射機への管制能力は持たない。
自走発射機4台に対して本車1両が随伴していた。

スペックデータ

75式自走多連装ロケット弾発射機
全長5.8m
全高2.7m
全幅2.8m
戦闘重量16.5t
エンジン三菱重工製4ZF 2ストロークV型4気筒空冷ディーゼル(出力300hp)
登坂力60%
超堤高0.7m
超壕幅2.1m
最大速度50km/h(路上)
行動距離300km
俯仰範囲0〜50度
旋回角左右50度
最大射程14.5km
装甲アルミ合金
乗員3名(車長(発射班長)、照準手、操縦手)
兵装30連装130mmロケット弾発射機×1基
12.7mm機関銃M2×1挺
生産台数66輌
製造小松製作所(車体)/日産自動車(ロケット弾発射機)


75式ロケットりゅう弾
全長1.90m
直径132mm
弾頭重量15kg
発射重量43kg
飛翔速度700m/s
推進方式固燃ロケットモーター
推進薬ニトロセルロースとニトログリセリンを主成分とするダブルベース(2原料)無煙火薬
弾頭榴弾
信管着発信管またはCVT信管
誘導方式無誘導
製造日産自動車


75式自走地上風測定装置
全長5.7m
全高3.5m(支柱収納時)/12.5m(支柱伸張時)
全幅2.9m
全備重量12.8t
エンジン三菱重工製4ZF 2ストロークV型4気筒空冷ディーゼル(出力300hp)
最大速度60km/h(路上)
装甲アルミ合金
乗員4名
兵装12.7mm機関銃M2×1挺
測定装置縦風表示範囲:±30m/s
横風表示範囲:±30m/s
最小指示単位:0.1m/s
製造小松製作所(車体)/明星電気(測定装置)



*1 Multiple Surface to Surface Rocketの略。

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