【陸曹航空操縦学生】(りくそうこうくうそうじゅうがくせい)

Flight Enlistedman Course(FEC).

陸上自衛隊の航空部隊で、ヘリコプター航空機の操縦に携わるパイロットを養成する課程。
陸上自衛隊における現役パイロットの大半がこの課程を修了している。
統計上、自衛隊生徒および高等工科学校生徒出身の応募者が多いという。

飛行要員にはこの他、防衛大学校や一般大学の卒業者も少数ながら存在する。

選抜試験の受験資格は「三等陸曹の階級にあり、三曹任官後1年以上勤務した31歳未満の現役隊員」。
この条件のためパイロット養成課程としては退学処分(エリミネート)の発生率が低く、未修了退学者は選抜対象の20%程度とされる。
豊富な地上勤務経験を事実上の必須要項としており、基礎教育段階では飛行要員を志望できないという点で特徴的。

この独特のシステムは、陸上自衛隊のあらゆる航空要員は地上部隊の支援を存在意義とする、という事情による。
航空要員に地上任務の実態をよく知悉させ、航空至上的な価値観を持たせぬよう配慮し、もって良好な空地連携を実現するのだという*1

選抜試験に合格した後のタイムスケジュールは以下の通り。

操縦教育(1年9ヶ月)
航空学校宇都宮校(栃木県・北宇都宮駐屯地所在)にて実施。
部隊勤務(2年間)
飛行幹部候補生として勤務。副操縦士などの職務が割り当てられる。
幹部教育(6ヶ月)
幹部候補生学校(福岡県・前川原駐屯地所在)にて実施。
以降
三等陸尉に任官され、引き続き航空部隊でパイロットとして勤務する。
この後も何度か幹部教育を受けるために陸上自衛隊航空学校?に入校する。

なお、現在の陸上自衛隊は固定翼練習機を保有していない。
このため、飛行機(現状ではLR-2連絡偵察機)の操縦教育は海上自衛隊航空学生と共同で行われる。


*1 この方針が合理的な危機管理対策なのか、それとも集団浅慮的な妄執に基づく少数派差別に過ぎないのかはあまり定かでない。

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