【塹壕】(ざんごう)

Trench.

銃撃戦において敵の銃弾から隠れるために地面に掘る穴。
隠れたまま移動できるよう水路のように深く長い溝を掘るのが一般的。
第一次世界大戦では、両陣営がヨーロッパ大陸を縦断する長大な塹壕線を築いたことで知られる。

銃火器が実用化された比較的初期の時代から用いられていたが、当初は射撃後に銃剣突撃による白兵戦に移行する事が多かったため、さほど重要視されていなかった。
しかし機関銃が登場すると白兵戦が恐ろしく困難になったため、かわりに塹壕が多用されるようになった。

塹壕の上端から顔と小銃だけを覗かせて撃ち合うことが基本であり、射撃しやすいように掩体が設けられる。
ただしそれだけでは膠着状態に陥りやすいため、迫撃砲によって支援したり、少数の兵士が敵の塹壕に乗り込んで白兵戦によって敵を掃討するなどの戦術もとられた。
これらの特徴は火器の登場以前の戦争における城塞とほぼ同様で、旧来の城や砦が近代的な要塞へと置き換わっていったものと見る向きもある。

戦車航空機などの登場によって再び必要性は薄くなったが、現在でも拠点防御に用いられることがあり、塹壕を掘るためのスコップ(えんぴ)は歩兵の必需品である。

関連:M1897 塹壕戦 タコツボ


トップ 新規 一覧 単語検索 最終更新ヘルプ   最終更新のRSS