【殲撃8II】(せんげきはちつー)

中国国産の超音速戦闘機。
中国語では殲-8II(殲撃8II)を「ジエン・バーツー」と呼ぶ。また、J-8IIやF-8IIとも呼ばれる。
NATOコードは「フィンバックB」。

殲撃8IIは殲撃8の性能面の不満足から、新たに開発された機体で、設計・開発は第601航空機設計所と瀋陽航空廠が担当した。
1980年から開発が始まり、1984年に初飛行した。
機体のデザインはこれまで国産化されてきたMiG-17殲撃5)・MiG-19殲撃6)・MiG-21殲撃7)等ミグ戦闘機の鯉のぼり式エアインテークをサイドインテイク化(F-4に似た斜板付きの矩型エアインテーク)し、機首には大型レドームを装着した。
そのため、外見はSu-15「フラゴン」によく似ている。
エンジンは殲撃8ではライセンス生産だったが、殲撃8IIでは国産の渦噴13AII(WP-13AII)が採用された。
1988年から量産化が始まり、現在は中国人民解放軍が400機程度運用している。
なお、西側には1989年のパリ国際航空ショーで初めて公開された。
性能は未だ謎が多いが、「有視界戦闘能力では現役の西側戦闘機より数段劣っている」と言う意見が多い。

J-8IID.jpg

Photo:Chinese Defence Today

関連:殲撃7 殲撃8

性能諸元(殲撃8IIM)

乗員1名
全長21.59m
全高5.410m
全幅9.35m
空虚重量10,000kg
最大離陸重量15,000kg
エンジン渦噴13B(WP13B)ターボジェット×2基
最大出力4,800kg/7,000kg(A/B使用時)
最高速度M2.2
航続距離2,000km
戦闘行動半径1,000km
実用上昇限度20,200m
固定武装23III型23mm連装機関砲×1門
AAM霹靂12,霹靂11,R-27R,霹靂8,霹靂5
ASMKh-31A?
爆弾類雷霆2型(LT-2)レーザー誘導爆弾
雷石6(LS-6)滑空誘導爆弾
飛騰1型/3型(FT-1/3)誘導爆弾
各種爆弾/ロケット弾4.5t

主なバリエーション

  • 殲撃8II型(J-8II):
    208型パルスドップラーレーダーを搭載する試作型。
    中距離AAMの運用能力は持っていない。

  • J-8II「PeacePearl?」:
    米グラマン社との共同開発による近代化案。
    アメリカ製AN/APG-66(V)レーダーアビオニクスを搭載する予定だった。
    天安門事件によるアメリカの対中兵器禁輸政策で頓挫。

  • J-8II艦載試験機:
    海軍航空隊で試験運用された艦載試験機型。

  • 殲撃8B型(J-8B):
    J-8IIのレーダー強化型で最初の量産型。
    SL-8Aレーダーや改良型アビオニクスを搭載。
    エンジンは渦噴13A2に換装している。

  • 殲撃8IIM型(F-8IIM):
    輸出型。不採用。

  • 殲撃8D型(J-8D、丁型):
    B型の近代化改修型。
    空中給油能力を追加し、航法装置を改良した。

  • 殲撃8BH/DH(J-8BH/DH):
    B型およびD型にH型に準ずる近代化改修を行った型。

  • 殲撃8DF(J-8DF):
    D型にF型に準ずる近代化改修を行った型。

  • 殲撃8IIACT(J-8IIACT):
    CCV試験機。
    カナードフライバイワイヤー制御を導入。

  • 殲撃8IIIACT(J-8IIIACT):
    次世代戦闘機の技術開発用に製作された技術実証機。

  • 殲撃8III型(J-8C):
    改良型。
    フライバイワイヤー制御や渦噴14(WP-14)「崑崙」エンジン、イスラエルのエルタ社製EL/M-2032火器管制レーダーを装備。
    試作機が大破したため計画中止。

  • 殲撃8H型(J-8H):
    B型の改修型。
    国産のKLJ-1パルスドップラーレーダーと渦噴13B(WP-13B)エンジンを搭載。
    霹靂11AAMの運用が可能になった。
    J-8Fの登場により少数生産。

  • 殲撃8F型(J-8F):
    マルチロール型。
    149X多モードレーダーや露製グラスコックピットを採用。
    霹靂12AAMの運用が可能となったほか、誘導爆弾対艦ミサイルの運用能力も付与されている。
    エンジンは渦噴13BII(WP-13BII)もしくは渦噴14(WP-14)「崑崙」に換装している。

  • 殲撃8G(J-8G):
    H型の敵防空網制圧型。

  • 殲撃8型FR(J-8FR)/殲偵8型F(JZ-8F)
    J-8Fの戦術偵察機型。J-8Rの後継。
    胴体下部の23mm機関砲を撤去し、コンフォーマル式ポッドを設けて偵察用機材を搭載している。

  • 殲撃8T(F-8T):
    輸出型。不採用。


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