【硫黄島】(いおうじま)

東京から南に約1200km離れた太平洋上にある、日本領の火山島。
正式には「いおうとう」と読む。
東西8km、南北4kmの火山列島(硫黄列島)中最大の島で、行政上は東京都小笠原村に属している。
映画『硫黄島からの手紙』等硫黄島の戦いを描いた映画作品の舞台になる島として有名。

太平洋戦争中の昭和20年2月に、ここを戦略的拠点として占領しようとした米軍の上陸部隊約61,000人・後方支援約220,000人と、それを阻止しようとする日本軍約20,000人との間で熾烈な戦闘が繰り広げられた。 
日本軍側は、物資の不足や立てこもっていた坑道内に発生する硫黄ガスなど様々な要因に苦しめられつつも、1ヶ月にもわたって徹底抗戦した。
日本軍と言うと攻撃方法は「銃剣突撃」と思われるが、硫黄島守備隊司令官・栗林中将はそれを禁止、日本軍とは思えない組織だった持久戦を挑んだ。
結果、日本軍側は死者約20,100人・負傷者約1,000人、米軍は死者約6,800人・負傷者約21,800人と、両軍ともに多大な被害を出して占領される。
太平洋戦線において攻撃側が防御側を上回る被害を被ったのはこの戦いだけであった。

占領後、米軍は島を整備して本州爆撃の中継基地として使用した。
終戦後も島はアメリカの統治下に置かれ(空軍基地が置かれ、核兵器の保管場所などとして用いられていた)、日本に返還されたのは昭和43年(1968年)6月26日のことであった。
現在は海上自衛隊および航空自衛隊の硫黄島航空基地があるが、地下に無数の不発弾や一万柱を越える日本兵の遺骨が埋まっていて回収も困難なため、一般人の上陸は原則として禁止されている。*1

周りに住民が住んでいる島は存在しないため、硫黄島通信所ではアメリカ海軍の空母艦載機による夜間離発着訓練が行われているほか、航空自衛隊の各種実験飛行や戦闘機部隊の演習、海上自衛隊の掃海部隊による掃海訓練*2といった、日本本土では実施出来ないような軍事利用が出来る貴重な島である。
また、日本で唯一、陸・海・空の3自衛隊の統合的作戦演習が可能な場所でもある。

なお、海風による浸食や台風の被害が激しいため、基地施設の改修が常時行われており、その作業に従事する建設業者の住宅施設が存在する。
その他、国土地理院と気象庁職員が定期的に来島して火山観測を行っているほか、計器の故障等の理由で、グアム島、オセアニアから日本、韓国方面に向かう民間機が航空基地に緊急着陸する事があるため、軍事用飛行場にも拘らず、国際航空運送協会の3レターコードが設定されている。
また、父島や母島の患者緊急搬送時にはこの基地で乗り換え搬送する場合がある。

参照:硫黄島探訪(http://www.iwojima.jp/


*1 そのため、旧島民や遺族、それに戦没者の遺族などの一般の人が硫黄島に上陸が出来るのは、戦没者の慰霊祭の時のみである。
*2 実際に硫黄島近海に機雷を撒いて訓練を行っている

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