【砲艦外交】(ほうかんがいこう)

gunboat diplomacy

「回答次第では軍事的手段に訴える準備がある」と予め知らしめた上で外交交渉を行う事。
転じて、そうした手段に訴えることが多い国家の外交方針全体を俯瞰してこう呼ぶこともある。
なお、「砲艦(gunboat)」という語は戦闘艦艇の総称であって、現代で言うガンシップとは異なる。

とはいえ、本当に戦闘態勢を整えた上で交渉が開始される事はまずない。
ほとんどの国家体制では、外交交渉が決着する前の段階では交戦許可が降りないからだ。
最初から宣戦布告の用意をして臨むのは、そもそも外交を行う意志がない場合のみに限られる。

例外的に、最初に国交を樹立するための交渉において事前に交戦許可が下りた事もある。
というのも、外交使節を問答無用で殺害するような国家も存在しないとは言い切れないからだ。

歴史的に、そうした外交的意図による示威行為はもっぱら海軍により、遠国に対して行われる事が多かった。
陸続きの隣国は互いにとって仮想敵国であるので、その軍事的権勢はほぼいつでも十分に認知される。
また当然、相手国に対抗できるだけの軍事的用意がある*1ので、暴力的恫喝が功を奏する望みは薄い。

必然的に、外交交渉のためにあえて誇示される武力は戦列艦などの艦艇であり、艦載砲による礼砲であるのが常だった。


*1 ないのであれば、そのような国家に対しては外交交渉も武力による恫喝も必要ない。実際に攻め滅ぼして領土を併合すれば良いのだ。

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