【2S6】(にえすろく)

ロシアが開発した自走式AAA
設計・開発はアストロフ設計局が担当した。
システム自体は2K22と呼ばれ、このシステムを搭載した車両を2S6と呼ぶ。
NATOコードは『ツングースカ』と呼ばれる。*1*2

第四次中東戦争では自走式高射機関砲ZSU-23-4は低空域の敵機に絶大な破壊力を持つことが証明されたが、機関砲弾の破壊力が低いうえ、射程が短いため、A-10のような強力な機関砲や空対地ミサイルを搭載した攻撃機対戦車ミサイルなどで武装した歩兵にアウトレンジ攻撃される可能性が出てきた。

そのため、1960年代から後継機として本車の開発が開始され、1986年に配備が開発された。
GM-569A汎用装軌車に機関砲地対空ミサイルを組み合わせたハイブリッドシステムを持ち、装甲砲塔には前面に円形のJバンド型追尾レーダーとIRL-138敵味方識別装置、車体後部上にNATOコードで「ホットショット」と呼ばれるEバンド型の回転式捜索レーダー「1RL-144M」を搭載。
武装には2A42 30mm機関砲を連装で2基、左右の4連装キャニスター2基にはロシア海軍で運用されるCADS-N-1「コールチク(カシュタン)」CIWSにも用いられている9M331対空ミサイルを左右4発ずつ搭載している。

ロシア本国では、価格の高騰などで配備は進んでいないが、ウクライナ、ベラルーシ、インドなどには積極的な輸出が行われている。

なお、後継は96K6「パーンツィリ-S1(SA-22「グレイハウンド」)」で、ロシア本国では初期型の2S6を代替する見込みの模様である。

スペックデータ

乗員:4名
全長:7.93m
全高:4.02m(レーダー起立時)
全幅:3.23m
戦闘重量:34t
エンジン:V-46-4液冷ディーゼルエンジン(4ストロークV型12気筒 出力780hp)
懸架・駆動方式:トーションバー方式
登坂力:60%
超堤高:1.0m
超壕幅:2.0m
最大速度:65km/h(路上)
行動距離:500km
装甲:15mm(車体前面)
兵装:2A38 30mm連装機関砲×2基(弾数1,904発)、9M311(SA-19グリフォン) 4連装地対空ミサイル発射機×2基(ミサイル8発)

派生型

  • 2K22/9K22
    2S6統合防空車に設置され、9M311(3M87)、9M311Kもしくは9M311-1ミサイルを使用する初期型。
    Треуголник(三角形の意)として知られていた。

  • 2K22M
    初期量産型。2S6M統合防空車に設置され、9M311M(3M88)ミサイルを使用した。

  • 2K22M-1
    2K22Mを更に近代化したもので、より強化された火器管制システムを持ち9M311-1Mミサイルを使用する。

  • 2K22M-57E6
    2K22Mに全面的な換装を施したもので、射程距離が18kmに伸びた57E6地対空ミサイル、探知範囲38kmおよび追跡範囲30kmに強化された新型レーダーシステムを使用する。

    関連:SA-19 M6 パーンツィリ-S1

*1 ソ連・ロシアでは防空兵器の愛称にはロシア国内の河川名が付けられる。
*2 また、自走砲は花の名前から採られている。例外として2S19自走榴弾砲は河川名がつけられている。

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